大学生たちが保育園などで災害研修を行っています

2025年5月16日 

リビング編集部

人を助け、支援する仕事を志す大学生たちが、防災をテーマとしたサークルで活動中。オリジナルのグッズを使って、保育園などで子どもたちに研修を行っています。

撮影/山嵜晃治ほか

地震などの防災対策について学び、広める活動を行っている京都光華女子大学の「災害支援サークル 彩華(いろは)」。メンバーは医療福祉学科(※1)などの3年生4人。部長の藤井明優海(あゆみ)さんが中心となり、入学と同時に立ち上げました。

活動内容はメンバーで話し合って決定。昨年には京都府内の保育園に提案し、園児に向けて自作のクイズやすごろくを使った防災研修を実施しました。

子どもたちに人気だったのはすごろく。マスには、「雨の中で避難するときに履くものは?」(※2)など避難時についてのクイズが書かれていて、「みんな楽しみながら取り組んでくれました」と藤井さん。

子どもたちと一緒にすごろくも
作成したすごろくは、ゲーム感覚で学べるというもの

その後、児童福祉施設からの依頼で同様の研修を実施することに。職員から「楽しく学べるように」との要望を受けて、自宅にいるときに地震が起こったら、という設定で紙人形芝居を実施。自作のペープサート(紙人形)を使い、「非常持ち出し袋の中には何を入れる?」など問いかける参加型に。子どもたちからは「お菓子もあるといいんやね」「おもちゃも入れていい?」などさまざまな声が上がり、積極的に参加してくれたそう。

児童施設での研修の様子。オリジナルのクイズと紙人形芝居を実施しました
「床にコップが落ちて割れていたらどうする?」などのクイズを手作り。ペープサートの絵は清水さんが担当しています。こちらの答えは、「さわらない」

要配慮者の支援にも注力している同サークル。要配慮者とは、高齢者や乳幼児、障害者、妊産婦、医療機器の使用者など、避難時や避難所での生活に周囲のケアが必要な人を指します。

現在は、要配慮者が避難所で使えるようにと絵カードを作成中。腹痛や頭痛などの症状や、怖い、悲しいといった感情が描かれているもので、「言語コミュニケーションが難しい外国人や自閉症の方などが、このカードを見せることでスムーズに状況を伝えられるように」と考えたツールなのだとか。

(※1)藤井さんたちは医療福祉学科ですが、2024年から福祉リハビリテーション学科に名称が変更
(※2)答えは、長靴やサンダルではなく普段の靴

大人に向けて情報発信も考案中

将来は消防局の救助隊員を目指しているという藤井さん。地元の消防団でも防災活動を行っているそう。

「地域で暮らす独居の高齢者や、障害のある方が安全に避難するためにはどうすればいいのか。そう考えるようになったことが、『彩華』の立ち上げにつながりました」。

同じ学科で副部長の清水春花さんは、「サークルを始めるまでは要配慮者についてあまり知りませんでした。将来福祉の仕事に携わるためにも、もっと学んでいきたい」と話します。

同サークルは、京都市が開催する学生活動を応援するプロジェクト「輝く学生応援アワード2024」で入賞。他の施設からも研修の依頼が来るようになったそう。

「大学生ならではの視点で、今後は子どもだけではなく大人にも知識を広めていきたいです」(藤井さん)。

同サークルへの問い合わせは、京都光華女子大学入学・広報センター=TEL:075(312)1899=へ。活動の詳細はInstagram(インスタグラム)から。「iroha1680901」で検索を。

左から部長の藤井さんと清水さん、顧問の看護福祉リハビリテーション学部講師・千葉晃央さん。授業で学んだ知識も生かして活動しています

(2025年5月17日号より)