外国人が京都を知り、人とつながるきっかけに

2024年4月5日 

リビング編集部

京都には、海外出身者が多く暮らしています。「彼らにもっと京都を知ってもらいたい」「彼らのコミュニケーションの場をつくりたい」と活動している団体を取材しました

撮影/児嶋肇

2月4日、梅がほころぶ京都御苑を散策する団体が。その名も「ENJOY KYOTO OSAMPO CLUB」。毎月第1日曜日、京都で暮らす外国人を対象に、歩いて観光するツアーを開催しています。この日の参加者は中国出身の女性5人。過去にも何度か参加しているそうで、おしゃべりが盛り上がります。

メンバーと参加者で話が弾み、ツアーは和気あいあいとした雰囲気

一同は京都御苑から吉田神社へ。節分後日祭で特別に開門されていた大元宮(だいげんぐう)を、同団体のメンバーでガイドを担当する久田由美さんに付いて参拝。そのあとは真如堂、続いて金戒光明寺へ。同代表の中川久徳さん、メンバーでバングラデシュ出身のジャシム・ウディンさんも、歩きながら参加者の会話に加わります。最後は岡崎神社に参拝して解散。

「季節や行事、参加者のリクエストも踏まえて毎月のコースを組んでいます。マイナーなところも多いですね。観光というよりコミュニケーションが第一目的ですから」と久田さん。

参加者のひとりは、「有名どころを観光するだけではなく、一般のツアーにはない体験ができて楽しい。(京都に住む)外国人同士がつながる機会は少なく、おしゃべりや情報交換ができるのもうれしいです」と話していました。

今回のメイン、吉田神社の大元宮へ。祭られている全国津々浦々の神様に参拝
京都大学そばの「化粧地蔵」。歴史や文化に詳しい久田さんがマイナーなスポットも案内

技能実習生や留学生に京都観光の機会を

長岡京市に住むジャシムさんは、留学生として来日し、その後日本で就職しました。しかし、「毎日、家と職場を往復するだけだった」といいます。

「観光しようとしても案内してくれる人がおらず、一人で訪れてもよくわからない。自分が外国人であることに遠慮してしまい、日本人と親密な関係もなかなか築けませんでした」

同じく長岡京市在住の中川さんは、ジャシムさんから話を聞くうち、地元の技能実習生や留学生も同様の悩みを抱えていると知ったそう。

「せっかく京都に住んでいるのに、よく知らないまま帰国するのは残念なこと。京都の町と文化を知ってもらい、さまざまな国の人がつながるきっかけをつくれれば」という思いがふくらみました。共感した久田さんも加わり、昨年から3人で活動をスタート。

「今のところ、長期間日本に住んでいる外国人の参加が多く、ツアーがコミュニケーションの場になっています。過去には、ベトナムの技能実習生や、留学生の参加も。今後、多くの外国人に知ってもらい、気軽に参加してもらいたいと思っています」

日本人のボランティアスタッフも募集中とか。

問い合わせはメール=ekoc202301@gmail.com=で。

代表の中川さん(中央)、ジャシムさん(右)、久田さん

「ENJOY KYOTO OSAMPO CLUB」ツアー

開催/毎月第1日曜日
参加費/100円(保険代など)

予約不要。内容、集合場所、時間など詳細はフェイスブック(https://www.facebook.com/enjoykyotoclub)を参照

(2024年4月6日号より)