この春、「びわ湖疏水船」の航路が延伸!

2024年2月21日 

リビング編集部

PR/京都市上下水道局

京都と滋賀・大津を結ぶ琵琶湖疏水。琵琶湖の水を京都に引くために明治時代に造られた水路で、当時は物資を運ぶ船が行き交っていたといいます。舟運は1951(昭和26)年に途絶えましたが、2018(平成30)年、観光船「びわ湖疏水船」が誕生。さらに、今春、航路が延伸されることに。「びわ湖疏水船」の魅力をガイドのコメントとともに紹介します。

「びわ湖疏水船」のロゴ
便名

「蹴上」〜「三井寺」…三井寺便(通常便)

「蹴上」〜「大津港」…びわ湖・大津港便(延伸便)

琵琶湖疏水と琵琶湖の景色の違いを楽しんで

「びわ湖疏水船」が運航するのは春と秋。今春は3月28日(木)〜6月9日(日)に実施されます。上り便(蹴上から三井寺)と下り便(三井寺から蹴上)があり、全長7mの船でクルージングを堪能できます。

観光船として「びわ湖疏水船」が復活し、6年たったこの春、大津側の航路が延伸されることに。延伸部分は琵琶湖手前の「大津閘(こう)門」そば、「三井寺」乗下船場から琵琶湖内の「大津港」乗下船場までの約1.5km。全ルートの運航距離は約9.3kmになりました。

この延伸により、新たな魅力が加わりましたよ。

まず、琵琶湖での運航を楽しめること。上り便では、山々の間を縫うように流れる幅10mほどの琵琶湖疏水から広大な琵琶湖に出るときに驚きを感じそう。視界が開け、景色が広がり…。「びわ湖疏水船」に乗船するからこそ味わえるギャップです。下り便では、琵琶湖から琵琶湖疏水に入るという明治期の物流の雰囲気を感じることができます。

アトラクションのような水位差体験

次に「大津閘門」での〝水位差体験〟。「大津閘門」は、パナマ運河と同じ手法で、二つの門を使って琵琶湖疏水と琵琶湖の水位を調整する役割を担っています。上りの場合は水位がアップ、下りではダウン。船に客を乗せたまま調整が行われるので、目線が徐々に変わっていきます。アトラクションに乗っている気分を味わいましょう。

大きな「大津閘門」。船が近づくと門が開き、進入できます
「大津閘門」では、大きな門を閉じて、水位を調整します

上りと下りで船のスピードに違いが

京都側の乗下船場はこれまで通り、「蹴上」と、京都市と大津市の境にある「山科」の2カ所。

運航時間は三井寺便(通常便)の場合、上り便が約80分(乗船時間35分)に対して、下り便が約100分(乗船時間55分)。上りは、流れに逆らって進むためエンジン全開、スピード感と爽快感を味わえる船旅です。一方、下りは流れに任せて、ゆったり、のんびり。どちらにも乗って、速さの違いを感じてみませんか。

へん額、たて坑から感じる長い歴史

「びわ湖疏水船」に乗っていると、そこかしこで歴史と自然を感じることができます。

歴史の面でまず注目したいのが〝へん額〟。石に文字を彫った額のことで、航路にある合計3カ所のトンネルの出入り口に掲げられています。彫られた言葉は明治を代表する政治家によるもの。例えば「第三トンネル」西口の「美哉山河(うるわしきかなさんが)」は太政大臣・三条実美、「第一トンネル」東口の「気象萬千(きしょうばんせん)」は伊藤博文の言葉です。船旅をしながら、言葉の意味や意図に思いをはせてみては。

航路上最長となる全長約2.4kmの「第一トンネル」では、建設の困難さを物語る遺構に出合えます。トンネルの天井に造られた深さ47mの〝穴〟で、「第一トンネル第一竪坑(たてこう)」です。山上から垂直に穴を掘り、そこを下りた労働者が両側に掘り進めることで工期短縮を図ったとか。穴の真下を通過する際は、たて坑内部を見ることも可能。当時の人々の苦労がしのばれます。

運航中は、琵琶湖疏水工事で最初にできた橋も通ります。それが「藤尾橋」。赤レンガと石造りの土台は当時のまま、今も現役で使われています。琵琶湖疏水の長い歴史を支えてきたのですね。

「第三トンネル」に掲げられているへん額。よく見ると、右から「美哉山河」と書かれているのが分かります
「藤尾橋」の基部の赤レンガにも注目を

春の桜、新緑、秋の紅葉を船から観賞

季節ごとに表情を変える豊かな自然も「びわ湖疏水船」の見どころです。

ルート上でひときわ景色が良いと人気のゾーンが、「諸羽トンネル」と「第二トンネル」の間にある安朱橋付近。春には沿道に桜と菜の花が咲き誇り、ピンクと黄色の花の共演が心弾む風景を生み出しています。

秋には景色が一変。疏水沿いを赤や黄色の紅葉が彩ります。山科乗下船場が設けられている「四ノ宮船溜(ふなだまり)」も、モミジやイチョウが美しいスポットです。
新緑の時季には、周りの木々の色が水面に映り、見上げても視線を落としても美しい緑が目に入って爽やかな気分になれそうです。

船の天井が透けて見えるため、運航中は空を見上げたり、いつもと違った面白い景色に出会えることも
「第二トンネル」から東へ進んだところにある安朱橋付近の春の風景。桜とともに、地域住民が育てた菜の花を見ることができます
初夏の爽やかな風を受けながら走る新緑シーズンはガイドからも人気だとか
秋には疏水沿いを赤や黄色の紅葉が彩ります。モミジやイチョウが美しいスポットも

知識豊富なガイドが案内してくれます

こうした歴史や自然の魅力を伝えてくれるのが一隻に1人乗船するガイドたち。豊富な知識を駆使し、見るべきポイントや歴史的な背景、周辺の観光情報なども教えてくれます。ユーモアたっぷりな話術で乗船者と掛け合いをしたり、クイズを出して盛り上げたり。「びわ湖疏水船」に欠かせない存在です。

途中下船をして、山科を観光

「びわ湖疏水船」の沿線には、観光スポットが点在しています。「大津港」や「三井寺」から乗船して「山科」で下船、周辺を散策するのもおすすめ(※)。

立ち寄りスポットの一つが「毘沙門堂」。七福神の一人・毘沙門天を本尊とする703年創建の寺院です。春は樹齢150年以上という枝垂れ桜をはじめとした桜の花が、秋は鮮やかな朱色の紅葉が境内を彩ります。

琵琶湖疏水沿いの遊歩道を歩いてみるのもいいのでは。船に乗っていたときとは異なる風景を見ることができそうです。

※「山科」で下船できるのは下り便のみ

明治維新後の
京都復興のきっかけに

「びわ湖疏水船」が運航するのは「第一疏水」と呼ばれる水路です。こちらが完成したのは1890(明治23)年。建設を後押ししたのは、幕末の戦災と明治維新による事実上の東京遷都で衰退した京都を復興させたいという当時の人々の思いでした。

21歳の青年が尽力

琵琶湖疏水建設(第一疏水)の計画を立てたのは、第3代京都府知事の北垣国道(くにみち)。主任技師を任された田邊朔郎は大学を卒業したばかりの21歳の青年でした。田邊朔郎は、第一トンネルの工事のためにたて坑を掘る新工法を用いたり、視察でアメリカに足を運んだりと、さまざまな工夫と努力を重ね、完成へと導きました。

第一疏水の主な役割は「電気事業」「運河事業」「水力事業」。1912(明治45)年には第二疏水(※)も完成し、発電量もアップしました。この電気によって市電が走るようになったそう。

※第二疏水…第一疏水に平行して流れる地下水路

田邊家資料

貴重な歴史遺産に

1996(平成8)年には、12カ所の琵琶湖疏水関連施設が国の史跡に指定され、2007(平成19)年には琵琶湖疏水を含む施設が近代化産業遺産に認定されました。さらに2020(令和2)年には、琵琶湖疏水全域が日本遺産に。琵琶湖疏水が貴重な歴史遺産であることが分かりますね。

日本遺産ロゴ
「日本遺産」のロゴ

 航路MAP 

… 2024年春の乗船料 

  • A3/28(木)~31(日)、4/4(木)~7(日)
  • B4/1(月)~3(水)・8(月)
  • C4/13(土)~28(日)の土・日、4/29(祝・月)~5/6(休・日)の祝・休
  • D4/11(木)~5/9(木)の祝日を除く月・木・金、5/10(金)~6/2(日)の月・木・金・土・日、6/8(土)・9(日)
  • E6/3(月)・6(木)・7(金)

完全予約制

申し込みは「びわ湖疏水船」
ホームページ内の
「WEB乗船予約」フォームから

「びわ湖疏水船」 の魅力とは

船長 瀬川彰彦さん
「おすすめのスポットは天智天皇陵付近。森の中を通り、ジブリ映画で描かれるような幻想的な雰囲気です。ルート上はカーブが多いので、曲がるたびにまるで写真集をめくるようにすてきな風景が現れますよ」

琵琶湖を小さな観光船が走ることはあまりありません。水面の近さを感じられるのも「びわ湖疏水船」ならではです。季節、時間、ガイド、船長それぞれが違うと、また違った印象を持ってもらえるはず。ぜひ何度でも来てください(ガイド 道祖さん)

4カ所あるトンネルの長さはさまざまですが、いずれの場所でも暗い場所から、光が差す、美しい景色の中へと船が進んでいきます。トンネルを抜けた先にはどんな景色が待っているか。ワクワクしながら楽しんでください(ガイド 金谷さん)

何より、きれいな景色と琵琶湖疏水の雰囲気を楽しんでいただければ。明治時代に造られた素晴らしい琵琶湖疏水に感動してもらえると思います(ガイド トムさん)

「びわ湖疏水船」延伸記念
リビング読者限定プレゼント!

京都市上下水道局では、「びわ湖疏水船」延伸記念として、リビング読者限定でプレゼントを用意してくれました。下記応募ボタンよりこの紙面に関するアンケートに回答し、応募を。抽選で、回答者計30人にプレゼントが当たります。 当選者の発表は発送をもってかえられます。なお、応募者の個人情報は当選賞品の発送にのみ利用。

プレゼント受け付け代行/京都リビング新聞社

びわ湖疏水船チケット
びわ湖・大津港便(延伸便)
(ペア1組2万8000円)
1

※4月7日(日)下り3便分
(大津港に午前11時10分集合)

びわ湖疏水船チケット
三井寺便(通常便)
(ペア1組1万2000円)
6

※6月6日(木)下り3便分
(三井寺乗船場に午前9時15分集合)

オリジナル
へん額はんこ
(非売品)
3

気象萬千(揮毫者:伊藤博文)/廓其有容(揮毫者:山縣有朋)/美哉山河(揮毫者:三条実美)の中から1つ(種類は選べません)

\はずれた方の中から/
琵琶湖疏水オリジナルグッズ
(ミニタオル)/300円…20


プレゼント応募受付は終了しました。
たくさんのご応募ありがとうございました。


京都市上下水道局
TEL:075(672)7709
京都市南区上鳥羽鉾立町11-3
https://biwakososui.kyoto.travel/


(2024年2月24日号より)