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祇園祭の鉾町にある大塀造の京町家「八竹庵 旧川崎家住宅」

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大好チヨ子プロフィール
2022年12月19日 

地下鉄烏丸御池駅から新町通を南へ徒歩約6分、塀に囲まれた間口の広い京町「八竹庵(はちくあん) 旧川崎家住宅」があります。
「紫織庵」という長襦袢ミュージアムだったころから何度か行ったことがあり、住宅内の様子が思い浮かべられるほど好きな建築です。
一時期取り壊されるとお聞きしたときは寂しく思ったのですが、再び一般公開されるようになり、先日入館しました。 ※入館は有料

京都市指定有形文化財 受付は左の入口から奥へ

大塀造の京町家

八竹庵には玄関が3つあり、入館する時は客人用の玄関から入りました。他に家人用と使用人用玄関があり、その豪邸さがうかがえます。
大塀で囲まれた「大塀造」と呼ばれる京町家で敷地が広く、二つの中庭や蔵、茶室などもあり、立派故に維持管理が大変で、現存する大塀造の京町家は少ないそうです。確かにあまり見た記憶がありません。

入ってすぐ右手の受付のカウンターは、和風の外観からは想像もできなかったような洋風の応接室なのにも驚きました。

1階入館してすぐ右手の応接室が受付

洋風建築と和風建築の融合

八竹庵は外観が和風建築なのですが、入口の応接室と二階に洋間があり、和室は数寄屋造りの名工・上坂(こうさか)浅次郎さん、洋室部分は、近代建築の父と呼ばれる武田五一さんの設計という、なんとも贅沢なお宅。
かつて京町家は、客人が、台所などプライベート空間を通って奥へと入ったのですが、武田五一さんが応接間を玄関付近に設計されたことから、以後、応接室は玄関わきに作られることが多くなり、このお宅はその第一号だそう。今では当たり前の家の間取りですが、当時は画期的だったことでしょうね。

庭を通って茶室内も見ることができました

和室と洋室が混在するにもかかわらず、建物内で違和感を感じません。例えば和室には、日本画家竹内栖鳳作の東山三十六峰という欄間があり、模られた大らかな山の風景は、和室と洋室どちらの部屋から見てもマッチするようにも思えました。

1階仏間と客間の欄間は、竹内栖鳳さん作「東山三十六峰」

2階の洋間もモダンな雰囲気を持ちつつ、広い窓から和風庭園が望め、隣の和室と調和しているのでした。

2階洋間サロン

和室と洋室の間に小窓があり、互いに室内の空間を共有しているから違和感がないのかもしれませんね。

2階洋間と和室をつなぐ小窓

鉾見台のある住居

付近は祇園祭の時の鉾町、八竹庵の前にも八幡山が建ちます。
鉾町にある八竹庵、二階には、珍しい「鉾見台」と呼ばれるベランダのように突き出た場所があるのを見ることができました。ここで、家人たちが優雅に食事でもしながら祭りを楽しまれたのかなと、祇園祭の時の人混みを思い浮かべると、羨ましく思える空間です。

鉾見台からは新町通を見下ろせます

季節や時間ごとの見どころがありました

大正時代の「波打ち硝子」を初めて知ったのが八竹庵でした。一枚も破損していない大きなガラスは、当時、通常の家一軒ほど価値があったと聞き、たいそう驚いたものです。
縁側や渡り廊下からガラス越しに中庭を観ると、四季折々を彩る草木は水が滴るように見えたり、陽の光が縁側にゆがんだ影を作るなど、見飽きることの無い光景でした。
入館料はドリンクサービス付きのため、訪れた人たちは皆、好きな場所で思い思いに庭を眺めながらほっこり過ごされていました。

いつの間にか燈籠にも灯りが灯っていました

思いのほかゆっくり過ごしてしまい気付けば夕刻に。いつの間にか階段や灯篭に灯りが灯され、八竹庵を取り囲む空気が一気にしっとりとしたものになっていました。趣のある夕刻の光景に後ろ髪をひかれつつ、おいとましたのでした。

八竹庵(旧川崎家住宅)

京都市中京区三条町340
TEL:075(708)7189
https://www.kurochiku.co.jp/hachikuan/
営業時間等はHPから確認を

プロフィール

大好チヨ子

在住エリア:京都市西京区
メインテーマ:博物館などのアートイベント/パン屋さん
子育てを終えて、ようやく京都歩きを楽しめるようになりました。知識がない私でも「楽しい!美味しい!美しい!面白い!」と感じたり「知っていたらお得」な情報をゆる~く伝えてゆきたいです。趣味はドラム演奏と、博物館ボランティア。