手話や筆談なども使って交流を楽しむ「ぷくカフェ」

2022年4月15日 

リビング編集部

伏見のとあるお店で行われているお茶会。普通の会話はもちろん、手話や筆談などで話に花が咲いています。

撮影/桂伸也ほか


伏見区役所の近くにある一軒のカフェ。扉を開けると、真っ白な看板猫が出迎えてくれました。

「この〝ぷくちゃん〟と、お店のフレンドリーな雰囲気がみんなを和ませてくれるんです」

そう話すのは小池育子さん。こちらの一角を借りて、誰もが気軽に集える居場所、「ぷくカフェ」を毎月1回開催しています。

同会を主催する小池さん。名前の由来となった看板猫〝ぷくちゃん〟と

障がい者やその支援に携わる人、高齢者など多彩な面々が集まる同会。訪れた日は、視聴覚に障がいのある人を中心に約10人が来店していました。談笑する風景の中では、相手に合わせて手話や口話(相手の口の形を読み取る)、スマートフォンの筆談用アプリを使う様子も。会の中心メンバーであり、聴覚障がいのある森井香也子さんが手話をレクチャーするシーンもありました。

お茶会運営の中心となる森井さん(写真右)が手話をレクチャー。口元が見えるように透明のマスクを着用しているそう
筆記具やスマートフォンの筆談用アプリも活用し、会話が行われていました

笑顔で手話をまねていた女性は、今回が2度目の参加だそう。「手話に興味があったので参加してみました。いろいろな形でコミュニケーションができるし、世界が広がった気がします」と話してくれました。

会費は無料で、参加者は自身の飲食代のみ支払います。小池さんによると、内容は毎回決まっていないのだとか。「みんな来たいときに来て、好きなようにおしゃべりを楽しんでいます。互いの違いを踏まえながら、どうコミュニケーションを取るかを学び合う場なんですよ」

カフェの一角で自由におしゃべりするメンバー。店に置いてあるビリヤードをしたりピアノを弾いたり、自由に過ごすのだそう

講演会のほか新たな活動目標も

伏見で生まれ育った小池さん。地域の役に立ちたいとボランティアコーディネーターの資格を取り、母校である小学校の支援員など25年来さまざまなボランティア活動に携わってきました。そんな中で、障がいの有無や年齢、状況の垣根を越えて集える居場所づくりの必要性を実感。4年前から同会の活動を始めたそう。

お茶会のほかに、知識を深める場として講師を招き講演会を行うことも。その運営はママ友でメンバーの米田恵子さん、久留宮共樹(くるみやともき)さんが中心です。取材当日も、伏見区身体障害者団体連合会と協力して、全盲の弁護士による講演会を伏見区役所にて開催していました。約50人が聴講に訪れ、後日オンライン配信も行われたそうです。

同日に行われた講演会のテーマは「共生社会について」。講師の話はスクリーンに同時に流され、手話通訳者もスタンバイ

同連合会会長で、視覚に障がいのある中田壽子さんも「ぷくカフェ」に顔を出す一人。「普段困ったときに気軽に相談できる、助け合える関係づくりがここでは生まれています」といいます。

「社会状況により、集まりにくい時期もありましたが、今後は音楽会や映像鑑賞会なども行いたいですね」と小池さん。

同会は誰でも参加可能。「回によって言語聴覚士や家族の介護の息抜きに来る高齢の方など、いろんな人が訪れます。ここは誰もが主役のフラットな場。その雰囲気を楽しんでみてください」

会の活動や今後の開催予定は、フェイスブック=https://bit.ly/35oCtok=へ。問い合わせは小池さん=TEL:090(4277)8504=まで。

ぷくcafé(カフェ)

日時/毎月第4木曜日 午後6時30分〜
場所/「カフェ マンヘイ」(伏見区鷹匠町34)

※予約不要。開催日は変更になる場合あり。フェイスブックで確認を

(2022年4月16日号より)