今週の特集は、「冬に聴きたい曲」。京都で音楽の仕事に携わる4人に、おすすめをピックアップしてもらいました。読者に聞いた「冬といえば…」の曲も紹介しますよ。
名画のサウンドトラックをレコードでじっくりと
jazz spot YAMATOYA(ヤマトヤ) オーナー 熊代忠文さん
京都市左京区の聖護院で52年前にオープン、海外からも多くのジャズファンが訪れる「YAMATOYA」。オーナーの熊代忠文さんがこれまでに集めたレコードは、5000枚以上とか。
「若かったころ12月になるとよく映画『五つの銅貨』『グレン・ミラー物語』が、テレビで放映されていました」と、熊代さんがまずセレクトしたのは、思い出の映画のサントラ盤。「有名な映画ですが、劇中で流れるのが、ジャズの名曲ぞろいで」と。
「ビング・クロスビーの『ホワイト・クリスマス』は、時代を超えて愛されるクリスマスの名盤。デューク・ジョーダンの1枚は、ジャケットが雪景色、目と耳で冬模様を感じてもらえると思います。ジョージ・ウィンストンの『December』は、ジャズというよりは環境音楽のような風情もありますが、ピアノソロもおすすめです」
− Playlist −
- 五つの銅貨 オリジナル・サウンドトラック/ルイ・アームストロング、ダニー・ケイ他
- Flight to Denmark/デューク・ジョーダン
- グレン・ミラー物語 オリジナル・サウンドトラック
- ホワイト・クリスマス/ビング・クロスビー
- December/ジョージ・ウィンストン(ピアノソロ)
Yamatoya
https://jazz-yamatoya.com/
12月を感じるメロディー。包まれるような歌声にも心が温かく
KBS京都ラジオ ラジオ編成制作局 ディレクター 小林秀野さん
小林秀野(ひでの)さんは、「KBS京都ラジオ」で「レコ室からこんにちは」など人気番組を担当しています。歌謡曲からインディーズまで、日本有数のレコード保有数を誇る同局で聞きました。
「吉田美奈子さんの『12月のillumination』は、年末の番組でよくかけています。力強くも透明感のある声とゴスペル調のメロディーが、年の瀬にふさわしい情緒を感じさせてくれる曲」と。小林さんにとって〝冬は12月〟のイメージが強いそう。
「美空ひばりさんの『津軽のふるさと』は、青森の雪景色を思わせる静かな前半から、ジャズアレンジをきかせた後半への盛り上がりが渋くて、カッコイイですよ」
また、小林さんならではのおすすめも。
「京都で活動するインディーズの長谷川健一さん、Colloid(コロイド)はぜひ知ってほしい。ふわりと包むような声色、アコースティックの響きに温かさを感じます」
− Playlist −
- 12月のillumination/吉田美奈子
- 津軽のふるさと/美空ひばり(原信夫とシャープス・アンド・フラッツ)
- 夜明け前/長谷川健一
- 河をのぼる/Colloid
- シューベルトの歌曲集「冬の旅」から「菩提樹」/マティアス・ゲルネ、アルフレート・ブレンデル
kbsラジオ
https://www.kbs-kyoto.co.jp/program/radio.htm
切ない恋や大人の愛も心を動かす楽曲がズラリ
タワーレコード京都店 店長 藤瀬雅文さん
新旧あらゆるジャンルの音源を取り扱う「タワーレコード」。京都店の店長を務める藤瀬雅文さんは「ノラ・ジョーンズの『Wintertime』は、柔らかなピアノの音が印象的。シンプルでリラックスした雰囲気が心地よく、冬に聴くと落ち着きます。そして、ポール・マッカートニーの名曲『Wonderful Christmastime』」と、まずは洋楽をピックアップ。
「『Snow Men』は星野源が作り出すシティーサウンドの魅力が詰まっています。はかない大人の愛を歌う、この季節のムードにぴったり。
大人気のK-POPからは、TWICEを。切ない恋心を表現したミディアムテンポのバラードです。雪をイメージしたミュージックビデオもキュート。チャイコフスキーの一曲は、聴くと頭の中に壮大な冬のシーンが広がります。クラシック初心者にも聴きやすいのでぜひ」
− Playlist −
- Wintertime/ノラ・ジョーンズ
- Doughnut/TWICE
- Wonderful Christmastime/ポール・マッカートニー
- Snow Men/星野源
- チャイコフスキー:交響曲第1番「冬の日の幻想」/ハイティンク指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
タワーレコード
https://tower.jp/store/kinki/Kyoto
寒い日、ほんのり暖かな日、さまざまなシーンが浮かぶ
レコード酒場 ビートル momo 店主 肥田博貴さん
邦楽、洋楽、ロック、歌謡曲など多彩な音楽をお酒とともに楽しめる「レコード酒場 ビートル momo」(京都市中京区)の店主・肥田博貴さんが選んでくれた曲は、冬のワンシーンを連想させます。
「冬はウイスキーがおいしくなる季節。お店でもよくオーダーが入ります。竹内まりやの楽曲は、タイトル、歌詞にウイスキーが出てくるだけでなく、ジャジーで大人っぽい雰囲気がお酒をたしなむ時間にぴったりです。
宇多田ヒカルの『あなた』は、彼女の切ない声やトーン、メロディーに冬の面影を感じます。部屋にこもってじっくり聴いていただきたい一曲。細野晴臣の『僕は一寸』は、冬の少し暖かな日に、ほっとした気分になれます。松任谷由実の『真冬のサーファー』は、メロディーやアレンジがポップで軽やか。冬の情景との対比を楽しんでください」
− Playlist −
- ウイスキーが、お好きでしょ/竹内まりや
- あなた/宇多田ヒカル
- 僕は一寸/細野晴臣
- 真冬のサーファー/松任谷由実
- ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ/ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ
ビートルもも
https://www.instagram.com/beatlemomo_kyoto/
読者592人が選んだ 「冬に聴きたい曲」
リビング読者にもアンケートを実施。592人から、いろいろな曲が寄せられました。読者の思い出とともに上位10曲を紹介します。
- 1位 クリスマス・イブ
(山下達郎/1983年)
JRのCMで鮮烈な印象が! 私の青春(古い?)の1ページでした。ちょうど遠距離恋愛(横浜〜京都)だったので。今の若い子ならLINEやらzoomやらで、遠距離でも寂しくないのかな?(KM、45歳) - 2位 粉雪(レミオロメン/2006年)
高校1年のとき、部活の合宿で丹波へ行きました。そのときは冬で雪が降っていて、先輩方とちょうどはやっていたレミオロメンの粉雪を合唱したのを今でも覚えています(OM、33歳) - 3位 恋人がサンタクロース(松任谷由実/1980年)
結婚前の夫がサンタの衣装でサプライズ訪問してくれました。よい思い出と一緒にこの歌を聞くとあったかい気持ちになります(KA、53歳) - 4位 白い恋人達(桑田佳祐/2001年)
高校生の時、付き合っていた人がカラオケで歌っていた。彼は桑田さんのモノマネをしながら歌うので、冬になると楽しい記憶がよみがえる名曲です(YM、34歳) - 5位 冬がはじまるよ(槇原敬之/1992年)
私は冬が嫌いなのですが、この歌を聴くと嫌いな冬も笑顔でワクワクと迎えられる気がします(AT、51歳) - 6位 雪の華(中島美嘉/2003年)
冬の寒い時に、車でしんみりと聞きたい一曲(KR、32歳) - 7位 ラスト・クリスマス(Wham!/1984年)
冬が来てクリスマスが近づいてくると、コーヒーを飲みながら無性に聞きたくなってくる。メロディーと声に癒やされます。(YT、58歳) - 8位 ロマンスの神様(広瀬香美/1993年)
昔、家族でスキー旅行に行った時、スキー場で何度もかかっていました。幼い子どもと一緒にスキーするのが楽しかったなあ〜(KM、58歳) - 9位 津軽海峡・冬景色(石川さゆり/1977年)
荒れ狂う冬の海の激しさを思い出し、寒さを身に染みて感じられるから(TK、60歳) - 10位 いつかのメリークリスマス(B’z/1992年)
切なく、これを聞いたら、あぁ冬だなぁと思う。毎年かならず聞いてはひたる(KY、45歳)
(2022年12月10日号より)
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