足にぴったりの靴選びを

2023年5月12日 

リビング編集部

写真の靴については後半で

気候の良い、お出かけシーズン。ですが、歩いている途中で「足が痛い…」となると、残念な気持ちになりますよね。それは、靴が足に合っていないのかも。そこで足の形別に、靴を選ぶときのポイントなどをプロに教えてもらいました。

撮影/橋本正樹ほか
イラスト/オカモトチアキほか

合わない靴で足に痛みも 重要なのはフィット感

足に合っていない靴を履いていると、足が痛くなることがあります。

「例えば、親指が人さし指に向かって極端に曲がる外反母趾(ぼし)の人は、突き出た親指付け根の関節が靴に強く当たってしまうことがあります。その部分が『痛いから』と、サイズの大きい物や幅が広いタイプを選ぶ方もいますが、逆にそれが足に合っていなくて、良くない場合も多いんです」と教えてくれたのは、京都髙島屋のシューフィッター・海老名絢美さん。足と靴の関係に詳しい、靴選びのプロです。

「大きめの靴を履くと、かえって前滑りしてこすれるなど、痛みが増すことも。ぴったりと足にフィットする靴を選ぶことが大切です」

靴を選ぶ際は、やはり試着が重要だそう。季節によって、むくみなど足の状態や、ソックスの種類も変わるため、サイズだけにとらわれず試し履きすることが理想とか。「足の形や悩みは一人一人違うので、実際に履いた感覚を確かめてほしいです。試すときはその靴に合わせるソックスやストッキングを履き、両足とも試着して歩いてみるようにしてください」

靴を選ぶ際のチェックポイントを、教えてもらいました(下図参照)。

「靴に履きぐせが付くのを防ぐため、日常的に3足を使い回すのがおすすめです。また、足は汗をたくさんかきます。靴の中は湿気がこもりやすいので、メンテナンスとしても良いですね」

自分の足のサイズや形をしっかりと知ることが靴選びの助けにも。そこで、サイズの正しい測り方を解説。つま先の形別におすすめの靴先も紹介します。

サイズの基本的な測り方

足のサイズは、足長(そくちょう)と足囲(そくい)または足幅を基に計測されます。

かかとから一番遠い指先までの長さが足長。足幅は、親指と小指のそれぞれ付け根の関節が出ている部分を直線で結んだ長さ。そして足囲は、その足幅部分を軸に足をぐるっと一周させて測ります。(下図参照)

正しいサイズを知っておくことは大切ですが、注意するポイントも。

「サイズはあくまで数値の目安。同じ足囲でも幅が広い場合もあれば、甲が高い場合もあります。靴の種類やメーカーによってフィット感は異なるので、実際に履いたときの感覚を重視してください」(海老名さん)

また、「重心が均等に足の裏にかかるように真っすぐ立っての計測が望ましいです。自分だけで測るのは難しいので、お店で行うなど自分以外の人に協力してもらった方が正しく測れますよ」。

女性用サイズ表の一部(JIS規格を基に作成)

つま先の形で〝トゥ(靴先)〟を選ぶ

つま先も人それぞれ形が違います(下図参照)。つま先の形別に、おすすめの靴先を教えてもらいました。

「日本人が一番多いのはエジプト型。親指が一番長く、小指に向かって順に短くなる形です。楽なのは靴先が丸いラウンドトゥですが、最近は靴先の長い靴が流行しています。少しだけ先のとがったアーモンドトゥなら、エジプト型にもおすすめです」

ほかにも、人さし指が一番長いギリシャ型、指が一直線に並ぶスクエア型などがあります。

「ギリシャ型は、靴先のとがっているポインテッドトゥ、スクエア型には四角い形のスクエアトゥを。つま先に余分なすき間が生まれることなく履けます」

靴を選ぶときの代表的な悩み別におすすめの靴のタイプを聞きました。

足が疲れやすいけれどヒールを履きたい人

足が疲れやすいのは、かかとがフィットしていないために前滑りすることで、歩くときに力んでしまうのが原因とか。

「まずはぴったりと合った靴を履くこと。体重がかかったときに足裏に痛みを感じるようであれば、靴底にクッション性があるものを選んでください。しっかりと地に付く、安定感のある太めのヒールも疲れにくいタイプの靴。ストラップで前滑りを防止するのも効果的ですね」

(左から)2万2550円/Riz raffinee(リズ ラフィーネ)、2万3100円/卑弥呼(HIMIKO)

足の甲が高い・足幅が広い人

甲が高い人は、甲に強く当たる靴を履くと、うっ血してしまうことがあるといいます。「靴ひもが付いているタイプだと自分の足に合わせて調整できます。靴を履くたびに、靴ひもをきちんと足に合わせて結ぶことも大切。それが大変という方には、ファスナーが付いているタイプがおすすめです」。足幅が広い人には、「歩くときにしっかりと靴がかかとに付いてくるよう、靴の足幅部分が柔軟に曲がるタイプを。足が痛くなりにくく履き心地も良いです」。

(左から)2万2000円/ACHILLES SORBO(アキレス・ソルボ)、2万350円/Riz raffinee(リズ ラフィーネ)

足囲が細い・足幅が狭い人

悩んでいる人が多いという足囲が細い、足幅が狭い人。「足幅が広い人に合う靴はいくつも種類がありますが、足囲が細い、足幅が狭い人向けの靴は意外と少ないんです」。そんな人には、深さがあり、すっぽりと足を包んでくれるようなタイプがおすすめとのこと。「中敷きを敷いたり、ストラップを後付けしたりして調整する手もあります」

(左から)2万4200円、2万900円/いずれもDOROTHY TALE(ドロシー テイル)

〈商品協力/京都髙島屋2階シューワールド(婦人靴売場)〉

教えてくれたのは

京都髙島屋
海老名絢美さん

足と靴と健康協議会認定のシューフィッター。「20年近く靴の販売に携わり、お客さまの靴選びをお手伝いしてきました」

(2023年5月13日号より)