現在開催中の「かたち・かんじる・モザイク展」という展示を鑑賞するため、大徳寺の東側にある、「アトリエみつしま」さんに伺いました。(2022年3月18日まで)
ギャラリーのオーナー光島貴之さんは、10歳のころ視力を失った全盲の美術家さん。私は1年以上前に、ギャラリーで作品を鑑賞したことがあります。今回の企画展は「足の裏で鑑賞する」ということで、楽しみにしていました。
入って奥の大きな部屋が展示会場。床一面に広げられたすごろくのような作品には、タイルや発泡スチロール、木の板や棒、ボトルキャップや金属のリングなど、大きさも素材も異なる様々なパーツが散りばめられていました。
「靴のまま歩いて良いんですよ。ブルーのところは靴を脱いでどうぞ。」
言われるままに…ですが作品を壊してしまわないか恐る恐る歩いてみました。
あぁ、なんという感覚。靴を履いているのに、素材によって感触が全く違う!目で見て次のコマに進んで行くのですが、硬そうに見えた場所が意外にふわふわで沈み込んだり、少し板が積まれただけで随分高低差を感じるのは意外な発見。
靴を脱いで中心部に行くと、刺激はさらに明確に。足つぼにピタリと硬いボールがまさにツボにハマり、心地よくてその個所でしばし感触を楽しみました。
丁度、在廊されていた光島さんから、人の骨格や時計という具体的なものをイメージされた部分や、ほろ酔いで歩いている足取りを表現されている部分もあるとお聞きしましたが、遊びごごろ満載の作品となっているのが実感できました。
手で触れる作品も展示されていました。
視覚で作品をとらえると一瞬で全貌を観てしまいますが、目を閉じて作品をたどって行けば、指先に次々と未知の素材の手触りを感じ、ドキドキしたりワクワクしたり、目でとらえられなかった感動が生まれます。
同じ室内に、モザイクアートを手掛ける外村まゆみさんが、京都府立盲学校小中学部の生徒さんやボランティアさんと共に制作した作品も展示されていました。「モザイクの小屋」は圧巻の存在感でした。
制作に3カ月要したという小屋は、外観は華やか、内部は海中のような美しい作品。触ることができたので凸凹の形や手触りの違いも体感しました。
「陽が差してきたら、タイルが温かくなりますよ」と光島さんからお聞きし、陽の当たる作品の裏側に回って目を閉じて触れると、タイルの図案の境目には、温度の境目もできていました。ザラリとしたタイルはほのかに熱を帯び、その存在を主張していたのでした。
今回は1階の別の展示室にて、視覚障害のある方とそれをサポートする方が共同で制作した作品の発表会も開催されていました。
「アトリエみつしま」さんは西陣織の工場跡をリノベーションされているので、ユニークで夢のある作品と共に、他では見かけない建物や部屋の造りも同時に味わうことができる素敵なアトリエです。
入り口のコーナーで、点字のキーホルダーや、触れて楽しいポストカードなど、ミュージアムグッズも見つけました。
こんなポストカードが届いたら、きっと楽しいだろうな。受け取った子供たちの指でなぞる楽しそうな顔を想像しながら購入してきました。
私たちに見えて光島さんに見えないものがあるのと同じように、光島さんには見えて私には見えないものがあることを作品が教えてくれました。そして「アトリエみつしま」の作品が、そんな私たちの仲立ちをしてくれる気がしました。
アトリエみつしま
京都市北区紫野下門前町44
TEL:075(406)7093
https://mtsm.jimdofree.com/
営業時間等はHPから確認を
プロフィール
大好チヨ子
在住エリア:京都市西京区
メインテーマ:博物館などのアートイベント/パン屋さん
子育てを終えて、ようやく京都歩きを楽しめるようになりました。知識がない私でも「楽しい!美味しい!美しい!面白い!」と感じたり「知っていたらお得」な情報をゆる~く伝えてゆきたいです。趣味はドラム演奏と、博物館ボランティア。
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