2025年 京都のトピックス

2024年12月27日 

リビング編集部

新年はどんな年になるでしょうか。施設の誕生やリニューアル、注目のニュースなど、2025年の京都のトピックスを紹介します。

撮影/深村英司ほか

2025年3月

隈研吾さん監修で約100年ぶりの建て替えが完成

宮川町歌舞練場

©隈研吾建築都市設計事務所
〝まちの継承〟をテーマに、大屋根を残した外観。1階のホワイエ(建物左部分)には竹を割って作られた〝簾虫籠(すむしこ)スクリーン〟を設置 ※イメージパース

2022年から、約100年ぶりに建て替え工事が進んでいる「宮川町歌舞練場」。25年3月に工事が完了し、5月に開所式が行われます。

芸妓・舞妓の稽古場であり、発表する場でもある歌舞練場。

「1916年に建設後、1969年に増改築が行われたものの、木造建築である建物の老朽化が問題になっていました。そこで、隣接する新道小学校の跡地をホテルに活用する計画が挙がった際、あわせて建て直すことに」とは、宮川町お茶屋組合顧問の宮田英喜さん。

建築家の隈研吾さん監修のもと、歌舞練場に留まらず、エリア一体をリニューアル。宮川町通りと新道通りをつなぐ新たな小路を造るなど、街全体の活性化を目指すとか。児童館や集会所など、地域施設も整備されます。

同歌舞練場内には、劇場「三ツ輪座」(483席)に加え、展示会や講座、お茶席などでの利用が可能な「花心庵」(約80㎡)が。

こけら落とし公演や、劇場などの貸し出しは25年11月以降を予定。

「劇場では、伝統芸能だけではなく、クラシックコンサートなど幅広いジャンルの公演が実施できます。『花心庵』では2026年の夏にビアガーデンを開催する計画も。気軽に訪れてほしいです」

2025年2月

全庁舎の整備が完了 本庁舎は国の登録有形文化財へ

京都市役所

完成する市役所全体図(イメージ)。既存建物を改修した本庁舎の北側に新たな北庁舎が完成します

耐震性能の不足、バリアフリーの未整備という課題を抱えていた「京都市役所」。〝環境に配慮し、おもてなしの心を備えた市庁舎〟を目指し整備を進めています。2019年に西庁舎・分庁舎が完成し、2021年に本庁舎をリニューアル。そして、25年2月に北庁舎の建設を終え、整備は完了するとか。

「防災拠点施設として迅速な対応ができるよう機能を強化しました。また、北庁舎と分庁舎をつなぐ連絡通路(下記写真)による熱エネルギーの融通により、市庁舎全体の管理コスト削減につなげます」(京都市担当者)

ネオ・バロック様式の建築物である本庁舎は、25年2月、国の登録有形文化財となる見通しです。

押小路通(中央)を挟んで、左側が北庁舎、右側が分庁舎。新しい北庁舎には、証明書発行コーナーや情報公開コーナーなどが設けられるそう

2025年中

駅の東西を結ぶ自由通路と橋上駅舎を新設

JR向日町駅

25年中に完成する新駅舎(西側)。西国街道における「常夜灯」を表現する、箱状のガラスを用いたデザインに。向日市の「新しいまちの道しるべ」となる期待が込められています ※向日市提供。イメージパース

駅東側の出入口の開設に向けて整備を進める「JR向日町駅」。25年中には、駅の東側と西側を結ぶ自由通路を新設。また、現在の平屋の駅舎が橋上化され、新駅舎が完成します。

「2026年度には、駅の東側に建設される駅ビル棟と通路が接続。これを持って、駅の東側の出入口が開設します」(向日市担当者)

駅東側では、駅前広場なども開発されるとか。

2025年4月13日(日)~10月13日(月)

大阪・関西万博へのブース出展、府内で関連イベントも

大阪・関西万博きょうと推進委員会

京都府など関西9府県からなる「関西パビリオン」のイメージ

いよいよ、25年4月から、大阪 夢洲(ゆめしま)で行われる「大阪・関西万博」。国内パビリオンの一つである『関西パビリオン』の中に、「大阪・関西万博きょうと推進委員会」が主催するブースとして『ICHI-ZAKYOTO(一座きょうと)』が展開されるそう。

「『文化』『食』『産業』『環境』『いのち』『観光』とテーマを変えながら、京都の魅力を発信します。何度来ても楽しめるよう、各テーマ内でも約1週間という短いスパンで内容が入れ替わるのも、京都ブースならではです」(京都府担当者)

来場者が出展者と交流し、一体感を生み出すような実演・体験イベントも予定しているといいます。

「『文化』がテーマの期間には、茶道や華道のおもてなしを予定。和食の試食、お酒の試飲などは、『食』の期間で。『産業』がテーマの期間では、京都の伝統産業や先進企業の技術に触れるような体験型の展示を検討中です」

同パビリオン内の「多目的エリア」へも京都の企業・団体の出展が。物販やイベントが行われます。

また、同万博期間中、京都府内でも、お茶や和食などの食関連や、25年に復活する『淀川舟運』関連など、200件を超えるイベントを計画中とのこと。地元でも、万博の盛り上がりが感じられそうですね。

詳細は、「大阪・関西万博きょうと推進委員会」の公式ホームページを参照。

京都ブースのイメージ。壁面と床には京瓦の「キモノタイル」が。着物の前合わせを思わせる独自のパターンで、空間に動きと奥行を与えます

2025年 7月17日(木)

50年前の神事が祇園祭で復活 八坂神社のみこしを守る武者行列

京都市東山区弓矢町

弓矢町町内会役員の皆さん。中央にある「福印」の銘がある甲冑は、7月16日(水)・17日(木)に行われる「武具飾り」で町会所「弓箭閣(きゅうせんかく)」に展示されます

毎年、7月17日は八坂神社のみこしが洛中へ渡る「祇園祭・神幸祭」。この神事で、みこしを警護する「武者行列」が25年の夏に復活します。

「甲冑(かっちゅう)を身にまとう大将は騎馬で、さらに武者4名と裃(かみしも)姿のお供がつくよう準備しています」とは、役割を担った氏子地域の一つである「京都市東山区弓矢町」の町内会会長・髙橋愼司さん。

「弓矢町は、中世から祇園祭に関わり、『弓矢組』と名乗って弓矢を携え神事の護衛にあたった歴史ある町です。明治時代でも甲冑(かっちゅう)は30領ほどありました」

年月が経つうちに甲冑は損傷し、14領に。修復費の負担増、担い手不足などで行列は1974年(昭和49年)を最後に中断したといいます。

しかし近年、周囲から再開を望む声が挙がり、町内でも機運が高まって復活へと踏み出したそう。2024年の夏は「弓矢組」の旗とはんてんを新調し、みこしを先導。現在は約百年守り継いできた大将の甲冑を神幸祭に向けて修復中です。

「これからも町内外の協力を得ながら長く続け、後世に継いでいきたいですね」

2025年秋

開設100周年 2つの広場をリニューアル

京都競馬場

「ふわふわドーム」(中央)と、ドームを囲うように設置された「こもれびテラス」 ※イメージ

23年にメインスタンドや馬場をリニューアルした「京都競馬場」。淀に開設して100周年を迎える25年の秋には、場内の2つの広場の整備が行われます。

「陽だまり広場」では、子どもが飛び跳ねて遊べる人気の「ふわふわドーム」周辺に休憩所「こもれびテラス」を設置。「緑の広場」にある木製の大型アスレチックもリニューアルされます。

また、広場に隣接するホースリンクを改修。「馬洗場」も新設するなど、より馬を間近で見られる空間に。家族で出かけてみて。

ホースリンク内にある厩舎

2025年度中

デジタルテクノロジーによるアートを常設展示

(仮称)チームラボミュージアム京都

© チームラボ ※画像はイメージです

京都駅東南部エリアに、「(仮称)チームラボミュージアム京都」がオープン。デジタルテクノロジーによるアートを制作する集団「チームラボ」の作品が常設展示されます。

数百台のプロジェクターやセンサー、基盤になるコンピューターなど、さまざまなデジタル機器を活用した作品に注目を。

同エリアには、世界的なアーティストによる作品を展示予定の、体験型アートセンター「Superblue(スーパーブルー)Kyoto」も開設予定です。

新名神高速の開通にあわせ、城陽市での開業に向け開発中

(仮称)京都城陽プレミアム・アウトレット

城陽市令涼つむぎにて開業予定の「(仮称)京都城陽プレミアム・アウトレット」(開業時期未定)。
「大津JCT」と「城陽JCT」間の開通が予定されている新名神高速道路沿いに位置し、開通時以降の開業が予定されています。新たなショッピングスポット、オープンが楽しみです。

〈狭域図〉

(2024年 年末年始号より)