【コレ読んで!】急がなくてもよいことを

2021年7月2日 

リビング編集部

京都の書店員やカフェ店主がおすすめの本を紹介。
すてきな一冊に出あえそう!

©ひうち棚/KADOKAWA
急がなくてもよいことを
ひうち棚 KADOKAWA(1100円)

写真のように切り取られた 日々のかけがえのない瞬間

3歳の息子が保育園に張ってあるポスターを眺めている。「歯をみがきましょう」という大人からすればなんのことはない内容。でもこういう光景が後々まで記憶に残るのだろうな、と思う。まるで写真のように。

本作はひうち棚さんによるエッセーマンガだ。マンガとはいっても、その一コマ一コマは写真のようで、切り取られたかつての日々が緻密に淡々と描かれる。

子どもの成長、何げない町並み、親との会話、海に行った思い出。なんでもない生活のひとときでも切り取ればそれは二度とない瞬間になるし、日常は連続しているようで実は断片的な記憶でしかない。
曖昧なままに続く毎日を大切にしたいと思える一冊。

■本の紹介者
開風社 待賢ブックセンター
鳥居貴彦さん

http://kaifusha-books.com/taiken/

(2021年7月3日号より)