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豊臣秀吉公ゆかりの宝物を「豊国神社 宝物館」で鑑賞

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大好チヨ子プロフィール
2022年8月16日 

市バス停留所「博物館 三十三間堂前」で下車し、大和大路通を5分程北へ進んだところにある「豊国神社」。御祭神は、前関白太政大臣贈正一位豊臣秀吉公で、こちらには秀吉公ゆかりの宝物を公開している「宝物館」があります。

常設の宝物館の展示に加え、現在、通常非公開の書院にて、修復された重要文化財などの特別公開が行われており、拝見してきました。(~2022年9月4日まで)

石の鳥居をくぐると、正面に見えるは、伏見城の遺構(過去の建築物などが後世に残されたもの)である国宝の唐門。西本願寺・大徳寺の唐門と併せ「国宝の三唐門」と呼ばれているのだそうで、大変立派なものでした。

正面奥:唐門(国宝)

書院で展示品を、修復の過程と共に鑑賞

唐門向かって右手の社務所にて宝物館のチケットを購入し、まず特別展示の書院に入室したのですが、この書院自体が、恭明宮(きょうめいぐう)と呼ばれる、宮中女官の隠居所であった建物の遺構で、とても珍しいのでした。

明るい室内に展示されていたのは、「豊国祭礼図屏風」を特殊に複製したもので、ガラス越しでなく間近でじっくりと拝見できました。

秀吉公七回忌の「豊国大明神臨時祭礼」の様子を描いた屏風(複製)

慶長4年(1599年)に造営された当時の豊国神社は、約30万坪(東京ドーム21個分程)もあったらしく、屏風には、敷地内に三十三間堂や方広寺大仏殿が描かれており、その広大さが伝わりました。また、人々が輪になって踊り、仮装やジャグリングのような出し物をしている姿も克明に描かれ、当時の風俗を垣間見るのもとても面白いのです。

品玉(ジャグリングのようなこと)をしている姿(右隻中央付近)

ページがめくれない程虫食いが進んでいた「豊国大明神臨時御祭礼記録」は、CGプリンターで虫食い部分の型を作って和紙を作り、一つ一つ虫食い部分に埋め込んでゆくような修復が施されたそう。修復を終えた書物は、美しい状態によみがえり、展示されていました。

美しく修復された「豊国大明神臨時御祭礼記録」京都市指定文化財
修復の過程が丁寧に解説されたボード

現代の刀匠である宮入法廣さんが再現された「骨喰(ほねばみ)藤四郎」も、神々しい姿を四方から拝見できました。

薙刀直シ刀 名物 骨喰藤四郎 (再現品)

建物自体が魅力的な宝物館

書院の特別展示を観た後、一旦外に出て別棟の宝物館へ。大正14年開館、桃山風造りの鉄筋建築で、当時から建て替えることなく現在に至るそうです。

設計は、武田五一さん

館内に一歩足を踏み入れると、驚きの光景。
何とレトロな雰囲気。今まで見たどこの美術館・博物館とも異なる内装に、「おぉ~これはこれは…とても珍しいものに遭遇したよ」と、思わずうなりそうになりました。

展示ケース・棚・床・天井…味わい深い木の質感

展示ケースや陳列の枠も木製。その枠の四隅は彫刻が施され額縁のよう。そして、ガラスはなんと、水が流れるような大正期の波打ちガラス。写真でうまく波打つガラスが写しきれないのが残念でなりません。

秀吉公から加藤左馬助にあてた預け状と共に納められた秀吉公の「歯」など、豊臣秀吉公ファンなら見逃せない、重要文化財を含む、約80点もの品が常設されていますが…。私にとってはこの館内そのものもあまりにも魅力的。

左「豊国祭礼図屏風」 右「辻与二郎作、鉄燈籠」(ともに重要文化財)

美術館・博物館巡りの醍醐味は、こんなところにもあるのですね。展示品そのものの魅力、展示物の見せ方のすばらしさ、そして、展示されている場の魅力、と各館の見どころは千差万別。
京都には、まだまだ未知の素晴らしい場所が存在しているに違いありません。今回も、本当に良いものを拝見できました。

豊国神社 宝物館

京都市東山区大和大路正面茶屋町
TEL:075(561)3802 (豊国神社 社務所)
拝観:午前9時〜午後4時
https://twitter.com/toyokunishrine
特別展の情報等は公式SNSから確認を

プロフィール

大好チヨ子

在住エリア:京都市西京区
メインテーマ:博物館などのアートイベント/パン屋さん
子育てを終えて、ようやく京都歩きを楽しめるようになりました。知識がない私でも「楽しい!美味しい!美しい!面白い!」と感じたり「知っていたらお得」な情報をゆる~く伝えてゆきたいです。趣味はドラム演奏と、博物館ボランティア。