【コレ読んで!】カステーラのような明るい夜

2021年12月10日 

リビング編集部

京都の書店員やカフェ店主がおすすめの本を紹介。
すてきな一冊に出あえそう!

カステーラのような明るい夜
尾形亀之助/(編)西尾勝彦
七月堂(2200円) 

ただ身を委ねたくなる詩人がつむぐ言葉たち

120年前に宮城県で生まれた詩人、尾形亀之助。彼が残した数々の詩を、自らも詩人である西尾勝彦さんが丁寧に編んだ一冊だ。

並ぶのは布団から出たくない朝にふと思い出すと味方になってくれるような言葉たち。うとうとした眠りと夢のあいだでつぶやいたような景色。どこにも出かけず部屋から外をただ眺め、ぐずぐずしながら記した詩。そして唐突に、読む者をほんの少し笑わせる一行。

この詩集をどう読むか、亀之助とはどのような人であったのかなどと堅苦しく考える前に、この本にただ身を委ねれば良いのではないか。
もうすぐやってくる新しい年を、静かにぼんやりと迎えることができそうだ。

■本の紹介者
開風社 待賢ブックセンター
鳥居貴彦さん
 
http://kaifusha-books.com/taiken/

(2021年12月11日号より)