クレジットカードに電子マネー、スマホ決済……。昨今のキャッシュレス化は消費者の生活にさまざまな変化をもたらしたよう。リビング読者はどう感じているのか調べました。
※4月1日〜5日にリビング読者にアンケート。有効回答数1303。本文( )内は読者のイニシャル
イラスト/かわすみみわこ
消費者還元事業が支払い方の転換点に
昨年10月から今年6月末まで実施された「キャッシュレス・消費者還元事業」。キャッシュレス決済をするとポイントが還元される、ということで記者もスマホ決済アプリを使うように。リビング読者のみなさんはどうなのでしょう。
4月にアンケートを取ったところ、支払いは「キャッシュレスが中心で時々現金」という人が還元事業以前に比べ約1.7倍に増加。「ほとんどキャッシュレス」も約2.4倍に。現金派は大幅に減少しました。
長い間使われてきた硬貨・紙幣に並んで、クレジットカードやスマートフォンが支払いのツールに。この9カ月間は大きなターニングポイントになったと言えそうです。
一番利用するツールはクレジットカード
最も利用しているキャッシュレス決済の種類を尋ねると、「クレジットカード」が最多で63.6%(左図参照)。続いてスマホ決済、電子マネー、デビットカードという結果に。
スマホ決済については、若い層ほど積極的に使っていることがわかりました。高齢世代は「アプリの設定が難しい」「そもそもスマートフォンを持っていない」などの理由で、まだ浸透度は低いよう。
電子マネーは、「ICOCA(イコカ)」や「WAON(ワオン)」など交通系・流通系のもの、よく行くスーパーが独自発行しているものなどを使っているという人が目立ちました。
使っている決済アプリは?
さまざまなスマホ決済アプリがある中で、利用者が最も多かったのは「PayPay(ペイペイ)」でした。運営会社が京都市と連携してキャッシュレス化推進を行っていることもあり、多くの店舗で使用できたのも一因かもしれません。アプリは、ポイント還元率の高さのほか使用しているスマートフォンのキャリアと合わせて、よく行くコンビニのものなどで選んでいるよう。複数のアプリを使い分けている人も多数いました。
使用しているスマホ決済アプリ
- PayPay(470人)
- d払い(156人)
- メルペイ(146人)
- LINE Pay(143人)
- 楽天ペイ(133人)
- au PAY(103人)
そのほか「ゆうちょPay」「ファミペイ」「Amazon Pay」など ※複数回答
キャッシュレスで生活はどう変わった?
支払いはスムーズに、感染対策にも
「仕事帰りにATMに行かなくても買い物ができ、家でゆっくり過ごせるように」(OIさん)、「支払いがスムーズになり、レジであわてなくなった」(FTさん)や、「子どもを抱っこしている時も、スマホ決済なら財布を出さなくていいのでラク」(MSさん)など、現金を携帯する必要がなくなったことで、買い物や支払いは以前より便利になったという声が。
「ポイント還元が行われる店で買い物をするようになった」(YKさん)のように、キャッシュレスOKか否かが店選びの基準になった人も。
そのほか、「家計簿アプリと連携させて、スマホで家計管理ができるようになった」(UMさん)、「月末に支払いの集計が表示されるので家計簿代わりに。無駄遣い防止になる」(KYさん)のように、家計管理のうれしい変化も挙がりました。
また、「コロナ禍の中、現金を触らなくていいのは助かる」(MYさん)のように、還元事業の想定外の効用も。
思わぬ〝困った〟も?
キャッシュレス化で利便性やメリットを感じている読者が多い一方、「いくら使っているかの感覚がなくなり、請求書が届いて驚くことがある」(FKさん)、「現金を気にしなくていいのでつい買ってしまう」(OKさん)など、支払いがスムーズであるがゆえ使い過ぎるという人も。
また、支払い方法が増えたことで、「家計簿の管理が難しくなった」(NMさん)という意見や、「スマホ決済は情報漏えい、電池切れ、機器の不具合などが不安」(KEさん)といった心配も出てきたよう。
「病院や役所など、キャッシュレス不可のところがあり不便」(HMさん)、「現金のみの店でお金がなくて困った」(YKさん)のように、店や場所によりキャッシュレス化の進みにバラつきがあることへの不満も生じているようです。
お金のプロに聞く キャッシュレスと上手に付き合うコツ
「買い過ぎの防止には、事前にチャージしておく前払い(プリペイド)式や、即時払い(リアルタイムペイ)式のキャッシュレス決済がおすすめ。入金額や残高の範囲内でしか使用できないため無駄遣いが防げます。
一方、期日にまとめて口座から引き落とされる後払い(ポストペイ)式は、使用金額の制限がないためつい使い過ぎてしまうことも」
そう話すのは、ファイナンシャルプランナーの岡田教子さんです。
使い過ぎを控えたい人は、チャージ式が多い電子マネーや即時払いのデビットカード、スマホ決済アプリも前払いのものを選ぶといいのですね。
「決済アプリやクレジットカードはオンライン上で支払い履歴を確認できるので、定期的にチェックを」
決済アプリのセキュリティーへの懸念については、「複数段階の認証を設定できる、24時間の電話サポートがあるなど各社で異なります。不正利用があったときの補償内容、金額もさまざま。事前に確認し、納得できるものを選びましょう。スマホの2重パスワードの設定も忘れずに」とアドバイス。
「無記名式の電子マネーは、現金と同じで紛失時に補償されないので注意が必要」とも。
また、岡田さんはスマホケースに少額の紙幣を常備しているそう。「機械トラブルなどで現金しか使えないときのお守りですね」
今後の社会はどう変化する?
将来的には80%のキャッシュレス化を目指している日本。
「今後ますますキャッシュレス対応の店舗は広まる傾向に。多種ある決済アプリは絞られ、消費者にとって使いやすくなると考えられます。ポイントやキャンペーンに振り回されず、自分のライフスタイルに合った決済方法をきちんと選ぶことが大切ですね」
【教えてくれたのは】
ファイナンシャルプランナー
岡田教子さん
(2020年8月29日号より)
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