激動の一年を振り返って読者が今伝えたいこと、新年への思いとは。
タイトル・イラスト/原田ゆうか
全世界が未曽有の危機に直面した今年。京都の街からは観光客の姿が消え、人々の暮らしにもさまざまな変化が起こりました。人と気軽に会えない、生活が制限されるといった非常事態の中で、当たり前と思っていた日常の大切さに気付いたり、周囲の人への感謝の気持ちが生まれたりといった読者も多かったよう。誰かに届けたかったその思いを、本紙が代わりに紙面で伝えます。新たな年に向けて、希望あふれるメッセージもご紹介。
※リビング読者にアンケート。有効回答397。( )内は読者のイニシャルと年齢
日常生活を支える人々への感謝
コロナ禍において、リスクを負いながらも働き続ける人たちへの〝ありがとう〟
医療従事者へ
6月に手術を受け2カ月入院。家族の面会が一切できない中、看護師さんは普段の何倍も手間をかけて看護してくださいました。
(KKさん/64)
学童保育のスタッフへ
学校が休校になり、子どもの居場所を考えるのが大変でした。学童で優しく受け入れてもらい本当に助かりました!
(ORさん/45)
介護スタッフへ
母が通うデイサービスは、緊急事態宣言中でも休まず仕事をしてくださいました。おかげで母は筋力が衰えることなく歩けています。
(OSさん/53)
保育所の先生へ
徹底した感染対策をして、子どもを預かってくれた保育所。コロナ騒動の当初は仕事も休めず先が見通せない不安がありましたが、先生方の笑顔に救われました。
(SMさん/30)
配達スタッフへ
雨の日も暑い日も毎週食料品を届けてくれた宅配員さん。外出を自粛せざるを得ない私たち老夫婦の暮らしを支えてくれて、感謝感謝です。
(ITさん/82)
公共交通機関のスタッフへ
通院が必須な私。市バスや地下鉄は止まらず運行することで、健康の手助けをしてくれました。
(TAさん/74)
清掃業務員へ
感染リスクがある中、日々のゴミ収集をありがとう。これからも袋の口をきちんと閉めるようにします。
(NMさん/19)
スーパーの店員さんへ
いつも買い物に行くスーパーのみなさん、自身や家族への感染の心配もあったでしょう。トイレットペーパーやマスクの買い占め対応なども大変だったはず。本当にありがとう。
(MYさん/58)
郵便局員、配達の方々へ
コロナで仕事が増えたにもかかわらず、悲しい言葉を投げかけられたり大変な思いをされたかと思います。妊娠中でたくさん利用させてもらいました。本当に感謝しています。
(NSさん/30)
妻へ
自粛期間中、私は仕事が休みになったけれど、スーパーで勤める奥さんは通常通り出勤。社会を支えてくれるすべての人に、中でもわが奥さんに心よりありがとう。
(FYさん/52)
お客さんへ
路上でお弁当を販売しています。さまざまなお店が休業する中、「売りに来てくれて助かる」と声をかけてもらいありがたかったです。
(HTさん/44)
図書館スタッフへ
本好きな私は図書館が一時閉鎖になった時は悲しい思いをしました。でも、スタッフが書籍の消毒などをしてくださりまた利用できるようになって、自宅時間も楽しめました。
(ITさん/54)
子どもたちへ
小学校も保育園もお休みになり、赤ちゃんを含む3兄弟と缶詰の2カ月間。家事の間赤ちゃんをあやしてくれたお兄ちゃんたち、ピリピリした雰囲気を和ませてくれた三男。子どもたちがいてくれたから、コロナ禍でもあたたかくかけがえのない時間を過ごせました。
(YMさん/37)
●子どもの幼稚園では、先生方がバスや園内など除菌を徹底してくれました。
(HYさん/42)
●生活に欠かせない飲食に関わる農家、運送業、スーパー。そのみなさんに感謝。
(HTさん/44)
●なじみの理容店は密にならないよう鍵をかけて、一人だけで散髪してくれました。自粛中もスッキリと過ごせました。
(MKさん/50)
●医療従事者の私。マスク不足で困っていたとき、近所のママさんが3人、「病院で使って」と届けてくれて涙があふれました。
(FTさん/46)
●父母や近所の友人が子どもの面倒を見てくれて、安心して出勤できた。
(YMさん/37)
負けないで!のエール
苦しい状況に置かれた京都のお店や業界に向けて、熱い応援の声もたくさん
映画館へ
市内の小規模映画館も対象となっているオンラインの募金を知って参加。自宅で支援できてよかった。
(FYさん/34)
旅行業界へ
自宅マンション横のホテルへ「Go To トラベルキャンペーン」を利用して宿泊。まだ利用客も少ないようですが、なんとか乗り切ってもらいたいです。
(OJさん/43)
ライブハウスへ
よく通っているライブハウスもライブが開催できない状況に。バンドマンが呼び掛けたチャリティー支援に参加するなどしました。私にとってライブは生きる活力です。がんばって!
(KCさん/30)
観光業界へ
近所の嵐山の商店街もすっかり人けがなくなったときは驚きました。テイクアウトを始めるなど店舗のがんばっている姿を見て、互いの助け合いになると思い活用。夏の花火はうれしかったです。
(KEさん/59)
美容院へ
行きつけの美容院も外出自粛やイベント中止により客足が減少。「できるだけ通います!」と励ましました。
(YKさん/41)
飲食店へ
よく行く天ぷら屋さんも訪れにくい状態に。テイクアウトも利用しましたが、今度はぜひお店に行きます。揚げたての天ぷらと日本酒で楽しみたいですね。
(BMさん/49)
伝統産業界へ
西陣織のマスクがあると知り工場に伺うと、「織物産業の衰退もあり、マスク販売を考えた」とのこと。応援の気持ちを込めて購入しました。
(KFさん/63)
飲食店へ
家族でよく利用するパン屋さん。先日訪れたとき、同じような客層の方々がちらほら利用されていて安心しました。これからも感染対策をしながら利用していきたいですね。
(NSさん/30)
着物レンタル屋さんへ
利用者が少なくなり、街に華やかさがなくなったように思います。どうかがんばって。
(FKさん/57)
パン教室の先生へ
通っていたパン教室も休講に。先生に励ましのお手紙をしたためました。
(YHさん/19)
京都市交響楽団へ
夫が大好きで毎月定期演奏会に通っていました。コロナでクラウドファウンディングを始められたと聞き参加。また満席のホールで迫力ある演奏が聴きたいです。
(ORさん/45)
錦市場のみなさんへ
緊急事態宣言の少し前、めいと一緒に訪れました。人通りも少なくどのお店も元気がないように感じて、思わず「がんばってくださいね」と伝えずにはいられませんでした。
(NAさん/57)
●応援になればと宇治橋通り商店街の「崖っぷち弁当」を購入。おいしかった!
(MYさん/37)
●真っ暗だった近所のスポーツクラブ、明かりがついてほっとしました。
(FKさん/61)
●旅館業を営んでいます。大変ですが、お客さまの言葉に励まされています。
(CSさん/49)
●給食用の牛乳が余っていると聞き購入。困っていることを積極的に発信してくれたのがよかった。
(OSさん/53)
●経営難の病院に補助が行われることを祈ります。
(TRさん/31)
●京都三大祭の実現に向けて、関係者の方々はがんばってください!
(FTさん/60)
あの時言えなかった贈る言葉
中止になったイベントや行事、会えなかった人…。伝えたかった言葉を形に
結婚する友人へ
結婚式が延期になった友人が3人も! 式の余興を手伝うのを楽しみにしていたのに残念でした。延びた分、さらによい式が迎えられるようにしてあげたいです。「おめでとう!」
(HMさん/27)
大好きだった叔父へ
5月に亡くなった叔父の葬式に出席できず。幼いころから「〇〇兄ちゃん」と呼び、大好きだった叔父。早く墓参りに行き、「ありがとう」と言いたい。
(TSさん/51)
手術をした母へ
母が手術のため入院。不安だったと思うけれど、感染防止のため手術日しか面会が許されませんでした。無事に手術は終了。「よくがんばったね」と家族で退院祝いをしてあげたいです。
(KCさん/30)
社会人になった娘へ
大学の卒業式が中止になってしまった娘。「もっと大変な状況の人もいるから」と気持ちを切り替え、就職先の九州に引っ越していきました。「バイトに就活によくがんばったね。これからもあなたらしくがんばって!」
(TYさん/53)
職場の恩人へ
会社でお世話になった方が65歳で退職されましたが、送別会もできず。お酒を酌み交わしながら、「ありがとうございました。また遊びに行きます!」と伝えたかったです。
(TSさん/37)
お嫁さんへ
初孫が誕生。お嫁さんは緊急帝王切開でしたが見舞いも許されず、一人で頑張ってくれました。「ありがとう、よくがんばったね」と言ってあげたいです。
(KCさん/60)
孫へ
幼稚園最後の運動会は、動画でしか見られませんでした。今度会ったら「がんばったね」と言ってあげたい。
(KKさん/61)
幼稚園の先生へ
子どもがたくさんお世話になった先生が退職されましたが、プリントのみのお知らせでお別れ会もできず。直接「ありがとうございました」と伝えたかったです。
(TAさん/40)
義両親へ
春に義父が急逝。お葬式にも行けずお別れができませんでした。義母がさみしい思いをしていると思います。3月に生まれた孫にも会わせてあげたいです。
(BSさん/36)
息子へ
長男の卒業式はイベントもなく証書の授与のみに。「少し寂しい春だったけれど、その分家族で過ごす時間が増えてよかったよね。この激動の年のこと、大人になっても忘れないでね」。
(KYさん/44)
●出産したものの、友人たちに直接子どもの顔を見てもらえず。「妊娠中やさしい言葉をありがとう」と会って伝えたい。
(NSさん/30)
●子どもの小学校最後の運動会が中止に。「6年間よくがんばったね!」
(YKさん/41)
●小学生になったおいに直接「おめでとう」が言えなかった。ランドセル姿も早く見たい。
(UAさん/39)
●コロナ前はよく会っていた元同僚たち。「大切な友達だと再認識したよ!」
(STさん/65)
●親の初盆・一周忌が実施できず。「お疲れさま、ありがとう」とみんなでねぎらいたかったです。
(TTさん/65)
思い、届きました
読者からの感謝やエールを受けて、各業界の3人にインタビュー。どのように苦境を乗り越えたか、新たな年へ向けての方針も教えてもらいました。
公共交通機関より
京都市交通局 薗田泰祐さん
「地下鉄、市バスにおいては車両の換気、消毒、抗ウイルス加工などのほか、乗務員の検温や職場内の仕切り板の設置といった対策を進めています。お客さまから『もっと換気してほしい』『寒いから窓を閉めて』など異なる意見をいただき対応に苦慮することも。ですが、『自粛時も地下鉄が運行していて心強かった』といったうれしいお声もありました。今後もお客さまのご理解とご協力を仰ぎながら、安心して利用できる環境を整えてまいります」
観光業界より
嵯峨嵐山おもてなしビジョン推進協議会 会長 吉田憲司さん
「客足がなかなか戻らない時期、五つの商店街が協力して夏祭り、野外音楽祭など、地元を元気づけるための催しを行ったんです。特に、40年ぶりの打ち上げ花火は『よかった』という声をたくさんいただきました。現在は、店主が集まり定期的に地域の清掃を実施。天龍寺の価値を再認識するための見学会など、地元の魅力を見つめなおす場を設けています。来年度は動画チャンネルの作成やSNSの活用で、府内、国内へのPRを強化していきたいですね」
2021年へ 希望を込めて
マスクなしの素顔で、ニッコリ笑うみんなの顔が見たい。旅行にライブ、歓迎会だってしたいよ!
(KAさん/34)
不便なことが多い生活が普通になっていくと思うので、みんなが優しい心を持てる一年になれば。
(KCさん/60)
観光客に頼るばかりではなく、京都人が京都を支えられる、そんな街になってほしい。
(TMさん/44)
世界中、日本中の人が「京都に行きたい」と思ってもらえるような年に。
(ENさん/53)
人は一人では生きていけないと改めて実感。来年もこのような状況が続いても、リモートやSNSなどを利用して人と人との交流を深めて行きたいです。
(OJさん/43)
平凡な日常の大切さを教えられた今年。来年は買い物に出かけたり友人や孫とランチに行ったり、平穏な生活が送れますように。
(YMさん/71)
来年は、祇園祭などの行事が例年どおり実施されてほしいと思います。
(TMさん/21)
大学生の娘は来年就活。今年は授業もオンラインになりアルバイトも休みで本人も親もとまどいました。学生が希望を持てる社会になってほしいですね。
(NAさん/57)
普段できていた多くのことができなくなり、自分にとって本当に大切なものがよくわかりました。コロナ前には戻らないだろうけれど、今年得たことをじっくり実行し、地に足の着いた1年にしたいです。
(MSさん/46)
観光客は戻ってほしいけれど、穏やかで上品な本来の京都の魅力を失わないで。
(TSさん/67)
コロナによって家族が一致団結し、互いの気持ちを考える時間が増えました。来年は、不便だった今年を思いつつ、一層仲よく過ごしていきたいですね。
(IAさん/53)
みんなが互いを思いやることを学んだ気がします。会えること、直接話すことを大切に日常を送りたい。
(GRさん/53)
今年の分まで来年は旅行や食事に行き感性を磨きたい。コロナ禍で絆が深まった恋人と結婚します!
(KSさん/29)
またいろんな言語が飛び交う京都になってほしい。
(OKさん/61)
ゆっくり街ブラ、ランチ、飲みに行けるようになれば。
(HKさん/49)
不要不急な物事は手放し、本当に必要なものや人がそばにある、着実で堅実な年になってほしいです。
(TMさん/50)
コロナ禍で人に気を使って過ごした時と同様、他人が不快になるような行動を慎み思いやりのある京都になればいいと思います。
(BNさん/49)
イベントや行事などがなくなって負担が減った面も。来年も不要なものは削り、必要な改革が進めばいいな。
(KYさん/37)
完全に収束するのは先かと思いますが、新しい形で社会が回ることを願います。マスク不足のときは手作りマスクを皆で作ったように、創意工夫することで明るい未来が開けると思います。
(UKさん/38)
来年こそ海外にいる両親に京都に来てもらい、結婚式を挙げたい!
(WKさん/30)
毎年、年の初めに同じことを願います。来年はさらに強く願います。「家族が健康でありますように」。
(TYさん/53)
読者の声からは、大変な年だったからこそ深まった絆や地元への愛が感じられました。苦難に負けない京都の街と人を、本紙は来年も応援していきます。
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医療関係者より
京都府看護協会 会長 中島すま子さん
「業務負担増のほか、看護職に対する誹謗(ひぼう)中傷などでストレスを感じている看護師も。各病院ではスタッフの休暇の確保やメンタルケアなどに注力しています。そんな中、多くの患者さまや府民の方々、企業、お店から届いた感謝の言葉や支援は、何物にも代えがたい力と勇気になりました。来年に向けて各病院では日々感染対策を強化しながら、オンラインの活用や勤務体制の変更などに取り組んでいます。また、安定した看護が提供できるよう当会では潜在看護師の登録を呼びかけています」