伏見区羽束師(はづかし)にある団地の一角で、誰もが集える〝居場所〟が開かれています。
撮影/児嶋肇
4月の第3日曜日、伏見区羽束師にある団地の集会所から聞こえてきたのは、子どもたちのにぎやかな声。
月に1度、市民団体「いろいろ」によって開かれている、コミュニティースペース「ゆるくる」です。子どもだけではなく、地域の誰もが利用できる〝居場所〟として開催されています。飲食やゲームは一部有料ですが参加は無料。
室内にはボードゲームやけん玉といったおもちゃのほか、塗り絵、ミニ卓球セット、電子ピアノなどさまざまな遊び道具がずらり。駄菓子を釣りあげるお菓子釣りゲームや、鉄道玩具のコーナーも。子どもたちは隣にある公園と行き来しながら、思い思いに楽しんでいました。その様子を眺めながら、おしゃべりに花を咲かせる高齢者たちの姿もあります。
「幼児から小学生、そして高齢者と毎回15〜20人ほどが来てくれますね。遊ぶもよし、会話を楽しむもよし。ゆったり〝ゆる〜く〟過ごせる場所、気軽に訪ねられる友だちの家のように感じてもらえれば」と話すのは、同団体代表の末永祐介さん。末永さんが声をかけるなどして集まったボランティアとともに子どもたちを見守っています。
友人と訪れていた小学生の女の子は、「お菓子なども用意されていて楽しい」とのこと。幼児の兄弟を連れた母親は、「土日に室内で遊べる場は少なく、ありがたいです」と話していました。
隣接する公園ではビーチボールサッカーが盛り上がっていました
駄菓子にクリップをつけて作ったお菓子釣りゲームは子どもたちに人気(1回50円)
団地に住む男性が提供してくれた鉄道玩具コーナーも好評
始まりは、子どもたちへの思いと町への危機感から
数年前まで教育に関わる仕事をしていた末永さん。昨年5月に自身の地元で「ゆるくる」を始めたのは、「家と学校以外に、子どもたちがありのままの自分で過ごせるサードプレイスが必要」という思いからでした。
「さらに、羽束師には課題がありました。地域内のつながりが希薄で、以前から住んでいた高齢者、新興住宅街で暮らす核家族など住民同士の交流が少ない状態。また、子どもの数は多いけれど、公園などで一緒に遊ぶ様子はあまり見られなくなっていたんです」
住民の声もヒアリングし、「子どもたちが安心して集まれる場所、そして、地域のみんなが交流できる場所をつくろう」と、友人2人と同団体を立ち上げたのでした。
活動を知った地元住民からはおもちゃの寄付や、「こんなことならできるよ」と協力の申し出も。今回の鉄道玩具のコーナーのほか、コラボイベントとしてハンドマッサージ体験や駄菓子屋、ウクレレ演奏会などの企画も実施しました。
「毎回楽しみに来てくれるリピーターも増えてきましたが、より認知が広がるようイベントなども考えていきたいです。
ここで顔見知りになれば、外で出会っても声を掛け合える。人のつながりが増えることで、町を循環・活性化させることができれば」
運営スタッフ、ボランティアも随時募集中だそう。
問い合わせは末永さん=iroiro.ibashogmail.com
ここで知り合ったという80代の女性2人は「誰とも話さない日もあるので、こうした機会があるとうれしいです」
お菓子や軽食をつまみながらおしゃべりタイム。自由に購入できるおむすびは、地元のお店が特別価格で提供
左から主催者の末永さん、ボランティアの稲岡さん、水野さん、須山さん
コミュニティースペース「ゆるくる」次回開催予定
●6月16日(日)午前10時~午後2時
●場所/羽束師団地集会所 ( 京 都府営住宅羽束師団地3棟南側)
●参加無料。ゲームは有料のものあ り
※毎月第3日曜開催予定。詳細は Instagram(インスタグラム)から。
https://www.instagram.com/iroiro_ibasho/
(2024年5月25日号より)
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