読者の熱い〝推(お)し活〟事情をクローズアップ。ちょっとレア?な推しを持つ3人のインタビューも。
※2021年6月、リビング読者にアンケート。有効回答数864。本文( )内は読者のイニシャルと年齢 イラスト/松元まり子
過半数の読者は〝推し〟がいる
〝誰かにすすめたいくらい好き〟な人やもの。近頃ではそれらを〝推し〟と呼び、その推しに関する活動を〝推し活〟といいます。読者にアンケートを行ったところ、53.4%が「推しがいる(ある)」という結果に。
もとは、アイドルグループのファンが一押しのメンバーのことを〝推し〟と呼んでいたことから、その言葉が広まったようです。読者もアイドル系の推しを持つ人は多く、推し活としては「テレビ出演をチェックする」「SNSをフォローする」「ライブに行く」などが挙がりました。中には「推しの誕生日会を勝手に開く」「推しが好きなキャラクターグッズを自分も集める」「推し(外国人)の言葉を理解するために留学した」という人も!
人物以外にもアニメや漫画、スポーツ、食べ物、動物、家電などさまざまな〝推し〟が。SNSを使ってその魅力を発信したり、仲間と情報交換をしたりする読者も多いようです。
そういった推し活はただ楽しいだけではなく、日々の生活にプラスの効果ももたらしているよう。そんな読者のハッピーな声を紹介しています。
\推しへの愛が止まらない!/熱すぎる読者の推し活
- 本人不在の誕生日会を開催
- BTS推し/韓国語を勉強しハングル能力検定も受験。推し友達と彼らのセンイル(誕生日) パーティーをしたり、韓国でゆかりの地巡りも(FSさん/43)
- 実物の刀もたずね歩く
- 刀剣乱舞(コンピューターゲーム)推し/グッズ購入のほか、ゲームのキャラクターのモデルとなった刀を見に寺や博物館へ行くことも。舞台化、ミュージカル化されたときも見にいきました(HUさん/43)
- 読者獲得をねらって
- 村上春樹さん(小説家)推し/推しと誕生日が同じ私。友人からのお祝いメールには、「村上春樹さんもお誕生日。あなたにはこの作品がオススメ!」と返信で読者獲得活動をしています(YKさん/33)
- 全国の動物園で動画撮影
- レッサーパンダ推し/レッサーパンダがいるあらゆる動物園に行って動画を撮り、SNSで発信。東北まで足を運んだことも(UMさん/37)
- 理想のタイプとアピール
- 明智光秀推し/独身時代、「男性のタイプは?」と聞かれると「明智光秀です!」と答えていた。ゆかりの土地を巡り、お墓にも参りました(MMさん/43)
- 仕事に行くときも一緒
- 木村拓哉さん推し/通勤バッグはライブ限定品。スマホの待ち受け画面も彼で、常にそばに感じていたい!(NNさん/56)
- 生産地に見学も
- ミョウガ推し/ミョウガが好きすぎて、高知の生産農家へ見学にも。ミョウガを使ったレシピをウェブにアップして魅力を発信しています(KFさん/64)
\推しているだけで日々ハッピー?/読者が感じたうれしい効果
読者に推し活を通して「よかった」と感じたことを聞くと、「癒やされる」「楽しい」のほか、「モチベーションが上がる」「日常に感動をもらえる」など、精神的な刺激としての効果が挙げられました。推しは心の支えになり、前向きに人生を歩む活力剤にもなっているよう。
また、共通の推しがあることで「家族の絆が強まった」「友人が増えた」といった声も多数。世代や性別、中には国までも超えて、人と人をつなぐ推し活。仲間がいることで、活動はさらに深く楽しくなっているようです。
- がんばりに刺激されて
- Kis-My-Ft2 北山宏光さん、横尾渉さん推し/推しが勉強したり資格を取ったりしているのを知り、自分もがんばろうとモチベーションがアップ(NAさん/23)
- 家族の絆がより強く
- 阪神タイガース推し/家族全員が阪神タイガースが大好きなので、まとまりができました(KFさん/71)
- つらいとき、心の支えに
- 早霧せいなさん(元宝塚トップスター)推し/前の職場で精神的につらい日々が続いたとき、推しの存在に心を救われました。私の元気のもと、心の太陽です!(NMさん/59)
- 究極のアンチエイジング
- KAT-TUN 上田竜也さん推し/美容やオシャレに興味がなかった私がコンサートのために服を買ったりエステに行ったり。推し活は究極のアンチエイジングです(IAさん/48)
- 大変な育児もがんばれる
- 三浦翔平さん推し/彼のSNSを見るだけで疲れも解消。同時期に子どもが生まれたので、自分も育児をがんばろうと思えます(STさん/31)
- 失った?トキメキに満たされる
- 韓流ドラマ推し/結婚後は(夫以外と)恋愛をすることもなくなりましたが、ドラマはドキドキやワクワク感を味わわせてくれます(IMさん/37)
- 友人の幅が広がった
- 鍵井靖章さん(水中写真家)推し/推しが同じということで、自分の年齢層とは異なる人、未知の分野の職域の人など多くの友人ができた(MMさん/66)
ちょっぴり困ったことも…
- ライブやグッズ購入などにお金がかかる(TTさん/41)
- 推しのミュージカルを見るためしばしば東京へ。「遠距離の彼がいる」と社内でウワサに(OAさん/38)
- ハリネズミ推しの私。飼っているハリネズミが元気がないと自分も体調不良に(MYさん/50)
- 推しアニメのフィギュアコレクションを見た娘に引かれた(AKさん/49)
豆に地蔵にカタツムリ〝推し続けてどこまでも!〟
京都でスペシャルな推し活を繰り広げる3人。その原動力とは。
豆は幸せのタネである
五木のどかさん
知らない豆を見れば即買い、豆料理を作って食べ、ブログやワークショップなどで豆の魅力を広める。「豆・豆料理探検家」として活躍する五木のどかさんの日々は、まさに豆づくし。
「知り合いのほとんどいない京都に越してきたとき、毎月1日と15日にアズキを炊いて赤飯を作り、知り合った人に『今日は赤飯の日』と伝えながら配ったんです。豆は人との縁を結ぶ〝幸せのタネ〟ですね」
その熱い〝豆愛〟が広まり、新聞や雑誌への寄稿、TV出演、業界誌「豆類時報」への記事執筆も頼まれるように。2016年の〝国際マメ年〟には豆料理のフルコースを提供するイベントを主催しました。
「今や、全国に豆つながりの知り合いができました。今後も豆を通して、人と人との縁をつないでいければ」
豆なブログ
https://mame-lab.jp/
おもしろさが尽きない地蔵
森篤さん
京都市内を中心に約3300もの〝お地蔵さん〟を訪ね歩き、ウェブ上のマップ(※)で公開している森篤さん。はじめは通勤中に見つけた地蔵をSNSにアップしていましたが、やがて休日を費やして1日30カ所を回るまでに。活動のつながりから、大学教授などが調査結果を発表する「お地蔵さまサミット」や、対馬で現地の地蔵を調査するフィールドワークにも参加しました。
「お地蔵さんは地域により多彩なのが魅力。それを祭る祠(ほこら)もさまざまです」と森さん。さらに文化圏、作り手、地蔵盆の風習など、着目点を変えると同じ地蔵も違って見えるのだそう。
「地蔵探しをきっかけに、道端の〝愛宕灯籠〟や〝小鳥居〟も気になってきて」。地蔵から広がった無数の興味の道へ、今日も踏み込む森さんです。
京都のお地蔵さんMAP
https://www.google.com/maps/d/viewer?mid=1maiCUPPgqhyNANkh-f7PBwhSNJ4&hl=en_US&ll=0%2C0&z=12
カタツムリのようにゆっくりと
河野甲さん
カタツムリを求めて、懐中電灯一本で夜の山中へ。「恐怖感と、見つけたい欲求のせめぎ合いがおもしろいんです」。そう話すのは河野甲さん。木津川市にあるかたつむりミュージアム「ラセン館」のあるじです。皮革造形作家である河野さん。15年前に仕事のモチーフとしてカタツムリを制作してから、造形のおもしろさ、多様な種類にひかれて趣味でも作るように。ついに私設のミュージアムも開設しました。
地域の固有種を探しに、ときには離島や高山へ赴くことも。同館には現在約500種のフィギュアが展示され、そのリアルさには驚かされます。
作品を知った人から出張展示会や小学校での一日授業の依頼もあるそう。「カタツムリのようにゆっくりと、縁がつながっていますね」
(2021年8月28日号より)
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