環境を変えて働く読者の座談会

2022年9月22日 

リビング編集部

(左から)斉藤さん、磯谷さん、上田さん、鶴田さん。この1~2年で働く環境を変えた読者が集まってくれました

「リビング京都」では、新時代の〝働く〟を考えるシリーズを展開中。今回はパートから正社員になったり、起業したりと、この1~2年で働く環境を変えた読者に集まってもらい、座談会を開きました。参加者は磯谷弥咲さん、上田妙子さん、斉藤理絵さん、鶴田加津美さんの4人です。

※発言者名は敬称略 ※撮影時のみマスクを外しています
撮影/桂伸也

55歳で介護福祉士の専門学校へ

―鶴田さんは調理師免許を取り10年間飲食店で働いた後、介護福祉士に転身されたんですよね。

鶴田 独身時代も、結婚・出産後もいろいろな仕事をしました。営業、経理、大学の学食…。45歳から飲食店に勤務しましたが、忙しかったせいか糖尿病に。1日4回インスリン注射を打たなくてはならず、こちらの仕事は続けられなくなりました。

―介護福祉士になろうと思ったきっかけは?

鶴田 ハローワークで介護福祉士の専門学校を紹介されたんです。挑戦するなら今しかないと思いました。周りは18~19歳の子ばかりでしたが、練習に付き合ってくれたりしてありがたかったですね。2年間通って資格を取り、57歳で実習先に就職。インスリンは続けながら、夜勤はNGと医師から言われているのでパートで勤務しています。最初は20~30代の人と同じようには仕事ができず、とても落ち込んだんですよ。でも同僚に「〝初めて〟に年は関係ないから一緒に頑張りましょう」と励まされ、楽しく働けるように。

斉藤 若い人と一緒に働くと元気がもらえますよね。

鶴田 介護の仕事が自分にできるか不安はありましたが、周囲に助けられ、今は65歳まではこの職場で働き続けたいと思っています。

子どもが入学・入園 6年ぶりに仕事を再開

上田 子どもが小さいと職場に迷惑がかかることがあるからと、出産後はずっと専業主婦でした。入学・入園を機に、3・5時間くらいなら働けると思い、職探しをスタート。希望する時間帯での仕事はなかなかなく苦戦しましたが、美術館での案内係や巡視役の求人を見つけて応募、採用してもらいました。

―仕事は6年ぶりとのこと。緊張しましたか?

上田 はい。特に職場の人間関係には気を使いましたね。子育てのことを相談するなど、職場の人とたくさんコミュニケーションを取りました。いろんな方と出会い、人が好き、人と会話をしたいとあらためて感じています。

鶴田 私も家にいると会話の相手が夫か犬かに(笑)。人としゃべれるのは大きいですよね。

磯谷 1人で過ごしていると暗くなりがち。コロナ禍で4人目を出産するため入院したとき、1人の時間が長くてしんどかったです。

上田 ただ、やはり時間面は大変。お弁当を作るためには朝5時半に起きなきゃ、洗濯物はいつ干そう…とか。子どもの送り迎えなどは夫にも頼っていますが、主婦の仕事をないがしろにして働くのは自分の中で違うと思うので。バリバリ働くのは子どもが大きくなってからですね。

きっかけは夫の病気 パート勤務から正社員に

―斉藤さんが働く環境を変えたきっかけは、夫が脳梗塞で倒れたことだったとか。

斉藤 夫は2カ月間入院。日常生活は送れるもののまだ会社には行けないので、私がパートではなく正社員で働くしかないなと。転職も考えましたが、勤務先の雑貨店の社長に相談し、正社員にしていただけることになりました。夫の病院や子どもの学校行事の都合により、シフトを考慮してもらうこともあります。でも、やはりフルタイムはしんどいですね。帰れば家事も山積み。毎晩息も絶え絶えです(笑)。

磯谷 分かります…。

斉藤 とはいえ、当初は自分の時間なんてないと思っていたんですけど、心持ち次第で調整できるなと気付きました。家事をしたことがなかった夫が洗い物をしてくれたり、子どもも洗濯物を畳んだりするように。これまでも言えばよかったのかな、というのは新しい発見でした。

磯谷 仕事終わりに忙しくてイライラしてると、うちも長女が下の子の面倒を見たり、長男がご飯の手伝いをしてくれるんです。

斉藤 成長を感じてうれしいですよね。しんどいことばかりじゃないなと思えます。

子どもとの時間も大切に 夢をかなえて起業

磯谷 パート勤務のときは時間に縛られ、何をするのも子どもをせかしてばかりでイライラ。そんな自分が嫌でした。ミシンで物を作るのが好きだったので、これを仕事にできたらと思い起業。始めたばかりなので、まだまだこれからです。

上田 私も子どもが使う物をミシンで作るのが大好き。いつか磯谷さんみたいな仕事をしたいという夢があるので、実現されていてすごいなと思います。

磯谷 夫が「最初はマイナスでもいいからやってみたら?」と言ってくれたのが大きかったですね。忙しかったり、ミシンが苦手な親御さんも、本当は手作りのレッスンバッグを子どもに持たせたいはず。そんな人の力になりたくて、生地は親子で選べるオーダーメイドで製作をしています。

斉藤 作るのは当たり前と思われがちだけれど、苦手な人にはつらいですものね…。

鶴田 私も料理が好きだからお店を出したいという気持ちはあるんですが、コロナ禍もあって夢の途上という感じです。

磯谷 家で好きな仕事をし、自分でスケジュールを調整して子どもとの時間をつくれている今は幸せです。実はまだ夢があって。この先ボランティア団体を立ち上げて地域の清掃や高齢者の見回りができたらなと思っています。もっと時間の使い方を勉強しなきゃ!

人生経験を力に、新しい仕事も楽しく

斉藤 〝女性の社会進出〟とよくいわれるけれど、いざ働くとなると線があって、そこから一歩出るのは大変。子育てをしながら働く人をフォローする制度や就業規則が充実すればと思います。私は主婦って仕事だと考えていて。主婦としてやってきた人は、細かいことに気付けていい仕事をする人だと思うんです。

上田 主婦の経験から知らないうちに力がついていそう。私も久しぶりの仕事で緊張する一方で、ある程度のことは対応できるだろうという気持ちでした。子育てでアクシデントをたくさん乗り越えているので…。

鶴田 新しいことって新鮮で楽しい。介護という初めての仕事ができるかな?と不安でしたが、『学校に行ってみたい』との思いを大事にやってみてよかったです。

磯谷 楽しむって大切ですよね。トラブルがあってもどうにかしようと力が湧いてきます。子育ても仕事も楽しんでいれば、周りにもそれが伝わって雰囲気もよくなる。いい循環になると思います。

「今回の座談会での出会いもうれしい!」と話す皆さん

4人からのメッセージ

磯谷さん「失敗は成功のための練習と捉えてみては。うまくいかなかったら次はどうしたらいいか考える。それを繰り返せば、そのうち失敗はただの経験になると思います。〝今〟が一番若いので、思い立ったときがそのタイミングです!」

斉藤さん「自信があって新しいことを始める人は少ないはず。周りの人だってしんどいながらも挑戦しているかもしれません。年を重ねると〝とりあえずやってみる〟のが怖くなるけれど、『主婦だし』『ブランクがあるし』とブレーキをかけるのはもったいない!」

上田さん「若いアルバイトさんを店長として育てていたとき、全く接客できなかった子が数年でとても成長したんです。人は変われるということを目の当たりにしました。自信はなくてもきっと周りは支えてくれるし、新しい出会いもありますよ」

鶴田さん「やりたいことがあるなら、失敗してもいいから挑戦してみて。やれる環境をつくるのは自分。私が資格の学校に行ったのもそうですが、いくつになっても『やってみたらできる』という気持ちを持つことは大事だと思います」

「リビング京都」では、新時代の〝働く〟を考えるシリーズを展開していきます。シリーズ記事を読んだ感想や、今後「新時代の〝働く〟シリーズ」で取り上げてほしい内容などをお寄せください。

(2022年9月24日号より)