京都の書店員やカフェ店主がおすすめの本を紹介。
すてきな一冊に出あえそう!
看板や電柱が立ち並ぶ景観を世界的な目線で批評
日本を旅していると、日本の街並みはどこも似たような景色だと感じる。郊外にはドラッグストアや飲食店の看板の数々。クモの巣のように張り巡らされた電線さえなければ、もっと空を眺める時間も増えるのに。
本書では、東洋文化研究者の著者が、近代化によって日本の景観が壊されてしまう構造を写真付きで論じている。先進国では電線の地中埋設は当たり前で、こんなに電線が張り巡らされているのは日本だけだという。科学技術は進歩しても、景観に関しては後進国だと著者は警鐘を鳴らす。
他の国にできて日本にできないはずはない。本書が少しでも景観について考えるきっかけになればと思う。
■本の紹介者
ことばのはおと
中村仁さん
http://www.kotobanohaoto.net/
(2024年5月11日号より)
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