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いつからどう教える?キャッシュレス時代のマネー教育

2021年4月2日 

リビング編集部

〝キャッシュレス〟が広まりを見せる現在。子どもたちにお金の価値や管理法をどう教えるか、専門家にポイントを聞きました。

イラスト/ヤマサキミノリ

\ここがポイント/ マネー教育は〝しつけの一環〟

「キャッシュレスに関するマネー教育」について子どもを持つ読者にアンケートを行ったところ、「親自身よく知らない」「子どもがきちんと残高管理をできるのか」などさまざまな不安や疑問が挙げられました。

そんな声に対して「京都府金融広報委員会」事務局長の茨木衛(まもる)さんは、「過度に不安がらず、わからないときは親も共に学ぶ姿勢で取り組んで」とアドバイス。

「そもそもマネー教育は特別なものではありません。しつけの一環と考えて、手洗いやあいさつと同様、日ごろから親が手本を示し学ばせて」と茨木さん。現金もキャッシュレスもそれは同じだそう。具体的な方法を紹介しています。

教えてくれたのは

京都府金融広報委員会 事務局長 茨木衛さん

「マネー教育は〝生きる力を養うこと〟です」
https://www3.boj.or.jp/kyoto/koho/


step1キャッシュレスはいつからどう教える?

A日常の場面で説明を。使い方は現金から

マネー教育は「いつ始めればいい?」と思った時が教え時、と茨木さん。

「幼くても、例えばままごとで野菜とコインを交換すれば、『ものを買うにはお金が必要』とわかりますよね」

キャッシュレスについては「子どもと外出した際、クレジットやアプリで品物の代金を支払う、ATMでお金をおろす、交通系電子マネーを使って電車に乗るといった場面でお金の流れを説明してあげることから始めて。最初は理解できなくてもいいんです。知識を得るうちにわかるようになりますよ」

とはいえ、実際に使わせてみるのは現金からがよいそう。

「お金と物は交換できる、お金がないと物が買えない、といったことは物理的なやり取りの方が理解しやすいもの。いきなり電子マネーなどを使い始めると、『いくらでも使える魔法のカード』になってしまいます」

キャッシュレスの導入については「通学で定期が必要なら交通系電子マネーを使わせてみる、自分のおやつは流通系電子マネーで買わせる、といったように子どもの環境や理解度に合わせて判断を。補償制度やセキュリティーなど親が安心して持たせられると判断したものを使わせましょう」

読者はどう教えている?

  • スーパーで現金をチャージしたカードを使用しているので、その意味を教えています(子ども11歳)
  • クレジットカードは借金をしているのと同じで、プリペイドとは違うことなど説明している(子ども13歳・11歳)
  • テストが100点だったら、PayPayに100円を送金して貯金させています(子ども10歳)
  • ICOCAを持たせ、塾のお弁当代などはそこから払わせています。スマホで支払うのは高校生からかな(子ども14歳・12歳)
  • 買い物をする際、小学生の娘にはキャッシュレスのメリット、デメリットを教えています(子ども8歳・0歳)
  • カードで使用したお金と残高を通帳で見せて、「使いすぎないよう計算して使うこと」と教えた(子ども9歳)


step2使い過ぎが心配。お金の管理はどうする?

Aお小遣い帳を習慣に。親も管理をサポート

茨木さんによると、オートチャージ(自動入金)式だといくらでも使ってしまう危険性があるので、子どもにはプリペイド式のカードなど限度額が設定できるツールがおすすめだそう。

「現金でもキャッシュレスでもお小遣い帳をつけるよう習慣付け、使用金額や残高を把握させましょう。キャッシュレスの各ツールは履歴もまとめて確認できます。子どもに持たせたままにせず、親も定期的にチェックを」

子どもが使いすぎてしまった場合は?

「大切なのはなぜ使いすぎたのか、今後どうすればいいのかを考えさせ、失敗を繰り返させないことです。大人になってから大きく失敗するより、子どものうちに学んでおく方がよいと考えて」

こんなムダ遣い対策も

  • 子どもが購入したものを使っていない、すぐ飽きているような場合は指摘し、お金の有効な使い方を考えさせて
  • スマートフォンのゲームアプリなどの課金については、プリペイドカードを購入して決まった金額内で使わせるか、アプリ内課金を制限する機能をONに。親もシステムについて十分把握を


step3スマホ決済にクレジット…トラブルが不安

A親がまず仕組みを理解し、事前に対策を

中高生になると、スマートフォンを使っている子どもも。茨木さんは「決済アプリについては、まず親が機能や補償内容などを十分把握していることが大切」といいます。

「チャージ式にする、送金機能は使用不可にするなど事前に対策を。自分が使用していないなら、子どもに無理に使わせる必要はありません。子どもが使いたいと言った場合は心配な点を説明し、その回避策を調べさせて。その上で、まず親が使用してみて大丈夫と思えたら使わせるようにしましょう」

2022年4月1日には成人年齢が引き下げられ、18歳になれば高校生でも保護者の許可なくクレジットカードが作れるように。

「それまでにクレジットの仕組みやリボルビング払い、キャッシングなどについてきちんと子どもに説明する機会を。クレジット初心者を狙う詐欺やトラブルも多く、新たな手口が次々出てきています。

親子で一緒に確認しておくとともに、困ったときは親や消費生活センターにすぐ相談することも教えて」

親子でチェックしよう!

お金のトラブル・対策について学べるサイトを紹介します

(2021年4月3日号より)