
食欲の秋、忘れてはならないのが秋魚です。秋においしくなる理由や代表的な秋魚、各魚に含まれる栄養素を効率よくとれる調理法・レシピなどを紹介。献立の参考にしてくださいね。
撮影/橋本正樹、山﨑晃治 イラスト/フジー
魚の動きが活発に
「夏に比べ、秋は流通する魚介の量も種類も増えますね」と教えてくれたのは、京都市中央卸売市場で水産物の卸を行う「大京魚類」の競り人、雪丸泰成(たいせい)さんです。
「夏の間は魚も暑さにバテて活動が鈍くなり、『夏枯れ』といってあまり取れなくなることも」
秋に水温が下がると活発に動くようになり、漁獲量も増えるそう。
「よく動いてどんどんエサを食べるようになるので、筋肉が付き脂も乗って、おいしい魚が出回るんですよ」
サバ、アジ、カマス…脂が乗ってきます
10月中旬ごろからおいしくなる魚を雪丸さんにたずねると、サバ、アジ、カツオ、秋ザケ、カマス、サワラが主とのこと。
「青魚が多いですね。サバは主に真サバ。天然ものがオススメです。アジ、カマスも脂が乗ってきます。戻りガツオや、北海道・宮城県あたりから入荷する秋ザケはこの時期ならでは。冬にかけて獲れる寒サワラも人気ですよ」
選びたいのは〝力〟がある魚
スーパーなどで秋魚を選ぶときのポイントは。
「競り人は身のプリッとした上物の魚を〝力(リキ)〟があるといいます。体の幅が大きく、背や尾の方に厚みがありふっくらしているもの。体に対して頭が小さく見える魚がいいですね。目は黒くて澄んでいるものが新鮮です」

(撮影協力/新鮮激安市場!四条麩屋町店)
体にうれしい栄養素に注目を
秋魚の栄養面について話してくれたのは、京都女子大学家政学部食物栄養学科の特任教授、今井佐恵子さんです。
「注目すべきは、青魚の脂に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)。動脈硬化予防やアレルギー疾患を軽減する効果などがあるとされています。秋に脂肪を蓄えた青魚は、特にこれらの含有量が多いといえます。
一般的に魚には日本人に不足しがちなビタミンDも豊富。魚以外では取りにくい栄養素で、カルシウムの吸収を助け、骨や歯を丈夫にします。
たんぱく質も多いので、筋力や認知機能が低下するフレイルの予防効果も期待できますね。ビタミンや鉄分も豊富ですよ」
各魚に含まれる主な栄養素や、それを上手に取れる調理法について今井さんに教えてもらいました。
\ 教えてくれたのは /

京都女子大学 家政学部食物栄養学科 特任教授
今井佐恵子さん

大京魚類
雪丸泰成さん
秋魚の栄養と調理のポイント
各魚の特徴や、含まれる栄養素を効率よくとる調理法について今井さん、雪丸さんに教えてもらいました。
秋サケ

秋サケというのはシロサケのこと。生まれてから3〜5年海を回遊。その後秋に元の川に戻り産卵します。
美肌効果などの成分に注目
赤い身はアスタキサンチンによるもの。抗酸化作用があり、美肌効果や発がん予防などの効果が期待されます。BCAA、鉄分も多く含み、皮にはコラーゲンがたっぷり。
- 調理のポイント
- アスタキサンチンは脂溶性なので、揚げるなど油で調理するのがおすすめ。皮ごと食べるとコラーゲンもとれます。
サケのらくらく混ぜ寿司

材料(2人分)
- 米1合
- すし酢(米酢30cc、砂糖10g、塩4g)
- サケ小1切れ60g
- 青シソ5枚
- キュウリ1/2本
- 卵1個
- いりごま少々
- 【A】ミニトマト6個(1/4にカット)、ブロッコリースプラウト1/2パック(根を切る)、ショウガ甘酢漬け少々、スダチ1/2個、刻みのり少々
作り方
- サケに塩を軽く振り、水気をふき取ってグリル(またはフライパン)で焼き、身をほぐす
- 米を炊いて、すし酢を合わせ混ぜる
- キュウリは薄切りにして塩もみし、水洗いして絞る。青シソは千切りに
- 卵で錦糸卵を作る
- ❷に❶と❸、いりごまを混ぜて器に盛る。錦糸卵と【A】を彩りよく盛り付ける
カツオ

1年に2回旬があり、秋は北の海から南下する戻りガツオが流通します。
筋肉増強や疲労回復に
高たんぱく質、低カロリーで、筋肉保持や増強につながる分岐鎖アミノ酸(BCAA)が豊富。エネルギー代謝を高めるビタミンB群のほか、鉄分も摂取できます。
- 調理のポイント
- ニンニクやネギと一緒に食べると、アリシンの働きでカツオに含まれるビタミンB1が吸収されやすくなります。
カマス

カマスの中でも秋が旬なのはアカカマス。南日本を中心に群れで沿岸の浅瀬を回遊します。
1匹で1日に必要なビタミンB12を摂取可
ビタミンD、ビタミンB群を多く含みます。1匹当たりのビタミンB12の含有量は成人の摂取目安の約1日分。葉酸とともに造血作用があり、貧血予防・改善に効果的です。
- 調理のポイント
- 水分が多いので塩でしめて調理を。ブロッコリーやホウレンソウなど葉酸を含む野菜と一緒に食べるのがおすすめ。
アジ

日本近海には大小さまざまな種がいて、秋に南下する種類もいます。
青魚の代表的な栄養を含有
カツオと同様、低カロリーで高たんぱく質。ビタミンDや鉄分を多く含み、DHA、EPAも豊富。小アジは骨ごと食べればカルシウムの補給にも。
- 調理のポイント
- ビタミンDは脂溶性なので、油での調理がおすすめ。南蛮漬にすれば骨まで柔らかく食べられます。
サバ

日本沿岸に広く分布。秋に脂の乗ったサバは秋サバと呼ばれ人気。
鉄分たっぷりで貧血の予防にも
ほかの魚に比べ鉄分が豊富で、真サバの含有量はタラの6倍、アジの2倍。貧血予防に効果的。ビタミンB12も豊富。
- 調理のポイント
- レモンなどビタミンCを含むものや酢と組み合わせると、鉄分吸収に効果的。
サワラ

秋〜冬に獲れるものを寒サワラと呼び、京都の舞鶴や三重、長崎などで獲れます。
鉄分たっぷりで貧血の予防にも
脂の乗った寒サワラはDHA、EPAの含有量が多い傾向に。ビタミンD、ビタミンB群も豊富。高たんぱく質で高齢者のフレイル予防にも。
- 調理のポイント
- 油を使って調理すると、ビタミンDの吸収が良くなります。
サワラとレンコンのシャキシャキ炒め

材料(2人分)
- サワラ小2切れ
- レンコン70g
- シメジ・マイタケ各1/3パック
- 片栗粉適量
- ネギ適量
- 【A】しょうゆ・酒・みりん各大さじ1、ショウガしぼり汁小さじ2
作り方
- サワラは骨を取り除き、1/3ほどに切る。塩を振って10分ほど置いて水気をふく
- レンコンは5mm幅の半月切りにし、キノコはほぐしておき、ネギは小口切りに
- ❶❷のサワラとレンコンにうすく片栗粉をまぶす。油を熱したフライパンでレンコンの両面を焼き、取り出す。油を足してサワラに火を通し、取り出す。また油を足してキノコを焼き、レンコン、サワラを戻す
- 弱火にし、【A】を入れてからめる
- 器に盛り、❷のネギをちらす
読者オススメ!秋魚のレシピ
読者に教えてもらった秋魚のオススメレシピを紹介。
調理しやすいものばかりなので、参考にしてくださいね
サケのオーブン焼き
サケを一口大に切ります。塩コショウをしたら耐熱容器に並べて、身が隠れる程度にパン粉を振ります。全体にオリーブオイルを振りかけてからオーブンで焼きます。少し焦げ目がついて、濁った煮汁が出なければOK。サワラでも作れます。(K.Sさん)
サバの南蛮漬け
一口大に切ったサバに片栗粉をまぶしてカラッと揚げ、タマネギやニンジン、ピーマン、パプリカとともに甘酢で南蛮漬けに。子どももパクパク食がすすみます。(K.Yさん)
サバのポワレ2種
サバの切り身4枚をさっと水洗いし、ひれを切り落とします。大きさはそのままでも半分に切っても大丈夫です。
(1種目)
2枚分をバットに入れ、日本酒をまわしかけて数分おき、片栗粉を薄くはたきます。フライパンにオリーブオイルを入れ、中火から弱火で蓋をして、サバを両面蒸し焼きにして皿に移します。フライパンをキッチンペーパーでさっと拭き、オリーブオイルを入れて、タマネギ(中)2分の1個、トマト(中)2分の1個を炒め合わせます。タマネギに火が通ればケチャップ大さじ1、しょうゆ小さじ1を入れて混ぜ、火を止めます。それをサバにかけて、粗めに切ったイタリアンパセリ(2分の1パックほど)をのせて完成。
(2種目)
同じフライパンをさっと拭き、オリーブオイルを入れ、サバ二枚分を並べてカレーフレーク小さじ1、パルメザンチーズを好みの量のせて弱火にかけます。カレーが少しなじめばできあがり。(E.Nさん)
刺身
ニンニクは潰して刻み、ショウガはすりおろしてカツオの刺身に少しずつ付けます。大葉に包んで、ユズの効いたポン酢で食べます。(K.Yさん)
(2024年10月19日号より)
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