春、野原だけではなく店頭にも多彩な花々が並びます。ドライフラワーや押し花にして、より長く楽しんでみては。プロが作り方を教えてくれました。
撮影/二階堂直敬
暮らしに彩りを添える花。「この美しさを長く楽しみたい」という人々の望みから、さまざまな手法が生み出されてきました。その中から、初心者でも挑戦しやすいドライフラワー、押し花をピックアップ。インテリアや小物へのアレンジ法までをプロに教えてもらいました。好みのものを選んで、ぜひ作ってみて。
※各材料は、100円均一ショップやホームセンターなどの手芸コーナー、園芸コーナー、レジン用品コーナーなどで販売されています
つるして手軽にできるナチュラルな作品
ドライフラワーで作るスワッグ
花を逆さにつるして乾かす〝ハンギング法〟を教えてくれたのは、フラワーレッスンや花のディスプレー制作などを行っている「image(イマージュ)フラワーデザイン京都」の辻邦子さん。つるしておくだけなので、手間いらず。できたドライフラワーをラフに束ねればおしゃれなスワッグ(壁飾り)に。
「アンティークな色合いが、ナチュラルで落ち着いた空間を演出してくれます。直射日光や湿気を避ければ、1年ほど楽しめますよ。ハンギング法には、ミモザ、スターチス、アジサイ、センニチコウ、ユーカリなど花弁の水分が少ない花がおすすめです」
材料
- 好みの花・グリーン約10本(写真はミモザ、スターチス、バラ、ユーカリ、エリンジウム、ムギを使用)
- 長さ30㎝ほどの棒
- 麻ひも適量(あればジュートクロスやペーパーラフィア)
作り方
①花材はわき枝があればカットし、葉は花の直下の数枚だけを残す
②乾燥しやすいよう1、2本ずつ麻ひもで棒に結ぶ。直射日光の当たらない場所で10日間前後つり下げて乾燥させる
③花材を棒から取り外す。花同士が重ならないよう茎が長めのものから短いものへと順に束ねていき、バランスを整えて麻ひもで結ぶ。茎は10cmほど残してカット
④好みでジュートクロスなどの布やペーパーラフィア(リボン)を巻いて仕上げる
こんな楽しみ方も
アレンジメント
小さなかごや植木ポットにフローラルフォーム(※)を入れ、ドライフラワーをバランスよく刺す
※フラワーアレンジメント用の吸水スポンジ
市販の土台に貼り付ければおしゃれなリースに
乾燥剤によって生花に近い仕上がりに
ドライフラワーで作るボトルフラワー
ドライフラワーの作り方で、シリカゲル(乾燥剤)を使用する方法も教えてもらいました。
「バラ、カーネーション、ガーベラなど水分が多い花材もドライにしやすく、ハンギング法よりも生花に近い色・形を残すことができます。ただし、湿気に弱いのでボトルフラワーなど密閉できる容器を使った作品にするのがおすすめ」(辻さん)。湿気を避ければ半年以上楽しめるとか。
ドライフラワー用シリカゲルはホームセンターなどで購入可能。使用後はフライパンでいって水分を飛ばせば、繰り返し使えます。
材料
- 好みの花材5〜7種を各1、2本(写真はカーネーション、スターチス、デルフィニウム、アストランティア、ユーカリ、カスミソウ、バニーテールを使用)
- ドライフラワー用シリカゲル(1kg)
- リボン(2cm幅)
- 密閉容器(食品保存容器など。底面約15×10cm、高さ10cm以上)
- 密閉できるガラスボトル(直径約10cm、高さ約15cm)
- フローラルフォーム
- 土台用シリカゲル(お菓子などに付属している乾燥剤でも可)
- フラワーアレンジメント用の細いワイヤ
- フローラルテープ
- 木工用接着剤
作り方
①花材は茎を約2cm残してカット
②ワイヤで茎を作る。ワイヤ約20cmを花の下(がく、または茎の太い部分)に横から通し、茎に添って折り曲げる。細い茎の花材はワイヤを茎に巻き付けて固定。ワイヤと茎をまとめてフローラルテープで巻く
③密閉容器にドライフラワー用シリカゲルを半量入れる。❷のワイヤ部分を折り曲げ、花のすぐ下までシリカゲルに埋まるよう刺し込む。残りのシリカゲルを上からかけて花材を完全に埋める。その際、花びらの間にもシリカゲルが入るように丁寧にかけ、小さな花はつぶれないように花の周りから注いでいく。10日間ほど置く
④アレンジの土台を作る。フローラルフォームを直径約5cm、高さ約2cmの円柱形に切り、側面をリボンで覆う。片面をスプーンで深さ5mmほどくりぬいてシリカゲルを入れ、ふちに接着剤をつけてガラスボトルのふたの内側に貼り付ける
⑤埋めておいた花材をそっと取り出し、シリカゲルを優しくはらう。❹の土台に花材をバランスよく刺していき、ボトルをかぶせ密閉する
教えてくれたのは
imageフラワーデザイン京都
辻邦子さん
フラワーレッスンや会場装花制作のほか、花業界をめざす求職者に向けて技術を教える求職者支援訓練も開催
http://image-flower.com/
段ボールを使って色鮮やかに
押し花で作るスマホケース
ドライフラワーとはまた違ったかわいらしさと鮮やかな色が魅力の押し花。段ボールとティッシュを使った初心者向きの作り方を教えてくれたのは、押し花教室「アトリエ花あそび」を主宰する中村容子さん。
「平面に近い押し花は、インテリアだけではなく工夫次第でさまざまなアイテムに変身。スマホケースなど身近なものに取り入れて、暮らしに彩りを添えてみては」
押し花には、花びらや葉の厚みがなく水分が少ないものが向いているそう。「花びらの枚数が少ないビオラ、花が小さいノースポールやカスミソウ、またクローバーなどは失敗しにくいですよ」
材料
- 好みの花材4、5種類を各2、3本(写真はビオラ、ノースポール、レースフラワー、ブプレリウムを使用)
- ティッシュ・段ボール(ティッシュより一回り大きいサイズ)各2枚
- 重しの本(約5kg)
- 透明のスマホケース(ハードタイプ)
- レジン液(20g)
- UV(紫外線)ライト
- ピンセット
- 筆
作り方
①花材は、がくのすぐ下で茎をカットする
②段ボール1枚にティッシュ1枚を重ね、その上に花を並べる。さらにティッシュ、段ボールの順で重ね、重しになる本を乗せる(または洗濯ばさみで段ボールをはさんで固定する)。暖かく湿度の低い場所に1週間程度置く
③ピンセットで花をつまんでみて、花びらがくたっとせずピンとしていれば水分が抜けている状態。丁寧にはがす(すぐ使わない場合は乾燥剤と一緒に密閉袋へ)
④スマホケースの上に、仕上がりをイメージしながら押し花を仮置きし、写真を撮っておく
⑤❹の押し花をはずし、ケースにレジン液を筆で薄く塗る(フチは5mm残す)。写真を見ながら同じ位置に再度押し花を置いていく
⑥❺にUVライトを照射し、レジンを固める。ライトが小さくて一度に全体を照射できない場合は何度かに分ける
⑦固まったら、残りのレジンをケースに垂らしながらやさしく筆で伸ばし、すべての花が浸るように厚く塗る(フチは5mm残す)
⑧❼にUVライトを照射する。裏側からも照射し、固まったら完成
こんな楽しみ方も
コースター
レースペーパーの上に押し花を接着剤で軽く留める。シールタイプのフィルムでラミネートし、形に合わせてカット
お祝いなどのメッセージカードに貼り付けて飾ってもステキ!
教えてくれたのは
アトリエ花あそび
中村容子さん
押し花を使ってさまざまな作品を作るレッスンを自宅サロンで開催。出張講座やワークショップでも活躍中
https://ameblo.jp/yona0508/
(2024年3月23日号より)
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