
夏が近づくにつれて気になるのが紫外線。基礎知識や体への影響について専門家に教えてもらいました。近年の事情をもとに、毎日の対策法も紹介しています。
イラスト/松元まり子

教えてくれたのは
京都府立医科大学
大学院医学研究科
皮膚科学助教
井岡奈津江さん
7月・8月がピーク雨の日も注意を
紫外線について、京都府立医科大学大学院医学研究科で皮膚科学助教を務める井岡奈津江さんに聞きました。
「紫外線は太陽光に含まれていますから、日が昇って沈むまで注ぎ続け、午前10時〜午後2時の時間帯に強まります。量は4月から急増し、7月・8月がピークに。また、天気でも変化。快晴時の量を100%とすると、曇りはその約60%、雨でも約30%といわれています」
日差しが強くないから、夕方だから、雨だからなどと油断するのはよくないよう。
しかも、近年は紫外線がより強くなっているという話も。
「環境省は、UVインデックス(※)の数値が8〜10の日を紫外線が〝非常に強い〟日と定め、日中の外出を控えるようすすめています。気象庁が紫外線量を観測しているつくばでは、一昨年、数値が8を超える日が年間80日以上ありました(左表参照)。1990年ごろは20日ほどでしたから、約4倍に増えています」
※紫外線指数。紫外線が人体に及ぼす影響の度合いをわかりやすく示すために、紫外線の強さを数値化したもの。日本では〝極端に強い〟+13まで表示

皮ふの免疫が低下し健康リスクも
「強い紫外線を長期間浴び続けると、シミやしわといった肌の老化が加速。これを〝光老化〟といいます。通常の老化とは違い、皮ふの下にある弾性繊維がダメージを受けて、より深いしわが刻まれたり、ハリがなくなってたるんだりします」と井岡さん。
紫外線を過剰に浴びると、健康にも影響が及ぶのだそう。
「皮ふの細胞の免疫が低下することも分かっています。免疫反応が弱くなってがん細胞を抑制できず、悪性腫瘍ができる危険性も増加。目の老化が進み、白内障の原因にも。昔とは紫外線量が違うことを意識し、女性、男性、子ども、大人、誰もが予防する必要があると思います」
2面では具体的な対策と、日焼け後のケアを教えてもらいました。
習慣化することが大事室内でも対策を忘れずに
紫外線対策のポイントの一つは「知識を持つこと。紫外線量は高所ほど、そして日本では南にいくほど多くなります。自分が住む地域、出かける先がどうかを知っておきましょう」と井岡さん。
紫外線予報などをチェックし、目安にしても。前述の通り、紫外線が強い時間帯はできるだけ外出を避け、出かける場合は念入りに予防して。
「一般的なガラスは紫外線を通すので、室内でも油断できません。遮光率が高いカーテンをつけるという手もあります」
ポイントの二つめは、面倒がらず毎日続けること。
「朝のスキンケアのついでに日焼け止めを塗るところまで習慣に。玄関に日傘や帽子を置き、出かける前に目に入るようにすると忘れにくいですよ」
日焼け止めの選び方や塗り方は下記を、また対策グッズについては左記を参考にして。
男性も使いやすい対策グッズが増加
最近の対策グッズの傾向は、「京都ロフト」のスタッフに話を聞きました。
「日傘はコンパクトで晴雨兼用、色は白・黒・グレーが人気。男性も違和感なく使えるデザインが増えてきました」とは、バラエティー雑貨フロア担当の蔦谷さん。健康雑貨フロア担当の片山さんによると「日焼け止めは親子でシェアできるジェルタイプが人気」とのこと。
日焼け止めの選び方
近所に出る程度なら、防御効果がSPF5・PA+のものでOK。紫外線が強くなる昼前後はSPF10〜20・PA++〜+++、晴天下のスポーツはSPF20以上・PA+++のものを選んで。
肌が弱い人は、刺激の少ない紫外線散乱剤のみを使った日焼け止め、または紫外線吸収剤を使っていても敏感肌用に工夫されたものがおすすめです。
※SPFはUVB(光老化に影響する紫外線)をブロックする強さを数値で示したもの。
PAはUVA(日光に大量に含まれ、肌の深部にまで届く紫外線)を抑える力を+の数で示したもの

スティックタイプの日焼け止めは手が汚れず、塗り直しが楽。ジェルタイプは肌に優しくベタつかない、と毎年人気です。塗ると肌がきれいに見えるトーンアップ系などメイクを兼ねて使えるものや、香り付きのものも注目されています(片山さん)
正しい塗り方
塗る量が少ないと十分な効果を得られないので、商品パッケージに表示された使用量を守ることが大事。少しずつ肌にのせ、塗りムラがないよう丁寧に伸ばして。3時間おきに塗り直すのがベターです。サンダルを履く場合は足の甲などにも忘れずに。

取り入れたい対策グッズ
日傘
太陽光が透けない生地のものを。最近は紫外線をほぼ100%カットする製品もあります

機能性だけではなく、プラスαの要素があるグッズが好評です。きれいに折り畳めるよう折り目が形状記憶加工されたものや、ケースにポケットが付いているもの、お子さんが喜びそうなキャラクター柄など。それぞれの特徴にも注目してみて
(蔦谷さん)
帽子
鼻のあたりまで影になるような、つばの広いものを選んで

つばのデザインで小顔に見えるものも登場しています(蔦谷さん)
サングラス
日中に長時間、屋外で過ごす場合は紫外線カット率99%以上のサングラスで目を守りましょう。近場を散歩する程度なら、カット率が低めでもOKです。ファッション目的のサングラスは、紫外線カット機能の有無をチェックして

ストール
首は対策を忘れやすい場所。日焼け止めを塗るほか、薄手のストールやスカーフを巻いてカバーして。首回りが華やかになり、コーディネートも楽しめるメリットも
アームカバー
半袖やノースリーブの服を着る際は、二の腕から手の甲まで覆うアームカバーをつけて。ちょっとした外出、スポーツシーン、自転車や車の運転時に重宝します

日焼け後のケアは?
「日焼けは軽い火傷と一緒です」と井岡さん。「ひどくなると水ぶくれができる場合もあるので、早めにケアしましょう」
冷やして保湿
まずしっかり冷却。冷却まくらなどをタオルに巻いて冷やし、肌の熱をしずめて。痛みが続く、水ぶくれが治らないといった状態なら、皮膚科を受診することも検討を。赤みやほてりが引いたら、次は保湿。日焼け後の肌は敏感なので、成分にアルコールや香料が多く入っている化粧品は刺激に。肌に優しいワセリンなど低刺激のものを選んで保護して。
保湿後は敏感肌用の日焼け止めを塗る程度にし、メイクは数日避けましょう。肌が弱い人は、冷やす・保湿する期間を長めにとり、しばらくは低刺激の日焼け止めにとどめて、帽子などで紫外線対策を。

(2025年5月24日号より)
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