堀川御池交差点の北東に建つ堀川御池ギャラリー内の「京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA(アクア)」で、面白そうだなと目星をつけていた2つの展示が始まったので早速観に行きました。
1階の展示室「@KCUA1」では「Still, Life―まだ、生きてます」という3人の画家の絵画展。静物画は英語で「still life」ですが、「,(コンマ)」を入れた「Still, life」は「まだ、生きている」という意味になるように、コンマ一つが大きく意味を変える力を持っていることを表しているそう。このことから、何気ない日常も、少し視点を変えて物事を見つめると世界が違って見えてくる―そんなメッセージが込められた展示には、作品も展示方法も工夫が沢山ちりばめられていました。
水彩の細密画は、目を凝らしても認識しきれないほど細かく描きこまれていたので、設置された虫メガネをお借りして、会場内を観て回りました。植物の産毛一本一本は当然のこと、花粉のようなものも一粒一粒描かれていて息を止めて見入ってしまいました。
また、等間隔に絵画作品が並ぶのでなく、壁紙を貼った部屋のイメージの中に展示されていたり、白い壁に家具のラインを描くなどしてあるので、いろいろな部屋で絵が飾られている様な雰囲気が楽しめました。
何度も何度も覗き込んで、その場から離れられなくなった作品もありました。針箱の中に、実物の標本と、それを描いた絵が対応するように置かれた作品です。私にはもう、絵の方が本物よりも本物らしく思えて、呼吸すら感じてしまいました。
部屋のような展示スペースから移動すると、今度は屋外を思わせる展示でした。蝶が集う柱を中心に、周囲には交差点の絵や窓から見える風景画、床にはマンホール、壁にはミラーや道路工事のコーンなども描かれ、そこは展示室ではなく、外の風景が広がるようでした。まさに、「生」を感じる展示の数々でした。
一方2階の展示室「@KCUA2」は、「副産物産店」というアーティスト2人組の「芸術資源循環センター」展。
アートの現場から生まれる廃材を〝副産物〟と呼び、その副産物をアートの視点から利活用する、そんな取り組みのリサーチと作品展示でした。
展示室内に山のように築かれた展示物は、まさに副産物から生まれたアート作品!あらゆるものが混在しているので、パーツの一つ一つが不要となった運命を思いやりつつ楽しんでしまいました。
副産物たちがアート現場から回収→加工→流通の流れにのり、再び人々の手に渡ってゆく映像では、副産物たちが新しい命をもらってゆくのを喜ぶ、母のような気持ちになりました。副産物が再び作品として命をもらうなんて素敵です。
ここではフライヤーも展示内容にふさわしく、廃棄予定のフライヤーの上に不要となったインクで印刷されたものという徹底ぶり。感服いたしました。
@KCUAでは、京都市立芸術大学ゆかりの方の展示が、年間に数回企画されます。大学の教育・研究成果の公開の場、人材交流の場、人・物・場所など芸術資源の連携活用のサテライト機能を持った場であるそうです。
私たち市民にも公開されたアートを発信するギャラリー、ユニークな作品から物の見方を変えるきっかけを得られることもあり、楽しいですよ。
※展示はどちらも2021年12月5日(日)まで
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
京都市中京区押油小路町238-1
TEL:075(253)1509
https://gallery.kcua.ac.jp/
※営業時間等はHPから確認を
プロフィール
大好チヨ子
在住エリア:京都市西京区
メインテーマ:博物館などのアートイベント/パン屋さん
子育てを終えて、ようやく京都歩きを楽しめるようになりました。知識がない私でも「楽しい!美味しい!美しい!面白い!」と感じたり「知っていたらお得」な情報をゆる~く伝えてゆきたいです。趣味はドラム演奏と、博物館ボランティア。
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