【コレ読んで!】家守綺譚

2024年8月23日 

リビング編集部

京都の書店員やカフェ店主がおすすめの本を紹介。
すてきな一冊に出あえそう!

家守綺譚
梨木香歩 新潮文庫(605円)

託された家の周りで起こる不思議な出来事

「夏はファンタジー小説」というのが小学校の夏休み以来、何十年と続く私の定番です。この小説の主人公は30歳くらいの青年で、私ぐらいの年齢でも共感しやすい内容になっています。

章タイトルになっている植物を作中に取り入れながら、亡くなった友人の家の管理を頼まれた主人公の不思議な体験が語られていく本作。掛け軸から現れる亡くなった友人、ヒツジグサに引っかかっていたカッパ、主人公に恋したサルスベリたちとの出合い―。大人がワクワクするファンタジーの中に、日々の生活が少し豊かに感じられるヒントが詰まっています。

身近な自然や風景の見方がちょっと変わる、そんな一冊です。

■本の紹介者
エレファントファクトリーコーヒー
畑啓人さん
 

(2024年8月24日号より)