大正時代の茶苑の面影を感じるカフェ「茂庵」

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miyaプロフィール
2024年3月29日 

左京区の神楽岡(吉田山)の山頂にある「茂庵(もあん)」は、大正時代に建てられた建物を利用したカフェです。2022年に一旦閉店となったのですが、現在カフェメニューのみで営業を再開されています。私のすごく好きなカフェの一つで、再開したと聞いてうかがいました。

茂庵は、大正時代に吉田山一帯につくられた茶苑(ちゃえん)が元となっていて、つくられた当時は茶席が八席、月見台や楼閣など、茶の湯のための施設が複数あったそうです。そのうち、茂庵の建物となる点心席(食堂)を含めて茶室や待合などが現存しており、登録有形文化財となっています。

茂庵の二階にあるカフェスペース。窓が多くて自然の風と光が感じられる素敵な空間です。

山頂までハイキング気分で自然を楽しむ

茂庵への行き方はいくつかあるのですが、吉田山の山頂に立っているため、どの行き方をしても最終的に徒歩でお店まで行くことになります。道はある程度整備はされていますが、ちょっとしたハイキングコースのようになっているので、歩きやすい靴で行かれることをおすすめします。あと、夏は虫(蚊)よけ対策が必要だと思います。

今回は、道が分かりやすく比較的歩きやすい「神楽岡ルート」で行ってみました。今出川通りから神楽岡通りを南におりていくと、吉田山の東側に茂庵の看板があります。

神楽通りにある看板。ここから階段をのぼって山頂を目指します。

階段をのぼっていくと、ところどころに茂庵への道順を知らせてくれる看板が出ているので、それに従ってのぼっていきます。のぼっていく途中の街並みもレトロでとても良い雰囲気。しばらくすると小さな石造りの看板とアプローチが出てきます。小さい入り口が隠れ家っぽいというか、茶室のにじり口っぽくて個人的に好きなところです。

ここから、「山道」感が増します。ちょっとワクワク。

アプローチの先は、旧茶苑の敷地内なのか住宅等はなく「山道」といった雰囲気に。緑がいっぱいなので、森林浴しながらゆっくりのぼります。

ちょっとしたハイキングコースのようです。

しばらくのぼっていくと、茂庵の建物が出てきます。茂庵は、茶苑があった当時は点心席(食堂)として使われていたそうで、現存している中でも一番大きな建物です。木造で窓の多い造りの建物は開放的で、佇まいが既に素敵!

2004年に登録有形文化財となった建物。木がふんだんに使われています。

絶景と共に楽しむカフェ時間

今回は一人でうかがったので、カウンター席に案内していただきました。カウンター席の前は大きな窓になっていて、吉田山の東に広がる京都の街並みを眺めることができます。特に晴れた日は絶景なので、この景色を見ると「登ってきたかいがあった~!」と思います。

カウンター席。大きな窓からの景色は見応えあり、です。

メニューはドリンクを中心に、スイーツ、アルコールもあります。

この日は夏季限定のかき氷をいただきました。かき氷はいちご、柚子、抹茶の三種類。いちごは紅ほっぺを使用、柚子は高知から取り寄せた無添加のもの、抹茶は宇治抹茶を使うなど、シロップもそれぞれこだわりがあってどれも美味しそう。全てバニラアイスクリーム付きで、好みに合わせて追加料金なしで練乳と小豆が追加できます。

私はいちごをチョイス。追加は練乳のみお願いして、いちごみるく氷にして、いただきました♪

いちごのかき氷1500円。練乳をつけてもらいました。

全体にしっかりシロップがかかっているのと、より濃厚なジャムっぽいシロップがさらに上からかかっているので、いちごの味が濃くて美味しい!追加してもらった練乳をかけると、いちごの甘酸っぱさにミルクの甘さが重なって、シロップだけの時とはまた違った美味しさになりました。
私は甘いのが好きなので練乳かけの方が好みですが、シロップだけだといちごの風味がしっかり感じられるので、練乳をかけない方が好き!という人もいそうです。お好みで足したり足さなかったりできるのが良いですね。

かき氷に使われている氷も72時間かけて作るこだわりのものを使っているそうで、溶けにくく頭がキーンとなりにくい氷だそうです。そのおかげか、私も頭がキーンと痛くならずに美味しく完食できました。

「市中の山居」

元々が茶苑だった茂庵は、現存する茶室を使用してお茶のお稽古ができたり、茶室を借りることができたりと、お茶とのつながりが今も途切れることなく続いています。

茶の湯の用語で「市中の山居」という言葉があるそうです。町中に居ながらにして山中の風情を楽しむこと……つまり、日常の中に非日常の空間を取り込み、その空間と時間を楽しむということを表した言葉だそうです。茂庵はこの「市中の山居」をキャッチフレーズにされているのですが、まさにその言葉にぴったりの、街中にありながら豊かな自然と茶苑の面影を感じられる素敵なカフェになっています。

レジの横には炉がありました。旧茶苑の気配がこんなところにも感じられます。

なお、現在は予約優先で営業されています。日や時間帯によっては予約で満席のこともあるので、事前に予約してから訪れるのがベターです。

茂庵

京都市左京区吉田神楽岡町8 吉田山山頂
TEL:075(761)2100
https://www.mo-an.com/
営業時間等はHPから確認を

プロフィール

miya

在住エリア:京都市左京区
メインテーマ:史跡めぐり/猫
猫と共に京都に移り住んで7年目。散歩やドライブが趣味です。
綺麗なもの、古いもの、おいしいものも大好きです。
京都で出合ったお気に入りの場所や物、猫に関するスポットなどを紹介していきたいです。