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創業300余年の伝統を守り継ぐ「香房」を見学—香老舗 松栄堂・薫習館

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大好チヨ子プロフィール
2022年11月1日 

私が日に何度となく使用する小引き出しを開けると、ふわりと良い香りが立ち上ります。実は、「香老舗 松栄堂」さんのスティックタイプのお香が忍ばせてあり、どんなに気持ちが急いてるときでも、香りで気持ちがほっこりします。
そんな松栄堂さんのお店、烏丸通東側の御池通と丸太町通中ほどを歩いていると、香りが導いてくれます。

地下鉄丸太町駅7番出口から南へ徒歩3分

お香の原料や製造工程が学べる

300年も昔から香の製造・販売をされている「香老舗 松栄堂本店」では、今も変わらず同じ場所でお線香を製造されています。手作業でお線香を作られている「香房」(お香なので工房ではなく「香」)の見学を予約して行ってきました。
※見学は平日のみ(希望日の1週間前までに要電話予約)

まずは、白檀(ビャクダン)や沈香(ヂンコウ)という香木などの原料について、産地・香りの特徴・使われる部分など、お店の方の詳しい解説付きで見せていただきました。香木の香りはどこかで嗅いだようでもあり、原料の一部はスパイスとして料理に使うものもあります。一つ一つの原料は個性的で力強いのに、それらが調合されると心地よい香りになるのは不思議ですね。

原材料はインドや中国・東南アジアを中心に産出される

次に「香房」に入り、実際に目の前で繰り広げられる製造の様子を、工程順に見せていただきました。

押し出し・盆切りの工程

原材料を練り合わせ、職人さんたちの手で、仕上げられていくお線香。
最初に機械から押し出される時は、まるでモンブランクリームの様です。そんなやわらかなお線香を、職人さんが目の前で、手際よく流れるような動作で、どんどん板の上に並べていきます。

生付けの工程

仕上がってゆく一糸乱れぬお線香も美しいですが、滑らかでたおやかな職人さんの手さばきもお見事。

最後に乾燥させて出来上がり。曲がらず折れずきれいに仕上がるまでには、温度や湿度の管理も重要で、とても手間のかかる作業なのがよくわかりました。

薫習館の展示とギャラリーへ移動

約40分の見学を終え、店内を通って隣接の「薫習館」に移動しました。
こちらでは、原材料などの実物展示や、香りを体験できるブースが設けられています。気軽に立ち寄れる空間なので、若い方々も多く利用されているようです。

ボックスの下に入ると、種類の異なる香りが比較できます

昔のお線香の製造工程がミニチュアで作ってありました。
今では、材料を練る作業など機械化されていますが、今も昔も、ほぼ変わらぬ製造工程なのがよくわかります。

押し出し・盆切りの工程
生付けの工程

薫習館の奥のスペースはギャラリーで、この日は、10月に市内各地で開催されている「ニュイ・ブランシュKYOTO」関連の写真展が開催されており、薫習館エントランスで焚かれるお香の香りに包まれながら宇宙のイメージの作品を鑑賞しました。
このギャラリーでは、今までに写真や工芸品などの展示があり、良い香りの中で様々なジャンルの作品を観ることができるのが気に入っています。

サンドリーヌ・エルベルグ「宇宙の夢」~2022年10月30日まで

店舗では季節限定品も

最後に店舗にも立ち寄りました。高級感のある香炉をはじめ様々な種類のお線香、香りと袋の柄をカスタマイズできる匂い袋などあり、香りをサンプルで確認できるのも良いですね。

好きな香りと巾着を選んで自分好みの匂い袋が作れる

季節限定、金木犀のお香の甘くみずみずしい香りが心地よくて、同行の者も土産用に購入していました。

数量限定、金木犀のお香(現在は完売)

見学からショッピング、ギャラリー鑑賞と、滞在時間は70分程度だったでしょうか。その間は、心地よい香りのシャワーを浴び、癒しのひと時となりました。

そして、私がまとった香りは、その日一日中私を包み込んでいてくれたので、ふと動く度に、何度も楽しむことができ、幸せな気分になれたのでした。

香老舗 松栄堂・薫習館

京都市中京区烏丸通二条上ル東側
TEL:075(212)5590
https://www.shoyeido.co.jp/
営業時間等はHPから確認を

プロフィール

大好チヨ子

在住エリア:京都市西京区
メインテーマ:博物館などのアートイベント/パン屋さん
子育てを終えて、ようやく京都歩きを楽しめるようになりました。知識がない私でも「楽しい!美味しい!美しい!面白い!」と感じたり「知っていたらお得」な情報をゆる~く伝えてゆきたいです。趣味はドラム演奏と、博物館ボランティア。