読者の投資事情

2024年5月31日 

リビング編集部

近年、投資で資産運用をする方法がよく聞かれますね。新NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)で税制優遇するなど、政府も推奨しているよう。実際のところ、どのくらいの人が投資をしているのか、読者の〝投資〟事情について調べてみました。

※2024年4月、リビング読者にアンケート。有効回答数1020

78.4%の読者が関心があるよう

資産運用の方法として、貯蓄と別に推奨されているのが投資。読者に聞いてみたところ、1020人中545人、全体の53.4%が「現在投資をしている」との回答が。さらに「していないが、したいと思っている」人は12.3%、「していない。しようか迷っている」人は12.7%と、現在はしていないものの検討している人が合計で25%。迷っている人も含め、読者の78.4%が投資に関心があるようです。

投資額では、毎月積み立てている人は1万~3万円未満が最も多く、一括投資をしている人は100万円未満に続いて、500万円以上が多い結果になりました。それぞれの方法や金額で投資をしている様子がうかがえます。

投資信託国内企業の株への投資が多い傾向に

投資をしている人は、どんな商品を購入しているのでしょう。

読者の多くが購入しているのが、投資信託でした。資産運用のプロである運用会社(ファンド)に資金を託して運用してもらうというもので、ファンドによっては100円と少額から投資できることが特徴です。続いて多かったのが、国内企業が資金調達のために発行する株式。企業の業績や景気、投資家の売買の状況などに影響されて変動する株価をチェックしながら取引します。その他の回答では、金(きん)や不動産などに投資をしているという人もいました。

投資商品一例

投資信託運用会社が投資家に代わって運用を行います。投資対象となるのは、国内外の株式や債券、不動産ほか。
国内株式・外国株式日本/外国の企業が発行する株式を売買します。配当金や株主優待などがもらえる場合も。
国内債券・外国債券国や自治体、企業/外国政府が発行する債券。購入すると定期的に利子が支払われ、償還されると(※1)額面金額(元本)が返却されます。
(※1)満期と同じ意味
外貨預金外貨で行う預金。引き出し時の損益は為替変動に影響されます。
暗号資産(仮想通貨)インターネット上で通貨のような機能をもつ電子データ。代金の支払いや「円」などの法定通貨と交換できます。

老後や現在の生活のため利回りの良さで選択

投資をしていない人、している人それぞれに理由を聞いてみました。

投資に興味がある人もない人も含めて、していない理由は大きく次の四つです。

「余裕資金がない」「損失の可能性がある」「商品の理解が難しい」「何から始めて良いのか分からない、相談できる人がいない」。投資することに慎重な人、挑戦してみたいけれど相談先が分からないという人が多くいるようです。

投資をしている理由は、「預金よりも利回りが良さそうだから」と答えた人が一番多く、目的については「老後資金への備え」「現在の生活で収入を増やすため」との回答が多い結果に。老後や現在の生活のために、投資という方法が選択されていました。

税制優遇がある新NISAを利用する人も

投資をしている人は、「NISAやiDeCоなどの税制優遇があるから」という声が多くありました。

積み立てなどで少額から投資ができ、投資で得られた売却益などに税金がかからないNISA。今年1月からスタートした新NISAを利用しているという人は、317人。投資をしている人の57.4%です。利用を検討している人も94人(同17%)と、投資をしている人にとってやはり関心の高い制度です。

新NISAとは
投資で得られた売却益などに税金がかからない国の制度。新NISAは2024年1月からスタート。従来より非課税投資枠が拡大され、非課税保有期間も無期限となりました。

インフレ対策に自分のレベルに合った投資

いまどきの投資について、ファイナンシャル・プランナーの山副耕一さんに聞きました。

「物価高でお金の価値が下がるインフレ対策のためにも、投資が効果的だと思います。より人生を豊かにするためにも、自分のレベルに合った投資が大切」と山副さん。

「余裕資金がないという人は、家計を調整して少額でも良いので投資資金を用意してみては。積み立て方式なら投資期間を長くすることで、自然とたまるはずです。損失の可能性を不安に思う方もいると思いますが、生活に響かない程度の金額で実施してください」

商品の理解が難しいという人には、「比較的分かりやすい積み立て方式の投資がおすすめ。一括投資は売買のタイミングがより重要なため、投資を勉強してからの方が良いです」と。

何から始めて良いか分からないという人も多くいましたが。

「金融広報中央委員会、全国銀行協会、日本証券業協会を発起人に、中立・公正な立場から金融経済教育を推進する、『J-FLEC』(金融経済教育推進機構)が4月に設立しました。8月から本格稼働するホームページでは、ファイナンシャル・プランナーや弁護士などに個人が相談できたり、金融経済に関するイベントが開かれる予定も。こうした機関を利用するのも投資を始める一歩に良いですね」

【教えてくれたのは】
山副耕一さん

ファイナンシャル・プランナー。本紙「かけいぼ診断」コーナーで活躍

(2024年6月1日号より)