とろ~り、もっちり…食感を楽しむ米粉のレシピ

2022年9月30日 

リビング編集部

古くから和菓子などに用いられてきた米粉。近年は多彩な料理に使えるように進化し、独特の食感が人気を集めています。米粉ならではの特徴や、秋にトライしたいレシピを教えてもらいましたよ。

教えて!
今、米粉が注目されるワケ

まずは米粉がどんなものかを聞きに、「JA京都やましろ」を訪れました。

人気の理由は〝グルテンフリー〟

「近年、小麦に含まれるグルテンによるアレルギーや免疫疾患を発症する人が世界的に増加。そこで、グルテンを含まない米粉が注目されるようになりました。また、技術革新により米粉の用途が増え、料理や菓子作りに幅広く使えるようになったんです」

そう話すのは「JA京都やましろ」の尾松数憲さん。「近畿米粉食品普及推進協議会」の監事でもあります。

「さらに、昨今の世界情勢で小麦の価格が高騰。9割以上を輸入に頼る日本において、代替品として米粉を活用しよう、という気運がいっそう高まっています」といいます。

栄養価や時短のメリットも

「米粉の特徴の一つは栄養面。アミノ酸バランスにすぐれた米の栄養素をそのまま摂取できます。油の吸収率が低く、揚げ物も比較的ヘルシーに仕上がります。

調理においては、油分が少ないのでダマになりにくく、粉をふるう必要がありません。パンを作る場合、小麦粉に比べてパン用米粉なら発酵時間を短くできます」

料理の時短にもなりますね。

「しかし、米粉はまだ割高で、店によっては商品の種類が少ない場合も」と尾松さん。

農業を、生態系を守る

2013年に京都山城産米「ヒノヒカリ」100%の米粉が誕生、JA京都やましろの直売所などで購入が可能に。さらなる普及を目指し、同組合では米粉の料理教室などを開催しています。

「米の消費量が減少し、日本の米作りは危機的状況に。米粉の需要増により、米の生産増や消費量アップが期待できます。それは、水田の豊かな生態系や景観を守ることにもつながるのです」

教えてくれたのは

JA京都やましろ 総合企画部
近畿米粉食品普及推進協議会 監事
博士(農学) 尾松数憲さん

米粉ならではの食感を楽しむレシピ

料理、お菓子、パンとさまざまに活用できる米粉。注目はその食感。米由来のもっちり感だけではなく、ふんわり、とろ~りといった食感が楽しめるそう。「発酵と米粉の料理教室 ライネキッチン」の足立香さんに教わった、4種のレシピを紹介します。

サクッと

油淋鶏
(ユーリンチー)

「油を吸いにくい米粉で中華の人気メニューもサクッとヘルシーに。時間がたつと食感が損なわれるので揚げたてを味わって。揚げ物なら米粉の初心者には違いが分かりやすい天ぷらもおすすめです」

■材料 4人分

  • 鶏モモ肉…2枚
  • 白ネギ…30cm
  • 米粉(料理用)…大さじ6
  • ショウガ(すりおろし)…2かけ
  • ニンニク(すりおろし)…1~2かけ
  • 塩こうじ…大さじ2
  • みりん…大さじ6
  • 〈A〉しょうゆ…大さじ1、黒酢…大さじ1、ショウガ(すりおろし)…1かけ、ごま油…小さじ1

【作り方】

  1. みりんを一度沸騰させ、アルコール分を飛ばして煮切りみりんを作る
  2. 塩こうじ(なければしょうゆと煮切りみりん各大さじ2)、ショウガ、ニンニクで鶏肉に下味をつけて冷蔵庫で約15〜30分おく
  3. 揚げる30分前には鶏肉を冷蔵庫から出し常温に戻す
  4. 米粉をバットに入れ、❸にまんべんなくまぶす
  5. 鶏肉が半分漬かる程度に鍋に油を入れ、180℃で揚げ焼きにする(皮目5分、裏返して4、5分)
  6. みじん切りした白ネギとA、❶大さじ2を混ぜ合わせ❺にかける
もっちり

シラスとニラのチヂミ

「米由来のモチモチ食感がおいしいチヂミ。今回は旬のシラスを入れました。粉物なら米粉のお好み焼きやピザもいいですよ。焼いた表面はカリッと、中はもっちり、が楽しめます」

■材料 4人(2枚)分

  • 〈A〉しらす…60g、ニラ…60g、エノキ…60g、桜エビ…4g
  • 米粉(料理用)…120g
  • かつおだし〈顆粒(かりゅう)だしでも可)〉…100cc
  • 薄口しょうゆ…小さじ2
  • みりん…小さじ2
  • ごま油…適量

【作り方】

  1. 米粉にかつおだし、しょうゆ、みりんを入れて混ぜる
  2. ❶にAを加え混ぜ合わせる
  3. フライパンにごま油を引く。❷の半量を平らに延ばして、フライ返しで押さえつつ焼き色がつくまで中火で両面を焼く

※お好みで糸切りとうがらし(分量外)をのせて
※酢・しょうゆ・コチュジャン・ハチミツ・いりごまを各小さじ2ずつ混ぜ合わせてタレを作っても

とろ〜り

秋鮭とキノコの
豆乳クリームシチュー

「秋鮭(ざけ)とキノコを使った秋定番のシチューも、米粉ならよりやさしいとろみになります。グラタンやカレールーのほか、片栗粉の代わりに八宝菜などのとろみ付けにも使えますよ」

■材料 4人分

  • 秋鮭…2切れ
  • キノコ(シメジ・マイタケ・エノキなど)…1パック分
  • タマネギ…1/2個
  • ホウレンソウ…3束
  • 米粉(料理用)…大さじ3
  • 塩こうじ…大さじ1
  • 薄口しょうゆ…大さじ1
  • みりん…大さじ1/2
  • 豆乳…300cc
  • [だし汁]昆布(10cm)・乾燥シイタケ1個を500ccの水に1晩つけておく

【作り方】

  1. サケは食べやすい大きさに切り、塩こうじ(なければ塩ひとつまみと酒大さじ1)をまぶして15分ほどおく
  2. ホウレンソウは湯通しして5cmほどに切る
  3. 薄切りにしたタマネギとキノコを鍋に入れ、大さじ3の水とひとつまみの塩を加えてふたをし、タマネギが透明になるまで蒸す
  4. サケの余分な水分を拭き、❸に加えてさらに蒸す
  5. ❹にだし汁200cc、薄口しょうゆ、みりんを入れる
  6. 豆乳に米粉を溶かして❺に加え、沸騰しないよう弱火でとろみがつくまで煮る
  7. ❷を加える
ふんわり

さつまいものマフィン

「ダマにならないので粉をふるう必要がなく、お菓子やパン作りに便利な米粉。小麦粉と遜色なくふんわり仕上がります。マフィンは蒸したサツマイモの自然な甘みが広がります」

■材料 3〜4個分

  • サツマイモ…100g
  • 卵…1個
  • 米粉(お菓子用)…80g
  • てん菜糖(または砂糖)…40g
  • 無塩バター…20g
  • ヨーグルト(または豆乳、牛乳)…大さじ2
  • 米油(または菜種油やサラダ油)…20g
  • ベーキングパウダー…小さじ1
  • 黒ゴマ…少々

【作り方】

  1. 米粉とベーキングパウダーを混ぜ合わせる
  2. サツマイモは1cm角に切る。水大さじ3・塩ひとつまみとともに鍋に入れて弱火で軟らかくなるまで蒸す
  3. ❷からトッピング分を取り分け、残りはバターを混ぜながらつぶす
  4. ❸に卵・てん菜糖を加えて泡だて器で混ぜ、さらにヨーグルト、米油を順に加えて混ぜる
  5. ❹に❶を加えて混ぜ、マフィンカップや型に生地を入れる。❸で取り分けておいたサツマイモをのせ、黒ゴマを振りかけ180℃のオーブンで20分焼く(型が小さい場合は15~18分)

米粉は料理用、お菓子用、
パン用とあるので、用途別に購入を

教えてくれたのは

発酵と米粉の料理教室
Raine Kitchen(ライネ キッチン)
伏見区深草宝塔寺山町9-1
足立香さん

(2022年10月1日号より)