ライブハウスの〝今とこれから〟

2022年10月28日 

リビング編集部

音楽文化を発信するライブハウス。コロナ禍では、営業自粛や閉店など苦境に立たされました。京都で40年以上、客やミュージシャンに愛されるお店の〝今とこれから〟を取材。各店では、客席を減らすなどの対策をしてライブを実施。読者の応援メッセージとともに紹介します。

撮影/橋本正樹、三國賢一

歴史を絶やさぬようライブの開催に注力

築105年の酒蔵を改装した独特な雰囲気の「磔磔」。48年続く同店は当初レコード喫茶で、現3代目の店主・水島さんの父の代からライブ演奏が行われるように。木造なので音が自然に聞こえやすいと、演者にも人気だとか。社会情勢を考え、2年前の春に無観客配信を始め、現在は有観客のライブがメイン。合わせて配信を行うこともあり、生に近い状態を届けるためカメラワークなどを工夫しています。「ライブの継続はもちろん、来店できない方や家でもう一度楽しみたい方のために配信にも力を入れています」と水島さん。

客席の中心には柱があり、趣が感じられる店内

「お客さんやスタッフ、出演者の支えがあってこその店。今は50周年を迎えることが目標」(水島さん)

磔磔(たくたく)
京都市下京区筋屋町139ー4、TEL:075(351)1321
http://www.geisya.or.jp/~takutaku/

ライブ後の出演者とのパーティーも楽しかったです。これからも歴史に残るライブを続けていってください。(HDさん、59歳)

演者は客席を通ってステージに行くため、盛り上がります。つぶしてはならないお店、頑張ってください。(MMさん、45歳)

学生、社会人になったころに通いました。当時はツメツメの状態でしたが、隣の観客と話したり演者をいじったり一体感がありました。コロナ対策も大変かと思いますが、頑張ってください。(TKさん、49歳)

日本はもとより世界に誇れるライブハウスなので、この先も多様性を受け入れ、発信できるライブハウスとして継続していってください。(MKさん、55歳)

店内にはアーティストをイメージした手作り看板がずらり。スタッフとバンドが相思相愛な感じで温かい雰囲気が大好きです。これからも京都の誇り!(TYさん、29歳)

音楽を鳴らし続けるためライブも配信も精力的に

2022年4月に41周年を迎えた「Live Spot RAG」。北山でジャズ喫茶「Jazz Spot RAG」として誕生後、現在の場所へ。コロナ禍では「生の音楽が好きで配信には抵抗があった」という社長の秋葉さん。社員の強い後押しで機材をそろえ、2年前の春、無観客配信を導入。「配信を常連の方が聴いていると知ったときの感動は言葉にできませんでした。音楽は不要不急ではなく、届けることに意味があると考えを改めましたね」。今はライブや有観客配信を開催。「ライブにはライブの魅力がある。お客さんの来店も、昔なじみとの再会のようにうれしいです」

ミュージシャンとのつながりも深いという同店。いたるところにサインが

「もがき続けた2年半。〝頑張るあなたに鳴りやまない音楽を〟をスローガンに今後も積み上げていきたいです」(秋葉さん)

Live Spot RAG(ライブスポット ラグ)
京都市中京区木屋町通三条上ル 京都エンパイヤビル5階、
TEL:075(241)0446
https://www.ragnet.co.jp/livespot/

ステージが近く、アットホームな雰囲気、一体感が気持ち良くていい思い出しかありません。ここで友達もたくさんできました。これからも末永く頑張ってください。(HYさん、54歳)

大学時代、引退ライブで活気にあふれていた景色が今も目に映ります。青春といえばRAG。店長やスタッフが温かく、音響も場所も大好きです。(NMさん、27歳)

まだまだ油断出来ない状況ですが、年齢問わずまた木屋町に刺激的なそしてピースフルな時間を提供してくださるとありがたいです。(IMさん、52歳)

私の青春時代の聖地、いつまでも素敵な音楽を発信してください!(MYさん、57歳)

コロナ禍でライブハウスも大変な苦労をされていると思います。あの一体感や興奮はライブハウスならでは! ぜひまた楽しく観賞させていただきます。(MKさん、36歳)

惜しまれつつ閉店 パブも兼ねて再出発

2020年、コロナ禍でのビル閉鎖に伴い、「VOXhall」(前身「BIG BANG」)が閉店。40周年目前でのことでした。その後、店長だった有堀(ありほり)さんが新天地で「PUB VOXhall」を再スタート。楽器や機材は前店の社長から譲り受け、今秋で1年がたちます。

「復活を信じてくれたスタッフや応援してくれるお客さん、出演者のおかげで、諦めることなく再出発できました」と有堀さん。新店は「人と人との社交場にしたい」と思い、ライブがない日はパブに。ライブは未経験という人も、音楽やバンドを知るきっかけになっているといいます。

客席とステージの床はフラットで距離が近く、同じ目線になるのが特徴

「ここではお客さんと話す余裕ができて友達も増えました。音楽イベント、パブ営業ともに盛り上げていけたら」(有堀さん)

PUB VOXhall(パブ ボックスホール)
京都市上京区北小路室町388 地下1階、
TEL:075(431)1596
https://voxhall.net/

「VOXhall」は私の青春そのもの! 学生時代、よくライブを聴きに行っていました。(HMさん、59歳)

約25年前に、子どもの保護者同士でバンドを組み、ライブに出演。若いころがよみがえったような楽しい時間に。老若男女問わず楽しめるライブハウスとして続くことを期待しています。(KHさん、60歳)

友人のバンドを聞きに行った。「夜遊びは楽しい」を教えてくれた場所。(KKさん、51歳)

何度も見に行って、出演もしたハコ。新しくなったお店にも遊びに行きたいと思います。(WMさん、50歳)

出演者用ステッカーを楽器ケースに貼るのがかっこよくて、みんなで貼っていました。階段になっている客席が見やすくて好きでした。新しくなったところも行ってみたいです。(NMさん、27歳)

(2022年10月29日号より)