おいしい食材の見極め方

2020年10月9日 

リビング編集部

食欲の秋。せっかく買うなら、できる限りおいしい食材を選びたいですね。お店に並んでいる野菜、果物、肉、魚の中からより良い品を見分け、おいしく味わうポイントとは? その道のプロに教えてもらいました。

撮影/三國賢一

野菜

旬の野菜は、当たり外れが少なく栄養豊富

「野菜はそれぞれの旬を知り、その時期に味わうことが大切」とは、京都青果物小売協同組合理事長で「京野菜 八百廣」店主の石塚清三さん。

「最近では、ほとんどの野菜が季節に関係なく手に入るようになりましたが、旬の時期に収穫されたものは風味がよく栄養豊富で、当たり外れも少ないんです。それ以外の時期に買うと、あまりおいしくなかったり、根菜類の内部に鬆(す)ができていたりすることも」

葉もの野菜については、「カットすると鮮度が落ちやすいので、丸ごと買って冷蔵庫で保存するのがおすすめ」。秋が旬の野菜(写真)の見極め方も参考にして。

サツマイモ

料理に合わせて選ぶのもポイント

太さや皮の色、味、食感は、品種・産地によってさまざま。石塚さんによると、傷や変色した部分がないものを選ぶほか、料理によって使い分けるのもポイントとのこと。「細くて小ぶりのものは大学芋など味付けする料理、太めのものは輪切りにして天ぷらなどに」。土付きのサツマイモは掘りたての証し。長持ちしやすいそうです。

ニンジン

ひげが少ないものをチョイス

茎の切り口となる軸が小さくて色つやがよく、ひげが少ないものが柔らかいとか。「10月の終わりから11月ごろに出回る葉付きのニンジンは、近郊の産地で収穫されたばかりの新鮮な品で、サラダにぴったり。都市部ではめったにお目にかかれないので、見かけたら試してみてください」

チンゲンサイ

シャキッとして鮮やかな葉がサイン

一年を通して流通していますが、秋は特においしい時期。「鮮やかな緑色のシャキッとした葉で、茎がしっかり立つものを選んでみてください。ただし、多少元気がない程度なら、水につけるのも一つの手。シャキッとすることが多いですよ」

レンコン

丸みのある真ん中部分を
探しましょう

1節のレンコンの中でも、最もおいしいのが真ん中の部分。「カットされたレンコンを買う場合は、より丸みのある真ん中に近いところを選んで。1節丸ごとのものは日持ちしやすいです。徳島県産はシャキシャキ、茨城県・岡山県産はむっちりした食感のものが多いので、好みでセレクトを」

シメジ

水滴がついているのは避けて

軸がしっかりし、湿り気がなく乾いているものを見極めましょう。パック内に水滴がついている場合、日数がたっている可能性が高いので避けた方がいいそう。「より長持ちするのは石づきが付いたもの。秋は一般的なブナシメジのほかにも、ハタケシメジなど多種のシメジが出回ります」

果物

果物の見極め方を教えてくれたのは、京都市中央卸売市場内で青果卸売業を営む「京都青果合同株式会社(京果)」果実部の藤田学さん、濱口隆弘さん、石原大督さん、高山栄次さん。

「果物全般に共通するのは、ヘタや軸がみずみずしく、果皮にハリがあってムラなく色づいているものが新鮮でおいしいということ。古くなってくると水分が抜けて軽くなるので、重さも判断の目安になります」と、高山さん。それぞれが担当する果物について話を聞きました。

リンゴ

色、軸の太さ、香りをチェック

よく色づいてつやがあり、軸が太く香りが良いものを。「〝お尻〟の部分が緑色から黄色に色づいてきたら食べ頃。秋から冬に多く流通します」と濱口さん。「リンゴは長期保存が可能なので年中手に入りますが、フレッシュな味わいとシャキシャキした食感は、収穫したてならでは。旬の時期に出回る品を買って食べるのがベターです」

皮の色が濃くヘタが緑のものを

実が大きく、皮の色が濃い柿が甘くて美味。ヘタが緑色だと、新鮮で日持ちします。「柿の食べ頃は好みによるので、皮を触って判断を。10月ごろに出回るのは、刀根早生柿、平種なし柿などの種なし柿。柔らかな果肉とまろやかな甘さが特徴ですが、実は渋柿で、収穫後に渋抜き加工されています」(高山さん)

ナシ

皮の色合いと触感が目安

より黄色く色づき、ツルツルしているのがよく熟したナシ。一方、皮が緑色を帯びてザラザラしたものは熟しきっていないといいます。「ナシは傷みやすく、古くなるとシャリシャリした歯ごたえが失われてしまいます。旬に食べ頃のものを選び、早めに食べることをおすすめします」(藤田さん)

ブドウ

大きく軸が太いと栄養たっぷり

ハリがあって粒が大きく、軸が太いブドウは栄養も豊富。表面に付いたブルーム(白い粉)は、完熟して甘味が強いサインです。「巨峰などの黒系の品種は、色が濃く美しく色づいたものがおいしいとされています。シャインマスカットは緑色より黄色っぽい方が甘味は強いんですよ。ただ、ブドウは糖度が高いので、緑色でも甘味は十分です」(石原さん)

「モリタ屋クオリティフードマーケット京都食肉市場前店」店長の大塚慎一さんからは、「肉は種類にかかわらず、色つやがよくドリップ(水分)が出ていないものを選んで」とのアドバイスが。ドリップと一緒に、うま味も抜けてしまうとか。解凍品は特に出やすいので、できれば避けた方がいい、と話します。

見落としがちな脂肪部分にも注目を。「おいしい肉は、脂が見るからにしっとりしています。逆に脂がぱさついて見えるなら、鮮度がよくない可能性がありますね」

牛肉

和牛と国産牛の違いにも注意

鮮度が落ちると褐色や黒ずんだ色になってくるので、きれいな赤色の肉を選ぶのが大事。「牛肉はもともと暗赤色で、カットした後に空気に触れて酸化し、鮮やかな赤色になります。重なった状態で売られていると空気に触れていなかった部分が黒っぽいケースがありますが、これは問題なし」。和牛と国産牛との違いもポイント。「国産牛の多くは乳用種と和牛との交雑種で、和牛とは品種が異なります。脂に甘味のある柔らかい牛肉を味わいたいときは、サシの入った和牛をどうぞ」

豚肉

適度な量の脂が味の決め手

きれいなピンク色で、つやのある肉を選ぶのが基本。「豚肉のおいしさは脂で決まります。モモやロースも、赤身が多いものより適度に脂を含んだ肉の方が、口当たりがよくうま味が感じられます」

鶏肉

新鮮な肉には光るようなつやが

3種の肉の中でも、特に鶏肉は鮮度が命。「新鮮な鶏肉はつやつやとした光沢があり、皮の部分の毛穴が立ち上がっています。厚みのある肉を選ぶと、味が良く、食べごたえもありますよ」

魚の見極め方は、京都水産物商業協同組合専務理事で、鮮魚「坂安」の岡本裕之さんが伝授。「丸ごと1匹の魚の場合、白目が透き通っていて体につやがあり、エラの内側が赤いものが鮮度のいい品。なるべく引き締まった体つきのものを選びましょう。切り身は血合いが鮮やかで、身がふっくらして角が立ち、ドリップが出ていないものが新鮮です」

さばくと鮮度が落ちやすくなるため、丸ごと買うか、さばいてから間もないものを買うのがいいとのこと。「好きな魚をその場でおろしてもらうのも一つです」

カツオ

たたきは生か、解凍品かを確認 

秋は脂ののった戻りガツオの季節。ほとんどの場合、たたきにして販売されています。「血合いの色がよく、血なまぐさい臭いがしないカツオを見極めて。すぐ食べるならスライスでもOKですが、冊で買うと変色しにくく鮮度も保ちやすいですよ。たたきには、生の状態であぶったものと、冷凍品を解凍したものがあります。前者の方がおいしいので、確認して購入を」

サンマ

くちばしの色や太り具合に注目

くちばしが黄色く、頭の後ろから体にかけて肉がぐっと盛り上がっているのが、脂がのったサンマ。産地もカギになります。「春から夏にかけ太平洋を北上し、栄養豊富な親潮(千島海流)に乗ります。北海道近海で栄養をつけて太った後、8月半ばから秋に日本列島に沿うように南下。南下するにつれて脂肪が落ちるので、北海道・根室産や釧路産のサンマが最も脂がのっているんです」

サワラ

切り身は血合いの色を手がかりに

切り身は血合いの色、身の状態、ドリップの有無をチェック。「サワラの血合いはごくわずかですが、新鮮なものは発色の良い赤色をしています。丸ごとで買う場合は、小ぶりでも体にハリがありそうなものをチョイスするといいですね」。秋から冬にとれるサワラは、特に脂がのっておいしいのだとか。

(2020年10月10日号より)