<大人タノシ>Special interview 俳優 渋谷天外さん

2022年12月2日 

リビング編集部

撮影/桂伸也 取材・文/あさかよしこ

2023年1月に京都南座で上演される「初笑い! 松竹新喜劇」。渋谷天外さんは、劇団の原点ともいわれる人情喜劇「裏町の友情」で主演を務めます。

「二代目の、あのシブい芝居を追いかけ そのうえで自己確立していけたら」 

松竹新喜劇の面白さは、市井の人々の人情と笑いと涙。観劇後にじんわりとした温かさが残ります。

「僕は今回、『裏町の友情』にクリーニング店の主人の役で出演します。隣の炭屋とは親の代からいがみ合っている間柄なんですが、実は友情で結ばれているという、心温まる人情喜劇です。丁々発止のやりとりと、ほろりとする共感の涙を楽しんでほしいですね」

1991年、〝新生〟松竹新喜劇の旗揚げに参加。三代目・渋谷天外を襲名して30年になります。
「戦い続けた30年でした。父である二代目・渋谷天外が1ページ目を開いた劇団なら、僕が最後の1ページを閉じるようなことをしてはいけない、そういう気持ちでしたね」

そんな天外さんですが、渋谷天笑と名乗っていたころ、一時休団を試みたことがあるそうです。
「東京で6~7年。傷ついたり、いろいろな出会いを体験したりして、大阪に帰ってきました。
そのときに『うちの劇団、なんていい芝居、なんておもろい芝居をしてるんやろう』と気づいたんです」

以来、劇団の代表として年を重ね、その演技や存在感に重厚さが加わったと評判です。
「今は二代目の、あのシブい芝居を追いかけていきたい。そのうえで、自己確立をしていけたらいいなと」

プライベートでは「たくさんのいい芝居を見て血を騒がせたり、家族と一緒にミニトリップを楽しみたい。近くの温泉に行く、これはおすすめですよ」。

■ profile ■
大阪府出身、68歳。1977年に松竹新喜劇入団。1992年三代目・渋谷天外を襲名。松竹新喜劇の舞台以外にも映画や外部出演など幅広く活躍。NHK連続テレビ小説「スカーレット」「おちょやん」にも出演

「初笑い! 松竹新喜劇
Aプロ『裏町の友情』 Bプロ『流れ星ひとつ』」

大阪での取材会

「初笑い! 松竹新喜劇 Aプロ『裏町の友情』 Bプロ『流れ星ひとつ』」は2023年1月2日(休・月)~9日(祝・月)、京都南座にて公演。出演は、渋谷天外、藤山扇治郎、久本雅美ほか。料金は、Aプロ・Bプロ、各一等席(7000円)、二等席(3000円)、三等席(2000円)。問い合わせは、チケットホン松竹=TEL:0570(000)489=へ。

(2022年12月3日号「大人タノシ」より)