コロナ禍をきっかけに急速に普及した〝オンラインコミュニケーション〟。体験済みの人もまだの人も、知っておきたいことを専門家に聞きました。リビング読者の体験エピソードも紹介します。
※1月5日〜11日にリビング読者にアンケート。有効回答数1166 イラスト/オカモトチアキ
ビデオ通話が新しい連絡手段に
インターネットを通じて人とつながることができる〝オンラインコミュニケーション〟。メールやチャットなど文字のやり取りに加え、近年はビデオ通話が積極的に利用されています。
「ビデオ通話は表情、しぐさから状況を読み取ることができるので、細かいニュアンスを伝えるのに適しています」
そう教えてくれたのは、京都大学大学院人間・環境学研究科教授の吉田純さん。
人と会うときマスクが手放せない状況下では、顔を見て話せる連絡手段があるのはうれしいですね。
「相手と親密になりたいときにビデオ通話を利用すると効果的です。事務的な連絡は電話やメールの方がスムーズなので、目的や状況に合わせて使い分けを」
ビデオ通話が普及することで、対面のコミュニケーションにも変化があるのでしょうか。
「〝対面で話すのが当たり前〟という暗黙のルールは薄れていきます。一方で、オンラインが広がれば広がるほど、あえて直接会うことに特別な意味や価値が生まれます」
また、オンラインコミュニケーションはさまざまな分野で注目されています。リモート(遠隔)会議や、対面授業と組み合わせた学習、オンラインイベントなどに発展。
「医療・福祉分野ではコロナ禍で〝オンライン面会〟が始まりました。今後、自宅から医師の問診を受けるなど、実用的な情報交換への活用が期待されています」
家族や友人との交流に利用する人が多数
リビング読者1166人のアンケート結果によると、68%が「ビデオ通話を利用したことがある」とか。遠方の家族や友人と連絡を取り、画面越しに家族団らんや飲み会を楽しんだ人が多いようです。
吉田さんによると、「以前は通信容量や費用の問題から、ビジネスシーンなどでしか活用されていませんでした。LINE(ライン)やZoom(ズーム)のような、アプリを使った無料サービスが登場したことで、スマートフォンやパソコンを利用して誰でも気軽にビデオ通話ができるようになりました」
ビデオ通話を利用したことがありますか?
どんなときに利用していますか?(複数回答)
- 家族と交流 … 456人
- 友人・知人と交流 … 315人
- 仕事 … 242人
- ウェビナーやイベント … 185人
- 医療・福祉施設の面会 … 29人
※ウェビナーとは、オンライン会議システムを使ったウェブセミナーのこと
教えてくれたのは
京都大学大学院 人間・環境学研究科
教授 吉田純さん情報ネットワーク社会のコミュニケーションを研究。インターネット・パソコン技術に精通し、自身の講義にもSNSを取り入れている。
意外な使い方も?読者の体験エピソード
読者が実際に、どんなふうにビデオ通話を使っているのか聞いてみました。便利なところ、困ったところ…さまざまな声が届きましたよ。
※本文( )内は読者のイニシャルと年齢
- 海外で暮らす娘といつでも顔を見ながら会話できます。一昔前の高い国際電話の時代も知っているので、想像できないほど気軽になりました。(MMさん/66)
- 父が亡くなったとき、遠方の兄弟と最期のお別れをすることができました。父はすでに反応がない状態でしたが、最期の姿を見て、感謝を伝えることができ、家族全員がその場にいるような感覚でした。(MKさん/60)
- 単身赴任の夫と毎日ビデオ通話しています。会話が目的というより、何時間もつなげっぱなしにしておのおのテレビを見たり食事をしたり、同じ空間にいるような感じです。(AUさん/34)
- 遠方に住む両親に孫の顔が見せられて良かったです。しかし、メークをしていないときや部屋着のときは、声のみの電話の方がよいなと感じました。(KSさん/42)
- 友人4人とビデオ通話しましたが、テンポがズレるのであまり良いとは思いませんでした。(MAさん/56)
- 仕事の会議もZoomで資料を共有しあうなど、電話だけよりも内容が濃く、しかもメールを送るよりも早く話し合え、時間が有効に使えるように。雑談も顔が見えた方が楽しいです。(SIさん/55)
- 介護が始まった母。家を訪ねられないときでも、手軽に状況が確認できて、とても安心しました。(YKさん/53)
- 外出自粛期間中、実家とビデオ通話をしました。電話では1対1でしか会話できませんが、ビデオ通話であれば父母妹弟みんなと話せて楽しかったです。また、娘が当時0歳で人見知りをする頃でしたが、毎日のビデオ通話のおかげか、久しぶりに父母(娘からすると祖父母)に会った際にも泣かずにいられました。(SSさん/29)
- 実家に帰省できず、毎年楽しみにしていた子どもたちが不満そう。少しでも実家の空気を感じたい、と子どもの希望でビデオ通話にチャレンジ。顔が見られて、変わりなくて安心。「あれ? じいちゃん家、何か新しいものあるー!」と発見し、購入時のお笑いエピソードで盛り上がりました。「おじいちゃん、僕のも見て!」と自慢大会に。(IOさん/43)
- 普通に集まるより会議が手短になり、話が脱線もせず建設的な話ができて、映像もそれなりにクリア。ある意味、会議のあり方としては理想的だと感じました。(TKさん/45)
- (昨年の)緊急事態宣言の際、小学校の先生と6年生が交流する機会が2回ありました。子どもは先生とのやり取りに喜んでいました。授業以外でも、ちょっと顔や姿を見るだけで、とても嬉しかったようです。(MHさん/46)
- 普段オンライン通話をしたことがなかった人としたので、LINEの着せ替え機能で子どものようにはしゃぎました。会うことや文字のやり取りとまた違う娯楽であり、いい意味で別の側面が浮き彫りになるツールだと思います。が、直に会うことに勝るものはないとも感じました。(YMさん/40)
- 毎年お盆の時期に帰省者でミニ同窓会をしていましたが、今年はオンライン開催。地方に住む友人と久しぶりに交流できて良かったです。(NNさん/48)
- オンラインで新年の祝宴をしました。3家族、それぞれの食卓を飾っているおせちを見せ合って自慢したり、ワインやお酒で乾杯したり。いつもとちょっと違う祝宴でしたが、各々、心を込めて相手を思いやり、お祝いができたと思います。(EKさん/75)
実践!押さえておきたいオンラインコミュニケーション術
ビデオ通話を使ったオンラインでの飲み会やお茶会が日常になりつつある今、上手に利用するにはどうすればよいのでしょうか。専門家に教えてもらいました。
教えてくれたのは
WEBデザイナー・ほほえみ集客ファシリテーター なかたに みかさん自宅でパソコン1台で仕事をする女性・主婦起業家。SNSやブログ講座の開催、マンツーマンのWEB集客コンサルティングも行っている。
どのアプリを使えばいい?選ぶポイントは何ですか?
Zoomなど広く利用されているもの、相手が使いやすいものを選んで
コミュケーションは相手があって成立するもの。お互いが使いやすいものを選ぶのがコツです。今、広く利用されているZoomは、主催者のみアカウントを作れば、参加者はURLを共有するだけなので使いやすいかと思います。多くの人が使っているLINEを利用している人も多いですね。無料のものはほかにもありますが、参加者全員がアカウントを作る必要があるなど、アプリによって条件が違うので事前に調べておきましょう。
オンライン中のトラブルはどう対処すれば?
通信環境(Wi-Fi)の良いところに移動すれば解決することも
オンライン中に多いのが「画面が固まる」「音が聞こえない」というトラブルですが、これらは通信環境に原因がある場合がほとんど。原因が自分の場合、相手の場合がありますが、「(Wi-Fiの場合)つながりやすいところに移動する」「一度退出して、もう一度参加する」ことで解決することが多いです。また、あらかじめ「無線ではなく有線でつなぐ」「ルーターやモデムなどが古い場合は新しくしておく」などで、未然に防げる場合もあります。
終わり方は?マナーなどもあれば教えてほしいです
話をさえぎらないよう注意を。終了時間は最初に決めておいて
コミュニケーションのマナーは、オンラインでもいつもと同じです。まず注意したいのは、相手の話をさえぎらないこと。オンライン環境によっては声が遅れて聞こえることがあるので、相手の話が終わったと感じてから自分が話すことを心がけましょう。また、オンラインだと時間が気にならないので、つい長時間に…という人もいらっしゃいますね。最初に「今日は○○時までで大丈夫です。○○時まででお願いします」と決めておくのがオススメです。
楽しく盛り上げるためのコツは?
テーマを決めて話題をつくり、全員が発言できるよう配慮を
参加者全員が楽しく参加できていることが、盛り上がっているということ。自分が主催者の場合は、参加者全員が発言できているかに注意をします。発言していない人がいれば、「○○さんはどう思いますか?」と発言を促して。ただ話をする、お茶を飲むだけではなく、絵を描く、作品を作るなどをして、30分後、60分後に見せ合うなど、テーマを決めて皆で同じことをするのも楽しいですよ。子どもさんやペットがいれば、一緒に画面に入ってもらうと場がなごみます。
キレイにうつるコツってあるの?
部屋の中で光の当たり方などを試して。リングライトもオススメ
部屋の中で自分が一番キレイに見える場所を探してみましょう。逆光になると顔が暗く見えるので、背後に窓がある場所などは避けて。顔全体に光が当たるリングライトは、影ができにくく、顔色が良く見えるのでオススメです。メイクはいつもよりしっかり、チークも濃い目が映えます。また、アプリでも調整可。Zoomなら、「設定」→「ビデオ」→「外見を補正する」を選ぶと、美肌補正機能をオンにすることができるので、試してみてください。
(2021年2月6日号より)
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