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創業135年の「便利堂」どちらも楽しい、コロタイプギャラリーとショップ

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大好チヨ子プロフィール
2022年9月7日 

美術館好きの私は、展覧会の絵葉書などを買うことも多く、その製作元で有名な「便利堂」さんの名前を目にすることがよくあります。

コロタイプ工房併設のギャラリー

新町通を丸太町通から下がったところにある「便利堂」社屋1階に、工房併設の「コロタイプギャラリー」があることを知り、何度か展示を観に行きました。
コロタイプとは、19世紀にフランスで発明された、顔料による写真印刷技術です。

奥の白い壁の部分がギャラリー入口

作品を眺めていた私にお店の方が、「拡大するとコロタイプの特徴が分かりますよ」と、20倍拡大ルーペで見せてくださると、特徴は一目瞭然!

私たちの身近でよく使われるオフセット印刷の作品は、赤・青・黄・黒のドットが見えたのに対し、コロタイプの作品は、自然な色の濃淡に見え、拡大されてもドットが確認できないのでした。

拡大写真の資料も拝見できました
左:コロタイプ 中:インクジェット 右:オフセット印刷

オフセット印刷は、テレビの画像のように点で色の変化や濃淡を表現しますが、コロタイプはゼラチンに凸凹を作り、そこにインクを流し込んで、版画のように色ごとに印刷するそうです。
ゼラチンの厚みによってインクの濃淡が決まるので、コロタイプ印刷の書道作品は、筆を払った隅々の擦れまでもが、滑らかに表現されていて驚きました。

ギャラリーで観られるコロタイプ作品

便利堂さんは、今では世界で唯一のコロタイプ印刷所。その技術を絶やさないためにも、ワークショップや展示を継続的に行っておられるそうです。

毎年開催の、社員さん方がコロタイプで手刷りされる写真展では、動物の毛並みや雪の粒などが、繊細かつ柔らかな味のある作品となっていて素敵でした。

10年続く社員さんの作品展では、10年分のファイルも公開

8月から創業135周年記念「—明治から令和—便利堂のあゆみ」展示があるとお聞きしたので、観に行きました。(~2022年11月18日まで)

現在はギャラリー1で、貸本屋から出版業、そして絵葉書を印刷されるようになった便利堂さんの歴史が紹介されていました。

やがて、観光名所の葉書の注文を受け、その第1号は「清水寺」の葉書だったのですね。その他の観光名所の絵葉書なども展示されていましたよ。

その印刷技術は美術品の印刷、複製などへとつながり9月5日(月)から始まるギャラリー2の展示では、有名どころのコロタイプ作品も展示されるそうなので、是非行かねば!と思っております。

ギャラリー1の展示風景 9月5日から右手扉奥のギャラリー2も公開

鳥獣戯画グッズや葉書が揃う隣接のショップ

展示を観た後は、ギャラリーの南隣にあるショップへ。思わず手に取りたくなるような綺麗な葉書や一筆箋をはじめ、鳥獣戯画デザインのグッズが沢山!

色彩が大変美しい、コロタイプの商品も販売されていました。

コロタイプ印刷の葉書は特に色が美しい

素敵な葉書が多く目移りした中で、いい感じの葉書がいくつかあったので、購入してみました。暑い日に行ったので、つい涼しくなりそうな気がして…。

左:葛飾北斎の葉書(110円) 右:暑中見舞い葉書(160円)
下の鳥獣戯画クリアファイルはセール品

美術品にとっても貴重な技術

作品を拝見しているうちに、相国寺から宮中に献納された「伊藤若冲の動植綵絵・釈迦三尊像」を精密複製し里帰りさせたのが、便利堂さんであったのを思い出しました。数年前に相国寺承天閣美術館での展示を見た時、初めて「コロタイプ」という言葉を聞きました。色鮮やかな若冲さんの絵は、何層ものゼラチンで色を重ねてコロタイプ印刷されたので、6年もの歳月がかかったとか。

高度な技術を必要とするコロタイプの「複製」は単なる「コピー」ではなく、もはやそれ自体が芸術作品の域。色の劣化もしにくいため、絵画などの現状を留めておくためにも役立っているそうです。
時間と共に次第に色あせてゆく作品原本の「今」を記録するためにも、大切な技術なのだなと思ったのでした。

ギャラリーからはコロタイプ工房も見学できます

京都便利堂本店 コロタイプギャラリー

京都市中京区新町通竹屋町下ル弁財天町302番地
TEL:075(231)4351
https://www.benrido.co.jp/
営業時間等はHPから確認を

プロフィール

大好チヨ子

在住エリア:京都市西京区
メインテーマ:博物館などのアートイベント/パン屋さん
子育てを終えて、ようやく京都歩きを楽しめるようになりました。知識がない私でも「楽しい!美味しい!美しい!面白い!」と感じたり「知っていたらお得」な情報をゆる~く伝えてゆきたいです。趣味はドラム演奏と、博物館ボランティア。