【コレ読んで!】始まりの木

2021年4月23日 

リビング編集部

京都の書店員やカフェ店主がおすすめの本を紹介。
すてきな一冊に出あえそう!

始まりの木
夏川草介 小学館(1760円)

偏屈な民俗学者とともに日本の神様を探す旅へ

大学院生の千佳が偏屈な民俗学者である准教授と日本の神を探す五つの旅の物語。かつて日本人は山、森、岩、木、自然のあらゆるものに神を見いだし、敬ってきました。
ところがその感覚は時代とともに失われつつある。森を伐採し大地をコンクリートで覆い、金銭的には豊かになってきたかもしれないが精神はかつてないほど貧しくなったと警鐘を鳴らします。

森や海は脅威であり、世界の境界だった西洋に対し、それらは生活の一部であり神としてあがめ、共に寄り添い生きてきた日本人の感性はなんて美しいのだろうと。
僕たちがもともと持っていた理屈ではない見えない何かを「感じる」心を大切にしたいと思うのです。

■本の紹介者
ことばのはおと
中村仁さん

http://www.kotobanohaoto.net/

(2021年4月24日号より)