食卓の新定番に。今、注目のブロッコリー

2025年2月28日 

リビング編集部

スーパーなどに年中並んでいるブロッコリーですが、日本では初冬から春までが旬。その魅力について、京都府の産地のひとつ、宇治市で話を聞きました。料理人によるブロッコリーを使ったレシピも紹介しています。

撮影/桂伸也、鈴木誠一ほか

〝指定野菜〟になることでより買いやすく

「ブロッコリーは近年、消費量が大きく増え、全国の生産量では20年ほど前と比較して約2倍になったとのデータがあります。2026年度からは、農林水産省が定める〝指定野菜〟に仲間入りすることが決まっています」と、「JA京都やましろ」でブロッコリーを担当する澤野浩平さん。

指定野菜とは、1966年にスタートした制度。国民生活に重要な野菜として、現在はネギ、ダイコン、キュウリ、トマトなど14品目が対象となっているそう。前回の指定は1974年のジャガイモだといいますから、約50年ぶり!

「指定野菜に追加されると、その野菜の価格が下落したときには生産者に補給金が交付(※)されます。生産者の経営が安定すれば、結果として消費者も安定した価格で購入できることに。皆さんにとっても大きな意味を持ちます」と、澤野さん。

※作付面積などの条件を満たす「指定産地」で生産されたものに限る、といった規定あり

宇治市では年間約20トンを出荷

ブロッコリーは北海道から九州まで各地で生産されていて、京都府内の産地としては丹後や山城といった地域が知られています。「JA京都やましろ」が扱う、宇治市産のブロッコリーの昨年の出荷量は約20.5トン。

「当エリアでは、6軒の農家の方々が『ブロッコリー部会』を結成。栽培技術の情報共有を行うなどし、中央市場でも宇治市産のブロッコリーは品質が良いと好評です」と、澤野さん。宇治市でのブロッコリー生産の歴史は古く、「おそらく40年ほど。努力や工夫を重ねてこられた歴史が、この品質につながっているんですね」と胸を張ります。

宇治市内のブロッコリー畑の様子。ブロッコリーはしっかりとした葉に包まれて育ちます

ビタミンやたんぱく質が豊富

普段、私たちが食べるのは、小さな花のつぼみが集まった〝花蕾(からい)〟というブロッコリーの花茎の部分。店頭で選ぶときには、花蕾が細かくてよく詰まっているもの、持ったときにずっしりと重みのあるものを選ぶと良いと、澤野さんからのアドバイス。「茎の切り口が黒ずんでないものが新鮮です」

栄養成分にも注目を。

「健康維持に欠かせないビタミンCやカリウム、食物繊維などが豊富です。消化の負担が少ない植物性たんぱく質が摂れる点でもおすすめ。スルフォラファンという成分は抗酸化作用があり、免疫力の向上も期待できます。上手に食卓に取り入れてほしいですね」

… 教えてくれたのは … 
JA京都やましろ 中宇治支店
営農経済課 澤野浩平さん

ブロッコリーが主役のレシピ

何かと便利なブロッコリーですが「調理方法がワンパターンに陥りがち」との声も。そこでブロッコリーが主役のレシピを紹介。野菜を使った料理を得意とする、イタリアンとベトナム料理店のシェフに2品ずつ考案してもらいました。

素材の味をシンプルに味わう

ブロッコリーのアンチョビーソテー

〝野菜ソムリエのレストラン〟としてさまざまな野菜を使う「京都イタリアン欧食屋Kappa(カッパ)」の石橋健志さん。ブロッコリーはサラダ、パスタ、煮込みなどに多用しているそう。
アヒージョ風にオイルをたっぷりと使い、アンチョビーでうまみをプラスした一品を教えてもらいました。
「ブロッコリーは火を通し過ぎないように。できるだけサッと炒めると、見た目もよくなります」

材料 4人分 ※写真は2人分

  • ブロッコリー1/2個(120gくらい)
  • パプリカ1/2個(あれば赤・黄を各1/4個)
  • アンチョビーペースト大さじ1
  • A(薄切りニンニク2かけ分、オリーブオイル大さじ5)

作り方

  1. ブロッコリーを小房に分け、太い茎は皮をむいて、スライスする。パプリカは約5mm幅に縦に切る
  2. フライパンにAを入れて弱火にかける。ニンニクのふちが少し色づいたらを加え、30秒ほど強火で炒める
  3. 野菜全体にオイルがいきわたったら端に寄せる。フライパンの空いた鍋肌部分でアンチョビーペーストを炒めて生臭さをとばす
  4. 全体を混ぜ、味が薄いようなら塩(分量外)を足して調整する

※アンチョビーは、フィレ4尾を刻んで使用しても

ミルクやチーズとの相性ぴったり

ブロッコリーとじゃがいもの簡単グラタン

ブロッコリーとジャガイモを使った、ホクホク野菜がたっぷりのヘルシーなグラタン。
ホワイトソースを使わず、具材を水溶き片栗粉でまとめるので、手間がかかりません。「グルテンフリー(※)を心がけている方も楽しめますよ」(石橋さん)
※小麦に含まれるグルテンを除去した食事法のこと

材料 2人分

  • ブロッコリー1/4個(60gくらい)
  • 鶏もも肉100g
  • ジャガイモ(中)1個
  • プチトマト3個
  • A(牛乳150cc、顆粒コンソメ小さじ1/2)
  • オリーブオイル小さじ1
  • 水溶き片栗粉(片栗粉と水、各大さじ1.5を混ぜる)
  • ピザ用チーズ、塩、こしょう各適量

作り方

  1. ブロッコリーを小房に分ける。鶏もも肉を一口大にカットしておく
  2. ジャガイモは皮をむき、一口大に切り、電子レンジで火を通しておく(600Wで2分程度)
  3. フライパンを中火で熱し、オリーブオイルをひいて鶏もも肉を焼く
  4. きつね色になったら、を加え、少しこんがりとさせる
  5. Aを加えて沸騰したら、塩、こしょうをし、ブロッコリーを加える
  6. ひと煮立ちしたら、よく混ぜながら水溶き片栗粉を少しずつ加え、全体が固まったら火を止める
  7. 耐熱容器にを入れ、半分にカットしたプチトマトとピザ用チーズを乗せて焼く(オーブンの場合、200℃で約10分)。チーズが溶け、こんがり焼き色がつけば完成

… 教えてくれたのは … 
京都イタリアン 欧食屋Kappa
石橋健志さん

京都市下京区仏光寺通東洞院東入ル仏光寺西町352 瑞晃ビル2階
TEL:075(708)6393
https://www.5kappa.com/

エスニック風スープがしみ込んだ

ブロッコリーのココナッツミルク煮込み

「ベトナムフレンチXUAN(スアン)」の桑島里美さんは、「ベトナムでもブロッコリーはよく食べられており、現地で味わった鍋料理の具材にも使われていました」と振り返ります。
「ブロッコリーはつぼみの部分にスープがよくからむので、長い時間、煮込んだりしなくてすむのもいいですね。そこで、ココナッツミルクを使った煮込み料理を考えました。余ったスープは、ごはんを入れてリゾット風に楽しんでも」

材料 4人分 ※写真は1人分

  • ブロッコリー1/3個(80gくらい)
  • 鶏もも肉1/2枚(100〜150g) 
  • カブ(今回は赤カブを使用)1/4個
  • コナッツミルク1/4缶(100g)
  • 固形スープのもと(コンソメ)1個 
  • 塩、砂糖、ヌクマム(なければしょうゆ)各適量

作り方

  1. ブロッコリーは小房に分け、カブは1cmほどの厚さに縦に切る
  2. 塩少々を加えた熱湯でを別々に1分ゆで、ザルにあげる
  3. 鶏もも肉を一口大にカット
  4. 鍋で水400cc(分量外)を沸かし、固形スープのもとを溶かす
  5. を加えて中火で煮る。アクが出たら除く
  6. 肉に火が通ったら、のカブとココナッツミルクを加える
  7. 沸騰したら、塩、砂糖、ヌクマムで味を調え、のブロッコリーを加える
  8. 全体が温まったらできあがり

※カブの代わりにキャベツや白菜でもおいしい。その場合は下ゆでせず、⑤で肉と同時に煮る

サクサク衣が甘みを引き立てます

ブロッコリーと海老のベトナム風天ぷら

「ベトナムでは天ぷらにカリフラワーを使うのが定番。そのイメージで、ブロッコリーも衣をつけて揚げてみました」と桑島さん。衣には米粉を使います。
「現地では天ぷらに、塩、こしょうとライム汁を混ぜたタレをつけて食べます。この天ぷらにも合いますよ」
海鮮を使った天ぷらには、ディル(ハーブ)がつきものだそう。こちらはなくてもOKです。

材料 4人分 ※写真は1人分

  • ブロッコリー1個(240gくらい) 
  • 小エビ20尾 
  • ディル適量
  • A(米粉65g、片栗粉15g、卵1/2個、水100cc)
  • 揚げ油、塩適量

作り方

  1. ブロッコリーを小房に分け、塩少々を加えた熱湯で30秒ゆでて、ザルにあげておく
  2. 天ぷらの衣をつくる。Aをボウルに入れて、箸で混ぜ、10〜20分置いて、全体をなじませる
  3. と小エビに、米粉(分量外)を軽くふり、余分な粉をはたく
  4. とちぎったディルをそれぞれにくぐらせる。170〜180℃に熱した油で衣がカリッとするまで揚げ、小エビにはディルを乗せてくっつける

※好みで塩(写真は岩塩とこしょう、コリアンダーを混ぜたもの)を添える。彩りにディル(分量外)を飾っても
※ブロッコリーに米粉をふるとき、つぼみ部分に水が付いていると、衣が厚ぼったくなるので、キッチンペーパーでよくふくとよい

… 教えてくれたのは … 

ベトナムフレンチ XUAN(スアン)
桑島里美さん

京都市左京区北白川久保田町56-1
TEL:075(741)6657
https://www.xuan.jp/

(2025年3月1日号より)