調べてみました 京都の魚食事情

2024年4月5日 

リビング編集部

4月からリビング新聞ネットワークでは「さかなをたべよう!キャンペーン」を実施。第1弾の今号では、リビング読者の魚食事情、京都府で取れる魚について紹介します。

リビング読者にアンケート

海に囲まれた日本で、親しまれてきた〝魚食〟。ですが、総務省「家計調査」に基づき水産庁で作成された資料によると、生鮮魚介類の1人1年当たりの購入量は、1993年をピークに減少しているそう。

そこで、全国のリビング新聞で「さかなをたべよう!キャンペーン」をスタート。魚の魅力を伝え、多くの人にもっと魚を食べてもらおうという取り組みです。

まずは、読者の魚食事情について全国のリビング新聞で2024年1〜2月にアンケートを実施。3755人(京都府在住291人)から回答がありました。

Q家庭で水産品を調理して食べる頻度は?

Q外食で水産品を食べる頻度は?

Q水産品を食べる頻度を増やしたい?

Q一番好きな水産品の種類は?(上位5位)

※グラフはいずれも京都府在住読者のアンケート結果。有効回答数291

上のグラフは京都府在住読者のアンケート結果。「家庭で水産品を調理して食べる頻度」は、「週1~3回程度」が51.9%と半数を占めました(全国54.1%)。「外食で水産品を食べる頻度」となると、一番多かったのが40.9%の「年に数回」(全国35.9%)と、グンと回数が減ります。

一方で、「もっと食べる頻度を増やしたいと思いますか」という問いには、84.5%とほとんどの人が「増やしたい」といっています(全国86%)。理由を聞いたところ、「自分や夫・親の健康に良いから」(63.4%)、「おいしいから・自分が好きだから」(55.7%)などと答えてくれました(246人・複数回答可)。

京都府の海には約500種の魚介類が生息

京都府で取れる主な魚介類。京都府水産事務所「京都の水産」パンフレットより
京都府で取れる主な魚介類。京都府水産事務所「京都の水産」パンフレットより

地元の水産品を知らないという声が多数

「住んでいる地域に地元の水産品がありますか」というアンケートで、「知らない、分からない」と答えた人が京都府では41.2%でした。全国平均だと24.6%。京都府は北部が海に面しているにもかかわらず、地元の水産品のことをよく知らない人が、4割もいるという結果に。全国よりかなり多いですね。

そこで、京都府の海で取れる魚などについて、京都府水産事務所課長補佐兼係長の井上太郎さんに話を聞きました。

豊かな漁場の京都の海

日本海側にしては珍しく入り組んだ湾が多い京都府北部の海。波が穏やかで、沿岸部での大型定置網を用いた漁法が漁獲量の約8割を占めるという特徴があります。

定置網漁業の様子(画像提供:京都府漁業協同組合)

「表層には対馬暖流が流れている一方、深層には日本海固有水という冷たい水の2層になっているのも特徴です」と井上さん。「表層ではマグロ、ブリ、サワラが、深層ではカレイやカニなど、京都府の海では約500種類のバラエティーに富んだ魚介類が生息しています」

豊かな漁場で一年を通して魚が取れますが、サワラの漁獲量が増加し、これまでに5度、漁獲量で日本一になったことも!

「もともとこの辺りはブリが主体でしたが、2000年ごろから温暖化の影響か、暖水を好むサワラが多く取れるようになりました」

これからはマダイやワカメ、アカガレイ、メバルといった魚介類が水揚げされる時期に。ですが、これらの魚が京都の人に届く機会は多くないよう。

「海で水揚げされた魚は漁港で選別され産地卸売市場へ。セリにかけられ消費地卸売市場やスーパーなどに並びますが、大阪や東京へ出荷されることが多いです。

また、まき網など群れを追いかけて狙った魚をとりに行く漁と異なり、定置網だとまとまって同じものが取りづらいため、スーパーなど数をそろえることが必要なお店には出回りにくいです」

そこで井上さんがすすめてくれたのが、漁港で行われている丹後の風習「浜売り」という魚直売。「現地であれば新鮮な魚が手に入ります。これからの季節は岩ガキやトリ貝も現地で食べられます。観光がてら、京都府産の水産物に親しんでいただければと思います」

「丹後の海育成岩がき」(画像提供:京都府漁業協同組合)

ブランド化の推進も

また、地元産の魚としてブランド化の推進にも力が入れられています。漁業収入を増やすための取り組みですが、ブランド名が付くことで、わたしたちが入手しやすくなる一面もあるとか。

「現地で食べていただくほか、お店などでブランドを指定して買いたいと言ってもらえると、手に入りやすくなるかと思います」(井上さん)

現在、「京のブランド産品」に選ばれているのは「丹後とり貝」と「丹後ぐじ」のみ。ほかにも「京鰆(さわら)」「丹後の海育成岩がき」「京の寒ぶり」など、地名の付いた京都府産水産物のPRが行われています。

「ブランド化されているのは、おいしさはもちろんのこと、いずれも大きかったり形がきれいだったりと自信のある水産物。地元、京都の人にももっと食べてもらいたいですね」

丹後とり貝
京都府で育成されたトリ貝のうち、殻の形がきれいで100g以上のもの(画像提供:京のふるさと産品協会)

丹後ぐじ
白身魚のアカアマダイ。美しい見た目と鮮度を保つため、厳格に取り扱いが行われているとか(画像提供:京のふるさと産品協会)

(2024年4月6日号より)