支援や配慮を必要とする人のためのマーク

2020年2月7日 

リビング編集部

車いすのイラストが描かれたマークが、建物やトイレなどに貼られているのを見たことはありませんか。誰もが気持ちよく暮らせるようにとの思いから、さまざまなマークが行政や団体によって作成されています。今回紹介するのは、その一部。あなたはその意味、知っていますか。

イラスト/オカモトチアキ

誤解をとくために生まれたマークも

こちらで紹介している二つのマーク。「見たことはあるが、意味は分からない」「あることも知らない。気が付いていなかった」という人もいるのでは。これらは、配慮や援助を必要とする人のためのマークです。

多くは障がいや、さまざまな事情への誤解を解き、理解を促すために考えられたマーク。まずは、どんなものがあるのか知ることから始めてみませんか。マークを見かけたときにどのように行動すれば良いのかも含めて、各関係団体に話を聞きました。

ヘルプマーク

このマークの対象者は幅広く、義足や人工関節を使う人、妊娠初期の人、内部障がいや精神障がいのある人など。主に外見からは分からない病気や症状を抱える人が携帯します。一見しただけでは健常者と思われるので、「若いのに優先座席に座っている」などと非難されないように、東京都が考案しました。事情を詳しく知られたくない人も使いやすく、配慮や援助が必要なことを示せます。現在では41都道府県で採用。京都府では各市町村などの窓口で無料で本人・代理人に手渡されます。裏面には周囲の人に〝お願いしたい〟対応なども書けます。

バスや電車内でこのマークを持つ人がいたら 「立ち続けるのがしんどい人、時間帯で体調に波がある人など事情はそれぞれ異なります。まずは『席を代わりましょうか』と声を掛けていただければ」と、京都府健康福祉部障害者支援課の担当者。

「『お困りのことはないですか』などと、その場でできる援助を尋ねてもらうのも良いと思います」

子ども車いすマーク

心身障がい児などが利用する〝子ども車いす(福祉バギー・小児用介助型車いす)〟は、それぞれの体や特性に合わせたもの。ベビーカーと誤認されないように、このマークが作られました。昇降リフトなど車いすが受けられるサービスを拒否されたり、「大きな子どもをベビーカーに乗せるなんて非常識」と言われたり。心苦しい思いをする保護者が多くいるといいます。

子ども車いすの認知度を高め、子どもも保護者ものびのびと出かけられるように、福祉用品の販売などを行う「mina family」がマークを作成。代表自身も、子ども車いすを利用する子どもの母親です。

「小さな段差を越えるのにも力がいるので手伝っていただいたり、エレベーターでは扉の開閉を補助してもらえると助かります。トイレのオムツ交換台も乳幼児でない子どもには小さいので、施設では救護室のベッドが一時利用できるなど理解があれば」と代表。

データはホームページ上で無償で公開されています。

正しい意味を知っていますか

これらのマーク、どんな意味か正しく説明できますか。

車いす利用者に限定されません

障害者のための国際シンボルマーク

障がいのある人が利用できる施設だと示している、世界共通のマークです。車いすの利用者だけではなく、障がいを持つ全ての人のために制定されました。

「最近は、駐車場の障がい者優先(専用)スペースでのマークの利用も増えてきました」と日本障害者リハビリテーション協会。建物に近く、駐車幅が広いところに設ける配慮がなされています。利用すべき人が利用できるように、駐車の際は気を付けたいですね。

大切なパートナーに理解を

ほじょ犬マーク

障がいのある人の生活を助ける盲導犬、介助犬、聴導犬のことを、身体障害者補助犬(補助犬)といいます。補助犬は社会マナーを訓練され衛生面も管理されていますが、施設などに同伴を拒否されるケースもあるとか。飲食店や寺社、医療機関など、施設は補助犬の受け入れを法律で義務付けられています。そうした法律や補助犬のことをより知ってもらうためのマークが、施設などに掲示されています。

ハーネスや服を着た補助犬は仕事中。触ったり食べ物を与えたり気を引く行為はせず、見守りましょう。「補助犬がいるため人の援助が不要というわけではないので、困っている様子であれば声をかけて手助けを」と京都府健康福祉部障害者支援課の担当者。

聴くためではなく守るため

聴覚過敏保護用シンボルマーク

日常生活上の音が苦痛に感じられるなど、音への過敏症状がある人のためにイヤーマフやヘッドホンといった保護具があります。音から身を守るための道具ですが、音楽を聴いていると思われやすいよう。マーク誕生のきっかけも、「小さい子どもにヘッドホンで音楽を聴かせている」と誤解した人に注意された、保護者の声でした。無用な誤解をなくしたいと、銘板やステッカーを製作する会社「石井マーク」が、保護具などに貼れるマークを考案したのです。

「聴覚過敏、保護具への理解がマークで伝わり、誰かの役に立てれば」と同社社長。データはインターネット上で無料公開。問い合わせ不要で自由に利用が可能です。

運転時もやさしい気持ちで

身体障害者標識(身体障害者マーク)

体が不自由なため運転免許に義足の使用など条件のある人が、運転する車に表示するマークです。表示は努力義務。

運転者に体の不自由が運転に及ぼす影響について自覚してもらうとともに、周囲の運転者には注意を喚起し、体の不自由な運転者を保護するために制定されました。周囲の運転者は危険防止のためやむを得ない場合を除き、マークを表示した車に対し幅寄せや割り込みをした場合には、道路交通法違反になります。(京都府警察交通企画課)

対応トイレも増えています

オストメイトマーク

人工肛門・人工ぼうこうを持つ人〝オストメイト〟のシンボルマーク。オストメイトの人はストーマ装具と呼ばれる装具を排せつ処理のために装着します。このマークの掲示があるトイレには、装具の洗浄・交換に必要な流し台、腹部を写す鏡など、対応設備があります。

「オストメイトは外見からは分からないため、障がいがないのに身障者用トイレを使っていると誤解されることも。オストメイトの存在についてまず知って理解してほしいです」(日本オストミー協会 京都府支部)

会話の方法に工夫を

耳マーク

耳が不自由なことを示すと同時に、そうした人へのサポートが可能であることを表すマーク。聞こえに不安を持つ人の生活上での困難や不便を解消し、社会参加を後押しするために制定されました。

「筆談する、手話を使う、口元を見せてゆっくり・はっきり話す、マスクを外す、近付いて手で合図をするなど、コミュニケーションの方法に配慮してもらえると助かります」と全日本難聴者・中途失聴者団体連合会。

京都おもいやり駐車場

ステッカーが目印になっている「京都おもいやり駐車場」
京都おもいやり駐車場利用証

2011年9月に京都府に導入された「京都おもいやり駐車場利用証制度」。身体障がい者や高齢者など歩行が困難な人に、駐車場の障がい者優先スペースを利用してもらいやすくする制度です。

対象者は申請して認可されると、京都おもいやり駐車場利用証が交付されます。これを車内に掲示しておくと、周囲にも対象者であることを理解してもらえますね。通常は緑色ですが、妊産婦やけが人など一時的に歩行が困難な人にはオレンジ色の利用証が交付されます。

民間の施設や店舗も、「京都おもいやり駐車場」の協力施設として登録が可能。協力施設には、交付されたステッカーなどが貼られています。府内でも徐々に登録数は増えているそう。

同利用証の申請は、京都府府民総合案内・相談センター、各保健所の窓口か郵送にて手続きを。申請書は各窓口、京都府ホームページから入手できます。(京都府健康福祉部 地域福祉推進課)

ハート・プラスマーク

心臓や腎臓などに障がいがある内部障がい者・内臓疾患者を示し、理解と協力を広めるために作られました。「内部障がい者の事情は千差万別なので、つらそうな人を見かけたら『何かできることはありますか』と声をかけてもらえるとうれしいです」と内部障がい者・内臓疾患者の暮らしを考えるハート・プラスの会の代表が話してくれました。

(2020年2月8日号より)