真っ赤な色に愛らしい形のイチゴ。せっかくなら、一番おいしい状態で食べたい! ということで、イチゴに詳しい人たちに取材しました。スイーツレシピも紹介。家族みんなで味わってみて。
撮影/三國賢一ほか
味も形も違う品種が次々と
スーパーなどにイチゴがずらりと並ぶ季節。京都市中央卸売市場内で野菜や果物の卸売りを行う「京都青果合同株式会社(京果)」では、主に九州、西日本産のイチゴ約20種類を取り扱います。
「全国的に品種競争が活発で、形や色、味などにこだわった、産地オリジナルの品種が京都にもたくさん出回ります」と話すのは、同社でイチゴを担当している石原大督さん。
例えば、福岡県の「あまおう」。〝あかい〟〝まるい〟〝おおきい〟〝うまい〟の頭文字を取った商標登録名です。
「大きくて色が濃いのが特徴的。甘味と酸味のバランスも良く、しっかりとイチゴの味が楽しめます。ほかにも、爽やかな甘さがある佐賀県の『いちごさん』や、大粒で円すい形に整った熊本県の『ゆうべに』など。甘味が強い大分県の『ベリーツ』は、〝スイーツのようなストロベリー〟が名前の由来。現在、関西では京都だけに出荷されているんです」
食べ比べてみて好みを探すのも良いですね。
選ぶときは色や艶をチェック
イチゴを選ぶ時のポイントは、「まずは色や艶。果実は赤く艶があり、葉も青々しく元気なものが新鮮です。大きさは品種や時期によっても変わりますが、イチゴは先端の方が甘いので、その部分が多い大粒の方が甘味を感じやすいかもしれません。収穫時期でも甘味や酸味のバランス、味質が変わるので、各時期で好きな味を探してみては」と石原さん。
また「イチゴはデリケート。各農家では、収穫後約3時間冷蔵庫で冷やすことで、傷みにくいようにしてから出荷しています。収穫後は追熟しないので、購入したら早めに食べるのがおすすめです。食べるまでは洗わずに冷蔵庫で保存を」と教えてくれました。
教えてくれたのは
京都青果合同株式会社(京果)
果実部(果樹・苺担当)
販売企画推進部
チームリーダー
石原大督(だいすけ)さん
「パック詰めも農家さんが行って出荷されることが多い繊細なイチゴ。大切に手間暇かけて育てられた味を楽しんでください」
一粒の中でも甘味が違う
京都各地の農園でもイチゴ狩りが行われますが、現地では一目で食べごろを見分けたいところ。
「ヘタの下まで真っ赤になったイチゴが一番食べごろです」と、「ジェイエイやましろファーム」の平林悦朗さん。やはり注目すべきは色なのですね。
「イチゴはヘタがある方から先端にかけて糖度が増します。なので、ヘタの方から食べていくと最後に甘味をぎゅっと感じられますよ」とは、京果の石原さん。
平林さんからも、「鮮度が落ちてしまうので、水で洗うのはヘタを取る前、食べる直前に。ぜひ、イチゴそのものの甘味を味わってみてください」とアドバイスをもらいました。
「過熟して黒っぽくなったイチゴは甘味が減ってしまいます。その場合は、ジャムなどに活用するのもおすすめです」(平林さん)
大切なのは日照量
農園にずらりと並ぶイチゴ。果実は1株に何度も繰り返して出来ます。
「果実の大きさとしては、12月ごろの一番果が最も大きく、だんだんと小ぶりになっていきます。3〜4月には収穫量が最も多くなります」と平林さん。
「イチゴの甘味を一番左右するのは天候。実がなってからの日照量が多い方が、イチゴの糖度は増します。受粉のために放し飼いされているミツバチも活発に活動するように。今年は雨も少ないので、おいしいイチゴが多いのではないでしょうか」
教えてくれたのは
ジェイエイやましろファーム
代表取締役社長
平林悦朗さん
水稲の生産や、トマト、万願寺とうがらしなどの施設野菜の栽培を行う、「JA京都やましろ」発の農業法人。3年前からイチゴ狩りを実施。
スイーツにして味わおう!
家庭で作れる簡単レシピを、〝苺専門家〟に教えてもらいました。おうち時間に楽しんだり、バレンタインのギフトにもなりそうなスイーツをお試しあれ。
教えてくれたのは
苺専門家
渡部(わたべ)美佳さん
イチゴのお菓子専門店「MAISON DE FROUGE(メゾン・ド・フルージュ) 苺のお店」を経営。おいしいイチゴを届ける橋渡しになりたいと、各農家にも足を運ぶイチゴの専門家。
みずみずしい赤色が華やかに映える
かわいらしいイチゴのサンド。
「断面をきれいに見せられるように、『とちおとめ』『べにほっぺ』『おいCベリー』など、イチゴは固めの品種がおすすめ。時期は1、2月のものを」と、「苺専門家」の渡部美佳さん。
「形を整えるため、食パンの耳を最初に切ること、向きをそろえること、積み重ねる際に押し固めることも大切です。生クリームは固くなるようにしっかりと泡立ててください。泡立て終わった後が最も固いので重ねるときはスピーディーに」
甘さは控えめ。ジャムを使うので、あえて生クリームには砂糖を加えないとか。
材料(4個) ※写真は1個分
- サンドイッチ用食パン12枚切り……3枚
- 生クリーム……80㎖
- イチゴ……100g
- いちごジャム……45g
[いちごジャムの作り方]
- イチゴを1/8〜1/4に小さめに切る
- ❶の分量に対して30〜40%の量になるグラニュー糖と❶を平鍋に入れて強火で煮る
- 沸騰したら中火にして3分程煮る
- 赤い汁が出てふやけた後に艶が出てきたら完成
※短時間でできるので、焦げないように注意する
作り方
- サンドイッチ用の食パン3枚の耳を切る
- ❶の2枚だけ片面にいちごジャムを塗る
- 生クリームを固く泡立て、❶の何も塗っていない食パンの片面に塗る
- イチゴを5mmにスライスして❸の上に隙間なく並べる
- ❹の上に生クリームを薄く塗り、❷の食パンのジャムの面を下にして重ね、軽く押す
- ❺の上に生クリームを塗り、❹❺の工程を繰り返す
- ラップで包み、冷蔵庫で1時間以上冷やして固める
- 長めの包丁で軽く押さえながら4等分にカット
- 一番上にいちごジャムを薄く塗り、スライスしたイチゴを飾る
生のぜいたく果実がごろごろと
「焼き菓子なのに、フレッシュなイチゴの生っぽさを感じられるマフィンです」。ポイントはイチゴの入れ方。
「イチゴは水分が多いので丸ごと入れると生地に穴が開いてしまいます。大きめにカットして、生地の中に埋め込む用と表面に出す用で分けておいた方が分かりやすいですね。表面に出し過ぎるとイチゴが乾燥してしまうので、少し埋めるようにしてください」
材料(6個分)
- イチゴ(1個15g)……6個
- バター……50g
- グラニュー糖……70g
- 卵……1個
- 牛乳……60㎖
- 小麦粉……100g
- ベーキングパウダー……小さじ1
[下準備]
- イチゴはそれぞれ1/4に大きめにカット
- バターは1時間ほど前から室温に戻してやわらかくしておく
- 小麦粉とベーキングパウダーは混ぜてダマにならないようにふるっておく
- オーブンを170度で予熱しておく
作り方
- やわらかくクリーム状になったバターとグラニュー糖をボウルに入れて白っぽくなるまで混ぜる
- ❶に卵を入れてよく混ぜる
- ❷に牛乳を半分入れて混ぜ、ふるっておいた小麦粉とベーキングパウダーを入れてさっくりと混ぜる
- ❸に残りの牛乳を入れて混ぜる
- マフィン型に生地を6等分にして流し入れ、角切りにしたイチゴの半分量を生地に埋め込む。残り半分は見えるように表面に埋める
- 170度のオーブンで20〜25分焼く。キツネ色が焼き上がりの目安
(2021年1月30日号より)
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