科学の本を通して子どもに〝知る喜び〟を

2023年3月31日 

リビング編集部

長岡京市を中心に、〝科学読み物〟の楽しさを伝える活動をしている市民団体。子どもたちの「科学の目」をはぐくむための取り組みとは。

撮影/児嶋肇

「まつぼっくりは、雨にぬれるとどうなるでしょう。1番『変わらない』、2番『地面に落ちる』、3番『かさが閉じてしまう』。さあ、どれだと思う?」

一冊の本を手に、子どもたちにクイズを出していたのは十倉裕加里さん。〝科学読み物〟を楽しむイベントを企画する市民団体「よもう!たのしもう!かがくの本」の代表です。この日は西京区で行われた「西京区学校図書館ボランティアネットワーク」主催のイベントに同団体が招かれ「まつぼっくり」をテーマに講座を開催。

取材日は子ども15人とその親が参加。クイズには、われ先にと手があがっていました

「2番かな」「3番じゃない?」と相談し合う子どもたち。「正解は3番!」。十倉さんがページをめくって、固く閉じたまつぼっくりの絵を見せると、正解した子どもたちからは歓声が。

読み聞かせのあとはワークの時間。十倉さんとメンバーの小矢野(こやの)さん、田中さんがまつぼっくりを配ります。子どもたちはまずピンセットでかさの間から種を取り出し、種がどのように落ちるかを実験。まつぼっくりの瓶詰めや〝親戚ぼっくり〟(他の針葉樹の球果)の標本づくりも行いました。参加した小学生の姉妹は、「(球果にも)いろんな種類があることが知れておもしろかった。また参加したいです」と目を輝かせていました。

マツに、ヒノキ、スギ、ツガなどの〝親戚ぼっくり〟を加えた6種を空き箱に張り付けて標本を作製
まつぼっくりから取り出した種には薄い羽がついていて、参加者は回転しながら落ちる様子を何度も試していました
テーマに合わせて、針葉樹や木の実などの本も。イベント終了後、子どもたちは思い思いに本を読んでいました

「新幹線」や「鉛筆デッサン」など多彩なテーマで開催

十倉さんは長岡京市立図書館で、読み聞かせのボランティアをしていました。「読み聞かせ、というと物語がほとんど。でも、あるとき自分の子に科学の本を読んであげたら、そのおもしろさに私がはまってしまって。ぜひほかの子どもたちにも、と思ったんです」

同じくボランティアだったメンバーを誘って2021年4月、同団体を結成。前記のような〝本と実体験を組み合わせる〟独自のスタイルを考え、同図書館で年に数回、イベントを開催するようになりました。

右からメンバーの小矢野さん、代表の十倉さん、田中さん。「今後は屋外での体験も交えて開催できれば」

「メンバーは11人。それぞれ得意分野があり、アイデアを出し合っています」。「カイコ」をテーマとした回では、カイコの本を読んでからその幼虫やまゆを実際に観察。そのほかには「うずまき」「新幹線」や、「鉛筆デッサン」「日本の紋」など科学以外のテーマも。

「科学でもアートでも、児童向けの魅力的な本はたくさんあります。でも、ただ読むだけでは子どもたちにおもしろさが伝わりにくいことも。同時に体感することで、内容への理解や興味が一層深まるんです」

子どもと一緒に参加した親にも、そのことを知ってもらって家庭で活用してほしいといいます。

「この活動で子どもたちに知る喜びを感じてもらいたい。科学的な目をはぐくみ、新たな世界の扉を開くきっかけにしてもらえたら」

イベントの詳細や同団体への問い合わせは、LINE (ライン)公式アカウント(LINE ID/@604wbmon)、またはメール=yomotano2021@gmail.com=で。

長岡京市立図書館での開催予定

2023年5月14日(日)
「ダンゴムシ迷路を作ろう!」

赤ちゃんから大人までを対象とした「ミニミニ絵の本ひろば」も同時開催
※参加無料。詳細は、長岡京市立図書館(長岡京市天神4丁目1-1)のホームページで確認を

(2023年4月1日号より)