家族で共有しておきたい 住まいの防犯対策

2024年12月6日 

リビング編集部

日々、テレビや新聞で見聞きする、住居侵入の強盗にまつわるニュースに不安が広がっています。いま、私たちにできる防犯対策を、京都府警察本部で聞いてきました。

イラスト/オカモトチアキ

危険を回避するには用心深くなること

「最近、京都府でも〝不審な訪問業者〟についての通報が増えています。特に多いのが『お宅の瓦がずれていますよ』などと、屋根の修理をすすめる人が突然家に来た、というものです」と話してくれたのは、京都府警察本部生活安全部生活安全企画課の寺村研二さんです。聞けば、一日一件レベルで、同様の通報があるよう。

「京都は、礼儀を大切になさる方が多く、顔も見ずに話すのは失礼だからと、対面で話そうとする傾向があるようです。見知らぬ人でも、玄関まで入ってもらう場合も少なくないとか。

しかし、いまは用心することも大切です。

留守を装って対応しないという方法もありますし、まずはインターホンで対応し、必要がなければはっきりと断ってください。話を聞くのであれば、できるだけ玄関の外で対応を」とのこと。

見知らぬ業者と話をするときは、こんなことにも注意を。

「たとえば、『全部修理しても200万ほどです』といわれて、『そのくらいなんですね』などと平然と言ってしまったら、それは『それなら可能ね、いつでも出せるわ』と言っているようにも聞こえ、相手に資産状況を把握させることにもなります。

また、『どこの会社のどちらさまですか』と聞いておくことを忘れずに。家族にも伝えてください」

本当に必要な要件なら、後日その会社のことを調べたり、電話をかけるなどして確認してから、話をすすめましょう。

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ナレーション by ボイスゲート

電話応対中に個人情報が知られることも

昼間に家にいると、アンケートに協力してほしいという電話がかかってくることがありますね。これも、要注意。

「アンケートで、必要以上に個人情報を聞かれる場合は警戒を。犯罪者は何気ない会話から、自分たちに必要な情報を手に入れます。家族構成や、いつ出かけているかなどを聞き出せば、空き巣や強盗に入るのに適した時間帯を考える材料になります」(寺村さん)

うっかり答えてしまったと、不安に感じた場合は近くの交番などへ相談しておいて。

「管轄内の警察官同士で情報を共有して、パトロールを強化するなどします」

また、海外からの電話は、特殊詐欺に関する場合が多いそうなので、かかってくる予定のない国際電話には出ないようにするのがいいそう。

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自分たちで行える防犯対策の一例

■京都府警察の「防犯・犯罪情報メール」に登録

身近な地域の犯罪発生情報や不審者出没情報などを随時、スマートフォンなどのメールで受け取れます。「anzen@mail.bousai.pref.kyoto.lg.jp」に空メールを送信して、返信された登録フォーム画面に必要事項を入力すればOK。詳細は、「京都府警 防犯・犯罪情報メール」で検索を
https://www.pref.kyoto.jp/fukei/anzen/seiki_t/mail/

■警察庁の「住まいる防犯110番(ホームページ)」で学ぶ

強盗や空き巣などの現状や最新の対策などが解説されています。詳細は、「警察庁住まいる防犯110番」で検索を

■電話機に「通話録音装置」を取り付ける

特殊詐欺などの電話での勧誘への対策として、京都府内の警察署で防犯機能を備えた通話録音装置の無償での貸し出しがあります(65歳以上の高齢者が対象)。

※貸出期間、利用条件などは最寄りの警察署へ問い合わせを

※防犯機能付きの固定電話への買い替えに対し、補助金制度のある自治体も

■国際電話の利用休止

固定電話で海外からの着信を止めることができるサービスがあります。「国際電話不取扱センター」へ申し込みを。TEL:0120(210)364

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侵入者にとって、〝面倒な家〟と思わせることが重要

普段から、侵入者に狙われないためにキーワードとなるのが、〝面倒な家〟だと寺村さんが教えてくれました。 

「住まいへの侵入に5分以上かかると、犯罪者は犯行をあきらめる傾向があるとよく言われます。そのため、補助錠をつけて二重ロックにすることなども推奨しています」

戸締りを徹底することなどは当然ですが、目に見えて「この家は防犯意識が高いな」と思わせることがポイントになるといいます。防犯カメラが外部からもよく見える位置に取り付けられている、人が通るとセンサーで明かりが灯るといった家には侵入しにくいようです。(下記参照)

マンションの場合、オートロックがあるから大丈夫と過信するのはNG。住人の出入り時に合わせれば入ることが可能。高層のフロアでも、外壁を登ったり、隣の建物から侵入したりするケースもあるそう。ドアや窓の施錠は必須です。

また、寺村さんは「犯罪を企てている人は、顔を見られることを嫌うので、近所付き合いが盛んで、挨拶を交わすようなエリアは狙われにくい傾向にあります」とも。

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住まいを守る防犯アイテム

■センサー付きライト

動くものに反応してライトが点灯。
侵入者を警戒させる役目も

■防犯砂利

踏むと大きな音が鳴ります

■防犯カメラ

玄関や窓に設置。証拠を記録すると共に、
見える所に取り付けることで犯行を
けん制する効果が期待できます

ほかにも・・・

  • 防犯ガラス
    割れにくいガラス。または強度を高めるフィルムを貼るのもいい
  • 補助錠
    既存の鍵とは別に取り付ける簡易錠

※いずれもホームセンターや家電量販店などで販売されています

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もしも危険を感じたら、  立ち向かわず、身の安全を一番に!

どんなに対策をしていても、万が一ということがあるかもしれません。押し込み強盗など、危険を感じる場面に遭遇したら、「逃げてください!」と寺村さん。

「ときどき、『自衛用にバットやゴルフクラブを置いているから』などと話す方もおられますが、相手はさらに手荒な攻撃をしてくる可能性があります。一番重要なのは、ご自身や家族の安全です。最悪の事態を招かないよう、できるだけ早くその場から離れ、すぐに110番通報をしてください」とのこと。

とにかく身の安全の確保を第一に。いざというとき、迅速に通報ができるよう、就寝時、携帯電話やスマートフォンを近くに置いておくといった対策も重要です。

「もし強盗が入ってきたとき、どこの部屋に逃げ込むのか、どこから外に逃げるのかなど、日ごろから話し合っておいてください」

家族みんなで共有して、防犯意識を高めましょう。

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SNS上のアルバイト募集は要注意!
わが子を犯罪に関わらせないために

最近の住まいへの強盗事件には「闇バイト」に応じた若い世代の人たちが関わっているケースが多いですね。SNSなどで、〝即日高収入〟など、甘い言葉につられてアルバイトに応募したら、強盗の見張り役にされていた…などというもの。

「通常のアルバイトもインターネットでの情報を元に探しているため、身分証明書などを提示することにあまり抵抗がないような子どももいます。"荷物を運ぶだけで〇万円!""ホワイト案件"といった言葉には注意をするよう、常日頃からわが子と話し合っておいてほしいです」(寺村さん)

犯罪の連絡には、スマートフォンの匿名メッセージアプリ「Telegram(テレグラム)」「Signal(シグナル)」が使用されることが多いとか。

「設定した時間が経過すると、送受信者どちらのデバイスからもメッセージが消え、やり取りの形跡が残らないため、捜査しにくくなります。もちろん普通に仕事で使う人もいますが、お子さんのスマートフォンに見慣れないアプリが登録されていたら『これ、どうしたん?』と聞くなど、興味を持ってコミュニケーションをとってください」

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教えてくれたのは
京都府警察本部 生活安全部 生活安全企画課 犯罪抑止対策室
室長補佐 寺村研二さん

皆さんの通報・相談が対策にいかされます

「困ったときはもちろん、何か変だなと思うことがあれば、迷わず警察に相談してください。そうした情報が、犯罪の抑止や犯人の逮捕につながります。よく、こんなことくらいでと遠慮される方もおられますが、私たちにとっては教えていただけることが、むしろありがたいです。防犯対策の一つとして、ぜひお願いします」

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ナレーション by ボイスゲート

(2024年12月7日号より)