人通りが少なくなった商店街を〝本〟を通じて活性化しようと、学生たちが活動を続けています。
撮影/桂伸也ほか
200メートル弱続く「淀本町商店街」のちょうど中ごろ、美容・ブティックのお店に置かれた小さな本棚。15冊ほどの本は売り物ではなく、貸し出しを行う〝ミニ図書館〟なのです。ほかにもクリーニング店や接骨院など同商店街の7店舗に本が置かれていて、客はもちろん誰でも気軽に訪れて借りられるのだそう。
これは、龍谷大学政策学部准教授・井上芳恵さんのゼミによる商店街の〝図書館化プロジェクト”の活動で、2018年から行っているもの。地域と連携し、その活性化を目的としています。
2011年、京阪「淀」駅の高架化が完成し、商店街すぐそばにあった改札口は約300m離れたところに移動。それから淀本町商店街の人通りは激減しており、いかに人の流れを呼び込むかが課題となっていました。
「もともと淀エリアには図書館がなく、数年前には淀本町商店街にあった唯一の書店も閉店。地元住民へのヒアリングから本へのニーズがあることがわかり、当時のゼミ生たちが主体となってこの計画を始めました」と井上さん。
月に1度、「ふれあいライブラリー」として商店街の空き店舗を借りてイベントを実施。寄付によって集めた本を貸し出すほか、主に子どもたちを対象にしおり作りなどの工作教室やゲームを行いました。クリスマスには参加者と飾りを作り、各店舗に飾り付けにいったことも。2019年からはもっと日常的に地域と商店街のつながりを作れればと、各店に本棚を設置して、無料で本を貸し出すことを商店街に提案。賛同する店舗には本のジャンルの希望を聞き、15〜30冊ほどを置くようになりました。
利用者が広がるよう今後に期待
前出の美容・ブティック「サロン ド マツヤ」の店主であり、淀本町商店街振興組合理事長の杉原浩さんに話を聞くと、「店主たちも高齢化してきており、独自でできる対策はわずか。学生たちが手伝ってくれるならと、一緒にこのプロジェクトを行うことにしたんです」とのこと。
昨年は緊急事態宣言などの影響で人出がさらに減少し、本の貸出数はまだ少ないそう。「ふれあいライブラリー」の開催も年数回のみに。そんな中でも店舗によっては児童書などをしばしば借りにくる人もいるそうで、和菓子店「おくやま菓舗」の奥山壽武さんは、「子ども連れのお客さんなど数人が借りていかれましたよ。状況が落ち着いて利用者が増えるといいのですが」と話してくれました。
昨年、プロジェクトの副リーダーを務めた「井上ゼミ」の3回生・廣居茉奈さんは、「学生の〝やりたい〟だけではなく、商店街の人々とどう関わり、ともに盛り上げていくかが大切だと感じました」と。「『ふれあいライブラリー』では今後、多世代が参加できるイベントも行うことができれば」
(2021年3月20日号より)
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