明治2年、日本で最初の学区制小学校(番組小学校)が京都でつくられました。
阪急京都河原町駅10番出口から南へ徒歩約7分、御幸町通沿いにある「京都市学校歴史博物館」は、64あった番組小学校の内の一つ、「元開智小学校」の校舎を活用した博物館です。
学校歴史博物館は現在耐震補強工事中ですが、ひとあし早く工事を終えて再開されたばかりの常設展示室を観に行きました。
高麗門(こうらいもん)と呼ばれる正門をくぐると、丸みを帯びた屋根の玄関が見えました。「元成徳小学校」の玄関車寄せが移築されたもので、京都市最古の小学校建築物だそうです。
1階で受付を済ませ、向かって左手が常設展示のある第1展示室。
第1展示室に入ってすぐの映像ホールで、番組小学校設立までの歴史のあらましを映像で観ることができました。
「子どものあるなしに関わらず、地域の人々が『竈金(かまどきん)』を出し合うことで不足した資金調達の元手を作り、僅か1年で64もの小学校を作った」というエピソードから、「知識を高め、優れた人材を育成する」と考えた、当時の人々の強い思いがうかがえました。
映像ホールの向かい側「学校のたからもの」コーナーは、陶芸家、北大路魯山人が母校の元梅屋小学校に贈った陶器などが展示されていました。
順路を巡ってゆくと展示品や資料から、学校が教育の場だけでなく、役所や保健所などさまざまな役割を担っていたことなども分かり、現在の学区にも生かされている部分があることに気付かされたのでした。
展示のキャプションに交じって、黄色い縁取りのあるプレートをいくつも見かけたのですが、クイズや一言コメントが分かりやすい言葉で書かれていて、子どもたちが展示を楽しめる工夫がされていました。
他にも、学年に応じた説明のプリントが、ところどころに用意されているので、学齢にあった展示の見方ができるのは良いですね。
時代順に並べられた「教科書の部屋」では、手に取れる教科書のサンプルもあり、カタカナから平仮名へ、挿絵がカラーへと、変化を遂げる様子が見られました。
時が進むとやがて時代は戦中へ。「戦争」は教育の歴史にとっても大事件で、展示されている子どもたちの日記や絵などにも、それが残っていました。渦中にいた子どもたちの目がとらえた戦争、また、その中にあっても教育が続けられてきたという意義など、展示を観て、親子で話す機会にするのも良いかもしれませんね。
展示の終盤、「学校給食のあゆみ」は、給食の変せんの年表と共にサンプルも展示され、おそらく親子で観ると一番盛り上がりそうなコーナーになっていました。当時の私は給食が苦手でしたが、給食は学校と切っても切れない思い出の一つですね。
京都では伝統産業の人材育成も学校教育の要であったことから、多くの芸術家が育ったそうです。京都市立の学校には、日本画家だけでも上村松園さん・山口華陽さん・西村五雲さんなど、有名な芸術家たちの作品が所蔵されているとか。学校歴史博物館では、そんな美術品の展示の機会があるということで、今後の展覧会も楽しみです。
多くの人が通ったことのある学校。親・子二代で、あるいは親・子・祖父母三代で同じ展示を観ながら過ごすのも、面白そうそうだなと思いました。
※展示室内は許可を得て撮影しています。
京都市学校歴史博物館
京都市下京区御幸町通仏光寺下る橘町437
TEL:075(344)1305
https://kyo-gakurehaku.jp
営業時間等はHPから確認を
プロフィール
大好チヨ子
在住エリア:京都市西京区
メインテーマ:博物館などのアートイベント/パン屋さん
子育てを終えて、ようやく京都歩きを楽しめるようになりました。知識がない私でも「楽しい!美味しい!美しい!面白い!」と感じたり「知っていたらお得」な情報をゆる~く伝えてゆきたいです。趣味はドラム演奏と、博物館ボランティア。
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