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「東映太秦映画村・映画図書室」で映画資料を無料公開

2020年9月4日 

リビング編集部

台本やスチール写真など、さまざまな映画関係の資料が無料で閲覧できる「東映太秦映画村・映画図書室」。7月、「東映太秦映画村」内にオープンしました。映画文化にたっぷりと浸れる、ここならではの空間を訪ねてみました。

撮影/山﨑晃治

多くの映画会社が撮影所を置いた、京都市太秦。

「ここには、東映の倉庫に眠っていた資料だけでなく、東宝、松竹、日活、大映といった映画会社やスタジオジブリなど他社から譲り受けた資料もそろっています」と、東映経営戦略部アーカイブ・スクワッドの石川一郎さん。「東映太秦映画村・映画図書室」で、資料の保存や活用を任されています。

「亡くなられた映画関係者の遺品など、個人からの寄贈品もあります」

台本約1万5000冊、ポスターは約3万点、スチール写真約10万枚、映画雑誌など書籍が約7000冊、DVDを含む映像ソフトが約5000点と、所蔵数は膨大!

戦前・戦中の作品から現在に至るまで、更新され続けています。京都大学と協力して2018年から資料の整理などアーカイブ(保存記録)化を進め、7月に同室がオープンしました。

所蔵品はホームページや同室のパソコンから調べられます。閉架式なので希望する資料を常駐スタッフに伝え、事務所と一緒にある図書室内でのみ閲覧が可能です。

貴重な資料は劣化を防ぐ箱入り。映画会社、年代別に丁寧に整理されています
「キネマ旬報」の戦前からのバックナンバー。日本映画の歴史が詰まっています
アニメ作品など種類も豊富。封切り前までタイトルが伏せられていた「ゴジラ」の台本には、頭文字をとり「G作品」と

貴重な資料に、身近に触れられる場所

「『東映太秦映画村』にはテーマパークとしての役割の半面、映画文化資産の活用という理念があります」とは、スタッフとして関わる関西大学文学部総合人文学科非常勤講師の伊藤弘了さん。週に数回、研究や資料整理のために通っていて、他にも京都大学の院生たちが携わります。

「どれだけ貴重な物でも、価値がわからないと捨てられたり無駄になってしまいます。この図書室は、同社の理念を社会に還元できるよう生まれたんです」と伊藤さん。

映画資料がまとまって見られる場所は関西には珍しいそう。戦前から保管され続けてきた資料とともに、多くの関係者に受け継がれてきた思いが感じられます。

実際に台本を見せてもらうと、中にはスタッフや俳優の書き込みがあるものもあります。監督として数々の映画やドラマで活躍した石川さんが「撮影してみてこうした方が良いとなれば、撮影台本に書き込んだり追加の原稿が配られるんですよ」と教えてくれました。

伊藤さんからは「書き込みのある台本には、現場でしかわからないことが残っています。研究対象としても、とても意味がある資料なんです」と。

研究のために各所から訪れる人や子ども連れ、映画が趣味という人などすでに多くの人が来室しているといいます。中には、一日中居続ける人も。

「こういうものがあるということを知って楽しんでもらいたいですね。映画研究や文化の発展につながれば」と2人。

開室は平日の午前10時~正午、午後1時~4時、土日祝は休室。入村料、入室料無料です。5営業日前までにホームページ(https://www.toei-eigamura-library.com/)から要予約。1日1組限定。閲覧スペースに限りがあるため、対応人数は同室に確認を。TEL:075(864)7718。

石川さん(右)が助監督を務めた「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」(大森一樹監督)の台本。伊藤さん(左)の手には「浪華悲歌(ナニワエレジー)」(溝口健二監督) ※撮影のためマスクを外してもらっています
図書室の入り口があるのは、同村正面口とは反対の撮影所口すぐの所。隠し扉のような場所から同室(写真左の建物2階)へ

(2020年9月5日号より)