上方歌舞伎の流れをくむといわれる、上方喜劇。10月に京都南座で上演される「錦秋喜劇特別公演」で、中村鴈治郎(がんじろう)さんは、笑いと涙の上方喜劇に出演します。制作発表で話を聞きました。
「この歳になっても、芝居が楽しいと思えることが幸せです」
「南座の舞台は特に、京都生まれの僕には、うれしいことです」
「錦秋喜劇特別公演」で、中村鴈治郎さんは2作品に出演。「祇園小唄」では、京都の大店(だな)の分家の若旦那役で実弟の中村扇雀さんと、「大阪ぎらい物語」では、大阪・船場の老舗木綿問屋の長男・新太郎役で、藤山直美さん、田村亮さんと共演します。
「直美さんと共演するのは、27年ぶりなんですね。また弟の中村扇雀と、歌舞伎以外で共演するのは初めて。いろんな意味でドキドキの舞台です」
藤山直美さんの父は藤山寛美さん、田村亮さんの父は阪東妻三郎さん、そして鴈治郎さんの父は、四世坂田藤十郎さん。
「上方を代表する名優たちの跡継ぎ世代が喜劇で共演するというのも、うれしいことです」と話します。
鴈治郎さんが、お茶の間の注目を集めたのは、まだ中村智太郎を名乗っていた18歳のころ。NHKの連続テレビ小説「おていちゃん」への出演がきっかけでした。3年前には同じくNHKの「おちょやん」に出演するなど、歌舞伎以外でも幅広く活躍。そのおおらかで温かみのある演技には、定評があります。
「長い事、役者をやっていますが、この年になっても、芝居が楽しいと思えることが、一番幸せなことです。いろいろな規制があったコロナ禍は、役者もまた、大変な思いをしました。観客のみなさんも同じだと思います。その分、これから思いっきり楽しみたいですね」
■ profile ■
京都市出身、64歳。四世坂田藤十郎の長男。2015年、四代目中村鴈治郎を襲名。2019年、紫綬褒章受章。NHK連続テレビ小説「おちょやん」(2020年)では、「鶴亀」株式会社社長・大山鶴蔵役で出演し、話題に
「錦秋喜劇特別公演」
「錦秋喜劇特別公演」は2023年10月3日(火)~29日(日)、京都南座にて公演。演目は「祇園小唄」「大阪ぎらい物語」。藤山直美、中村鴈治郎、中村扇雀、田村亮ほか。1等席(1万3000円)、2等席(8000円)、3等席(4000円)。2023年9月9日(土)から発売。問い合わせは、チケットホン松竹=TEL:0570(000)489=へ
(2023年8月19日号「大人タノシ」より)
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