【コレ読んで!】げいさい

2020年9月25日 

リビング編集部

京都の書店員やカフェ店主がおすすめの本を紹介。
すてきな一冊に出あえそう!

げいさい
会田誠 文藝春秋(1980円)

芸祭での一晩が映し出す青春と日本美術界への問い

タイトルを見て思わず手に取りました。美術大学に通う多くの学生にとって、学園祭である「芸祭」は学生生活の集大成ともいえる特別なイベント。
芸大出身の僕もその1人でした。

物語は現代美術家の著者が予備校時代に訪れた多摩美術大学の芸祭での一晩だけの出来事。そこには誰もが一度は味わう甘くてほろ苦い青春がありました。
第一線で活躍する現代美術家の目線で日本美術界が抱える問題を提起し、それに翻弄(ほんろう)されつつも情熱的に生きるさまざまな立場の登場人物の心情がリアルに描かれています。

あまり知られていない美術大学を取り巻く特殊な世界を垣間みることができる、渾身(こんしん)の一冊です。

■本の紹介者
ことばのはおと
中村仁さん

http://www.kotobanohaoto.net/

(2020年9月26日号より)