見て触れて味わう〝食育〟を広めています

2024年7月12日 

リビング編集部

見て触れて味わう〝食育〟を広めています「五感で学ぶ料理教室ククラボ」

伏見を拠点に、食育活動を行う市民団体。料理教室をはじめ、五感を使ったユニークな方法で〝食〟に親しむイベントを開催しています。

撮影/児嶋肇

「このトマトは水に浮くでしょうか? それとも沈む?」

大きな水槽を前に、エプロン姿で野菜を手に問いかける女性がふたり。市民団体「五感で学ぶ料理教室ククラボ」が、5月に開催した「ククラボベビーキッチン」の一コマです。「ちょっと風変わりな離乳食教室」という同イベントには、1歳半以下の子どもとお母さんの、7組が参加していました。

水槽に野菜を入れて浮き沈みの実験。子どもたちも興味津々です

「正解は…、じゃあ、入れてみようか?」

水槽の前にいた子どもがトマトを水に落とすと、ゆっくりと沈んでいきました。

「熟して糖度が高まったトマトは水に沈むんですよ。食べごろか知りたかったら水に入れてみましょう」

同団体の代表であり、栄養士でもある松尾美知枝さんがにこやかに説明します。傍らでサポートするのは、メンバーの五十川喜子(いそがわのぶこ)さん。

この浮き沈み実験のほか、野菜に触れたり匂いをかいだり。今回の主役のトマトにちなんで、「ラタトゥイユ」の離乳食の紹介や試食もありました。保育士資格を持つ五十川さん作のオリジナル絵本での説明など、五感を使って食に親しむ工夫がたくさん。

「ラタトゥイユ」を試食。大人用と子ども用がありました
「ラタトゥイユ」にも使えるホールトマトをつぶす体験。「小さいお子さんでも調理に参加してもらえますよ」と松尾さん

「今回は子どもたちが幼いため調理はありません。離乳食教室といっても、親子で食に興味を持ってもらうことが目的です」と松尾さん。

1歳の子どもと参加したお母さんからは、「子どもにバランスよく食べさせるだけではなく、いろんな方向から食に関心を持たせることが大切だと思いました」といった感想が。

松尾さんは「家で一人で子どもと向き合っていると、『離乳食をがんばって作らないと、ちゃんと食べさせないと』と思い詰めてしまうことも。このイベントが、もっと気楽に考えられる糸口になれば」と。

「地面の上になる野菜は基本的に水に浮きます」。手作りの資料や絵本で説明も

食文化の伝承や防災クッキングも

メンバー5人は、もともと子どもが同じ幼稚園に通っていたママ同士。

「食育に力を入れている園で、そこで行われる料理教室にボランティアとして参加したのがきっかけ。自分で作る喜び、食の大切さなどをもっと多くの子どもたちに伝えたいと、同団体の活動を始めたんです」と話す松尾さん。現在では自主開催のほか、保育園や学校、自治体からの依頼で料理教室を行うことも。

「和食を中心に行事食を作ることが多く、日本の食文化を伝えることも意識しています」

また、災害時の食についても広めたいと、「防災クッキング」のイベントも開催。限られた調理道具や食材でカレーなどを作ったそう。

「参加した子どもたちからは、『嫌いな野菜も食べられた』『おいしいものを食べて心が晴れた』『日頃の備えが大切とわかった』といったうれしい感想も。食べることは生きること。活動を通して、子どもたちの『生きる力』を育んでいきたいですね」

7月に5歳〜小学生対象の料理教室をスタートするほか、8月には父子で参加できるクッキングイベントも開催予定。参加費は各1500円〜3500円ほど。問い合わせはメール=kitchenlabo.mothers@gmail.com=で。

右から五十川さん、松尾さん、同じくメンバーの金森さん

五感で楽しむ料理教室 ククラボ主催

「お父さんと一緒に作ろう!
スパイスを使ったオリジナルカレー」

日時2024年8月25日(日)午前10時30分〜午後1時
場所Town Hall Cafe OS’(オズ)
(伏見区久我森の宮町1-56)
対象3歳〜小学2年生の子どもとその父親
定員先着8組 ※定員に達し次第締め切り
参加費1組2000円

申し込みは公式LINE(ライン)から。
LINE ID:@255gbhxz

(2024年7月13日号より)