京都で海を感じる場所

2023年7月14日 

リビング編集部

丹後半島を走る国道178号沿いの「屏風岩展望所」からの眺め 。中央の切り立った岩が屏風岩(画像提供:京丹後市観光公社)

7月17日(祝・月)は、海の日。そこで、京都で海を感じられるスポットをピックアップ。それらは、景観や食文化など、さまざまなものに関わりがありました。

特徴ある地形が観光の見どころに

京都で海といえば、府北部にある海岸。夏は家族で海水浴に行くという人もいますよね。(一社)京都府北部地域連携都市圏振興社(海の京都DMO)の福井誠さんにこのエリアについて聞きました。

京都の海は、丹後半島の北端の経ヶ岬(きょうがみさき)を境に、西側と東側で、地形の特徴が異なるといいます。

岩が立ち並ぶ京丹後市の海域

西側、京丹後市の海岸域は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界ジオパークに認定されている「山陰海岸ジオパーク」の一部。自然が造りだした、ユニークな景観が見られます。

丹後半島沿岸には「立岩(たていわ)」など、柱状の割れ目模様(柱状節理)が縦に並ぶ岩が複数あります。これらは数百万年以上前にマグマの岩床が地中で一気に冷え固まる時にできたもの。後に地上に姿を現し、長い年月をかけて波が浸食して形作られたそう。

海と生きる人々の暮らしが垣間見られます

一方、東側は―。

伊根湾、宮津湾、舞鶴湾は、奥行きがあって波が穏やかなのが特徴。魚が回遊しやすく漁業に適していることから、湾ごとに港町が発展してきました。海と人々の暮らしが融合した光景として有名なのが、伊根町の「舟屋」。海にせり出して立ち、1階が舟置き場、階上が住居という独特のつくりです。

「豊かな自然はもちろん、古代から海とともに生活してきた人々の歴史や文化が随所に色濃く残っています」と福井さん。

遊覧船に乗っての観光も人気。近年は、さまざまなマリンアクティビティーなども用意されています。

京丹後市の後ヶ浜海岸にそびえ立つ、高さ約20mの一枚岩「立岩」。砂浜に降りて近くで見られるのもうれしい
(画像提供:海の京都DMO)
天橋立。宮津湾と阿蘇海の間に延びる全長約3.3kmの砂州。青い海、白い砂、緑の松林のコントラストが美しい
(画像提供:海の京都DMO)

人気の海水浴場をピックアップ

琴引浜掛津海水浴場

透き通った海と輝く白砂が美しい。歩くと、砂に含まれる鉱物の〝石英〟が摩擦で振動し、キュッキュッと音がします。
開設期間:2023年7月1日~8月20日(日)
京丹後市網野町掛津
問い合わせ:京丹後市観光公社 網野町支部
TEL:0772(72)0900

天橋立海水浴場

京都丹後鉄道「天橋立」駅より徒歩で約7分。砂州にある海水浴場。松の木陰で静かに海を眺めるのもいい。
開設期間:2023年7月15日(土)~8月16日(水)
宮津市字文珠(天橋立公園内)
問い合わせ:天橋立駅観光案内所
TEL:0772(22)8030

浜詰夕日ヶ浦海水浴場

夕日の名所。ボードの上に立ってパドルでこぎながら水上を進むアクティビティー「SUP(サップ)」も楽しめます。
開設期間:2023年7月15日(土)~8月20日(日)
京丹後市網野町浜詰
問い合わせ:夕日ヶ浦観光協会
TEL:0772(74)9350

神崎海水浴場

全長約2km。穏やかな海は家族やグループでのんびり過ごすのにぴったり。夏はハマナスが咲く景色も見どころ。
開設期間:2023年7月1日~8月31日(木)
舞鶴市東神崎・西神崎
問い合わせ:神崎観光協会
TEL:0773(82)5120

海流や地形が作り出す、京都の海の恵み

鮮度の良いシロイカの刺身は、身が透き通るよう。甘みが強く、女性に人気なのだとか(画像提供:京丹後市観光公社)
「早朝に沿岸で取れた水産物は、その日のうちに小売店や観光市場に並びます」(井上さん)

京都府の海は、約500種の魚介類が生息する豊かな漁場としても知られています。これには、いくつかの理由があるようです。

一つは、海水の影響。

「京都府の海の表層には、九州の南方の海から対馬暖流が流れてきています。一方、深層にあるのは、日本海固有水という冷たい水。そのため、ブリやマグロ、サワラといった暖流に乗って日本海を回遊する魚はもちろん、ズワイガニやハタハタのような冷たい海に住む水産物も取れるのです」とは、京都府水産事務所 課長補佐兼係長の井上太郎さん。

ほかに、こんな理由も。「沿岸部には、丹後半島や丹波山地の山々から河川を通じて、栄養豊富な水が流れ込みます。すると魚のえさとなるようなプランクトンなどが発生。そこに多くの魚が集まってくるのです」

沿岸で漁ができるため、一年を通して新鮮な魚介類を味わえるのも〝海の京都〟ならでは。

「夏季は、シロイカやアジが旬。界わいの飲食店や宿泊施設では、その日取れたものを刺し身で食べられます。毎日あるとは限りませんので、事前に確認を」

京都市中央市場で活気ある魚の〝せり〟が見られます

ガラス越しに「せり場」を見学できるコーナー
(画像提供:丹⻘社、撮影:マツキ ヒロシ)

京都市中央市場では4月、水産棟の2階に一般向けの見学エリアがオープンしました。

全長約260m。一番の見どころは、1階の「せり場」をガラス越しに見学できるコーナー。午前5時20分から6時ごろまでに入場すると、鮮魚がずらりと並ぶなかで〝せり〟を行う様子を見ることができます。せりとは、売り手が多くの買い手に競争で値段をつけさせ、最高の値段を提示した買い手に販売する取引方法のこと。こちらでは、せりの後も、仲卸業者が競り落とした水産物を店舗へと運ぶ姿などを見られます。

「海が遠い京都市では、ちりめんじゃこや干し魚などがよく食べられてきたため、鮮魚とは別に、塩干物専門の『せり場』も設けられています」と、同市場広報担当者。

また、通路の壁沿いには、市場の歴史や仕組み、京都の食文化に関する展示物が設けられています。タッチすると、魚やカニなどの画像が飛び出すように表示されるパネルなど、楽しい体験型の展示も。

見学エリアについて「市場の役割を知ってもらって、市場から流通する食材の消費を拡大すること、京都の食文化の素晴らしさを継承することを主な目的として新設しました」と、話してくれました。

◯京都市下京区朱雀分木町80。同見学エリアへは新千本通七条上ルにある同棟入り口から。

海中にいるかのように演出された空間も
市場で使われる小型運搬車「モートラ」の運転を疑似体験できます。魚を運ぶ気分で乗ってみて

京都水族館では、海の生き物や環境を守る取り組みも

「京の海」大水槽
(画像提供:京都水族館)

京都市内で海を感じる場所といえば、京都水族館。舞台裏では、海の生き物や自然環境を守るための取り組みが行われています。

例えば、京都大学による海生哺乳類のストレス評価に関わる研究に協力。「定期的な健康チェックのためにイルカやオットセイから採取した血液の余りをサンプルとして提供しています」(企画広報チーム 藤原綾菜さん)

また、開館当初から全ての水槽で人工海水を使用しているとか。「人工海水の場合は、海から海水を運ぶ必要がないので、運搬のときに発生するCO₂を抑えることができます」

さらに、水槽に使用する照明のLED化、管理システムの導入によって、エネルギーの使用量を削減。太陽光発電などの再生エネルギーの活用も進めているそう。

「生き物との出会いをきっかけに、その生態や環境に関心を持っていただけるとうれしいです」

◯京都市下京区観喜寺町35-1(梅小路公園内)

ハンドウイルカの検査の様子 
(画像提供:京都水族館)

いにしえより航海の安全を守ってきた月読神社

松尾大社から南へ約300mの場所にある摂社・月読(つきよみ)神社。祭神の月読尊(つきよみのみこと)は、もとは壱岐島でまつられていた海上交通の神様。西暦487年に、桂川沿いにあったとされる歌荒樔田(うたあらすだ)の地に神社を建てて分霊され、856年に現在の地に移ったとされています。

◯京都市西京区松室山添町15

月読尊がまつられている本殿

(2023年7月15日号より)