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今年は、収入や働き方の変化にかかわる相談が多く寄せられました。そこで、今回は、スペシャル版として、これからの家計の考え方をファイナンシャルプランナーの山副耕一さんに聞きました。
使う・貯める工夫を。家計のキーワードは「調整力」
物価上昇のニュースが続き、家計の収入増もそれほど期待できないとなると、まず節約を考えますよね。ですが、「節約続きで疲れた」と気持ちが沈みがちな人もいるのでは。限られた収入だからこそ、これまで以上に使い方や貯(た)め方を工夫する「調整力」が必要になりそうです。
子どもに使うお金で重視したいのは?
家族の年代や状況によって、お金の使い方は異なります。
子どもがいる家庭では、教育費など子どもに使うお金が一番の課題です。現在、3〜5歳のすべての幼児を対象にした「幼児教育・保育の無償化」、所得制限などの条件はありますが「高校無償化」「大学無償化」も実施されています。幼稚園や保育園、小・中学校から高校・大学などの費用に対する助成の充実が図られていることから、子どもの進路の幅が広がったといえそう。
一方で、学校授業料などの負担が軽減したことで、各家庭での子どもに使うお金の〝自由度〞が高まっています。子どもの志向に合わせてクラブ活動やスポーツ、習い事や学習塾などにかかる費用を確保するのも一考。どういった使い方をするか、調整力が大切に。
こういったお金の準備は、子どもが小さいころから時間をかけて取り組めるのがメリットです。コツコツと積み立てたり、長期の資産運用を活用するのが得策。少額なら、家計の負担も調整しやすいでしょう。
熟年世代の支出は「生きがい」が軸
60歳以降のリタイア世代の場合、支出の選択は、「生きがい」を軸にした予算を設けることがポイントになります。収入源が年金のみになると、あれもこれもというわけにはいきません。
支出項目を見直すなら、まずは生命保険をチェック。働き盛りのころに契約した高額な死亡保障を、定年後もそのまま続けているケースがよくあります。また、免許を返納し、公共交通やタクシーを利用する生活に切り替えると、自動車関連の支出が抑えられます。
老後資金を補うため、資産運用を活用するのも家計にとっては調整できる要素のひとつです。ただし、無理はせず、年金だけでは不足する分をほんの少し補う程度の目標設定がおすすめです。
また、60歳以降も働く人が増えている状況を踏まえた制度の改正も。2022年5月以降、確定拠出年金(iDeCo・企業型DC企業型)の加入可能年齢が拡大され、iDeCoは64歳まで、企業型DCは69歳まで加入できるようになります。加えて、同年4月から、受給開始時期の上限年齢も、現状の70歳から5年引き上げられて75歳に。上手に活用して、生活資金を少しでも増やしておきたいですね。
新しい年は、家計にあった「調整力」アップを目指してください。
ファイナンシャルプランナー
山副 耕一 さん
(2021年年末年始号より)
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