伏見区の納屋町商店街で、毎月1回開かれている「食育マルシェ」。伏見区産の新鮮な野菜が並ぶと聞き、訪れてみました。
撮影/桂伸也
伏見区の「納屋町商店街」の中ほどにある、「食育キッチンISHIGURO」。毎月第3土曜日に、こちらの店舗を借りて開かれているのが「食育マルシェ」です。
取材した8月下旬、店先にはナスにシシトウ、ゴーヤーなど夏野菜がずらり。「伏見区産の野菜ですよ」という元気な呼び声に足を止める人も。
主催するのは地元農家の女性グループ「伏見農家の台所」。「伏見のおいしい野菜をもっと知ってもらいたい、もっと食べてもらいたいという気持ちで始めました」とは、代表の樹下ちえ子さん。農家に嫁ぎ、自らも畑を耕す毎日です。「食育マルシェ」では、樹下さんのほか3~5人のメンバーが自分の畑で採れた野菜や米、それらの加工品を持ちより販売。毎回20~30種類ほどが店頭・店内に並ぶのだとか。ほとんどが100円と手に取りやすい価格です。
「京唐菜(きょうとうな)って、どう使うの?」というお客さんに、「炒めてからみりん、だしとしょうゆで味を付けて。ジャコもいれるとおいしいですよ」など、調理法もさまざまに提案。常連だという女性は、「めずらしい野菜もたくさんあるし、いろいろ教えてくれるからいいわ」と話してくれました。
料理教室や〝伏見定食〟の提案も
「ただ野菜を売るだけではありません。調理法や、この季節に食べるとなぜいいのかなど、農家さんとコミュニケーションを取りながら知ることができる。それが〝食育マルシェ〟です」。そう話すのは、同事務局スタッフの藤掛(ふじかけ)進さん。樹下さんらの理念に賛同し、この活動を支えています。
藤掛さんによると、「伏見は京都市の中で最も農業が盛んな地域。でも、地元でもそれを知らない人も多いのです。お酒だけではなく、食でも伏見を盛り上げたいと考えています」
同グループではこの「食育マルシェ」に加え、地元の野菜を使った料理教室も構想中。また、伝統の川魚料理を取り入れた「伏見定食」を考案し、地域ならではの食文化の継承も目指します。
「宇治川、桂川、巨椋(おぐら)池などが身近だった伏見では、一昔前までアユやコイ、フナなどの川魚を日常的に食べていました。地元産の野菜と川魚を使った〝伏見定食〟が伏見の飲食店で食べられれば、観光客へのPRはもちろん、区民にもより地元愛を抱いてもらえるのでは」
そのほか、サツマイモの収穫体験など農業の現場に親しんでもらう活動計画も。
樹下さんは、「農業・食を通じて、地域と人のかけ橋になれればと思っています」。
(2021年9月4日号より)
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