真言宗智山派の総本山として、現在全国に約3千の末寺を持つ「智積院」。真言宗は、弘法大師空海上人により開宗され、衰微・再興などの歴史を経ながら受け継がれました。真言教学を学ぶ学問所として隆盛した「智積院」も学山としての伝統を保ち今日に至るそうです。
今回は、「弘法大師空海ご誕生1250年」を記念して建立され、2023年4月4日に開館した「宝物館」に行ってきました。
豪華絢爛、長谷川等伯一門の障壁画は圧巻
智積院の門を入って右手に進んで行くと、真新しい宝物館の建物が見えて来ました。
宝物館は、智積院の収蔵品約8万点から順次展示される「特別展示室」と、安土桃山~江戸時代の絵師:長谷川等伯とその息子長谷川久蔵の国宝障壁画が、常時公開されている「国宝障壁画展示室」の2室からなり、この「国宝障壁画展示室」が、圧倒されるほど豪華絢爛で見応えのある展示でした。
「国宝障壁画展示室」に一歩足を踏み入れると、壁面はすべて長谷川等伯らの障壁画が並び、展示室内の照明が落としてあるにもかかわらず、作品の金箔が放つ光を感じました。「雪松図」「桜図」「楓図」「松に秋草図」「松に黄蜀葵(とろろあおい)図」「松に立ち葵図」など、いずれも大作で、樹々も花々も目を見張る美しさ。
長谷川等伯作品のうち、国宝指定で現存するものは多くなく、傑作と評される「楓図」などを間近に観られ眼福!また、若くして亡くなっている久蔵の貴重な作品「桜図」は、桜の花一つ一つを、胡粉(日本画の白い顔料)でこんもりと盛り上げ、存在感もありとても華やかな桜の絵でした。
展示室の一角では、障壁画がもともとあった大書院の上段の間を「再現展示」してあり、こんな風に障壁画が納められていたのだな、この大書院の真ん中で大の字になって寝そべったら、さぞかし気分がよかろう…など、他愛無いことを想像しながら作品を鑑賞したのでした。
展示室内の作品は過去の焼失から免れたものとお聞きしました。お尋ねすると、特別な修復は施されておらず、照明などで作品の美しさが引き立っているのだそう。良い状態で作品を観ることができるのはとても嬉しいですね。
風の通り抜ける名勝庭園
宝物館を出て、「利休好みの庭」と言われている、国指定の名勝庭園も鑑賞しました。
大書院から一望できた庭は、向かって左の石橋よりも奥は自然石のみが使用され、正面は江戸時代に修築されるなどして現在は池泉鑑賞式庭園となり、緑豊かで癒される空間でした。蒸し暑い日に行ったにもかかわらず、風が吹き抜け涼しさも感じました。
大書院の複製画でイメージする
そして、庭を一望できる大書院には、もともと等伯の絵が飾られていた場所に複製画が展示されていました。複製画はまだ新しく、色もくっきりとした印象です。
先に宝物館で観た作品が本来あった壁面に、複製画が配されているので、描かれた当時はこんな風に色も鮮やかであったのかもしれないなと想像できました。庭園と宝物館を合わせて鑑賞すると面白いですね。
大書院から講堂をぐるりと巡ると、中庭もあり、講堂には四季を描いた襖絵もあるなど、絵画・庭園・建築と、多くの芸術に触れることができたのでした。
今回は、長谷川等伯の作品鑑賞が目当てでしたが、智積院の境内は広く、アジサイやキキョウなどの花々も楽しめます。緑に囲まれた境内は、紅葉のシーズンも美しいに違いないと思えるお寺でした。
次回は季節を変えて行ってみたいと思います。
※撮影可能な場所でのみ撮影しています。
総本山智積院 宝物館
京都市東山区東大路七条下る東瓦町964
TEL:075(532)5655
https://chisan.or.jp/worship/artifact/
開館時間等はHPから確認を
プロフィール
大好チヨ子
在住エリア:京都市西京区
メインテーマ:博物館などのアートイベント/パン屋さん
子育てを終えて、ようやく京都歩きを楽しめるようになりました。知識がない私でも「楽しい!美味しい!美しい!面白い!」と感じたり「知っていたらお得」な情報をゆる~く伝えてゆきたいです。趣味はドラム演奏と、博物館ボランティア。
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